コマーシャルと現代社会 第8回-うるせぇ!!!!!
そういえばCMってどのくらいの長さでしたっけ?具体的には何秒?…完全に字数稼ぎのクエスチョンをおみまいしました。
正解は「ほぼ15秒、たまに30秒」。他にも1分や2分といった長尺CMもまれに放映されていますね。ちなみに放送されたCMの最長は「ドラゴンクエストⅩ」の6分CM(映画「あずみ」の10分CM、という説もあります)です。
なぜ30秒のCMがたまにしか流れないのでしょうか。ズバリ面倒くさい契約の都合なのです。契約の種類が「この番組は~の提供でお送りします」のようなスポンサー契約ではない場合(「スポットCM」と言います)、30秒のCMを流そうとすると「まだ何のCMを流すか決まっていない15秒の枠」が2つ、しかも隣り合わせになっているところを見つけないといけないのです。放送局と広告主は15秒単位でやりとりをする為、15秒より長い尺のCMを流すには前々から流す枠を確保しておかないといけないんですね。だからある携帯会社が以前放送した「全テレビ局一斉1分CM」なんて「まだ何のCMを流すか決まっていない15秒の枠×4(しかも隣り合わせ)」を全テレビ局分確保しないと実現できなかった訳ですから、相当前から準備していたということになります。
さてやっとこさ本題に入りますが、今回はその長尺とは逆の短尺CMの歴史について振り返ってみましょう(何だったんだ今のは)。
15秒より短い、短尺CM。それは5秒CMのことを指します。1962年にテレビで5秒CMの放送が認められました。お手頃価格で高い認知度を獲得できるとあって、各社みな一様に手を出し始めました。
5秒の映像作品ではありますが、音声の記録はわずか3秒半。これは技術的に仕方のないことでした。だから言えたセリフは一言!頑張っても二言。語感のいいコピーを言ってみたり、ダジャレを言ってみたり。工夫を凝らした5秒CMを作っていました。
…でも考えてみてください。そんな5秒CMがテレビでひっきりなしに流れているさまを。どうですか?…うっとうしいでしょ?
結局、「うるさい」という理由で1965年に5秒CMは廃れました。わずか三年間の命。
その後、何事もなかったかのようにテレビCMでは15秒と30秒CMが居座り続けています。しかし、あれ?そういえば5秒CMを見た、という記憶もあるはずなのです。そう!5秒CMはいまや動画サイトの再生画面上で大復活しているのです。広告をスキップできないタイプのCMとして。あれをバンパー広告と言います。
バンパー広告は正確に言うと「6秒以下」のCMです。なので正しい意味での5秒CMは未だ復活していません。ただ、多くの人達は思うのです。
『そんな5秒や6秒だのどうでもいい。早く本編を見せろ』と。書いてて思いました。それを言ってしまったら元も子もありません。
それでは、最後に5秒CM傑作選をお届けいたします。
『なんである、アイデアル』
『コニカはコニカ、いいと思うよ』
『あ!』(なんとセリフはこれだけ)
…バンパー広告からも傑作選をお届けします。
『名脇役、ワキ役になる。』シリーズ
これは面白い。イケメンのワキの役になる小手伸也氏のビジュアルと喋りがグッときます。
決して字数稼ぎではありません。ネタが無いわけではないんです。アッハッハッハッハッハッハ……三年しか5秒CMが無かったのが悪いんです。
コマーシャルと現代社会 第9回「究極の自粛」へつづく
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