コピーを書く上で大切にしている当たり前のことと、個人的に大切にしているもうひとつのこと。
広告コピーを書くときに気をつけること。色んな本や講座などでは、
①何を言うか(What to say〜)
②どう言うか(How to say〜)
このふたつで考えるとよく言われています。
広告コピーを勉強しはじめて9年くらい経っても、世間から評価され広告として機能するコピーは、結局このふたつがしっかりとしたコピーなんだとつくづく思います。
逆に言えば、優れたコピーはこのふたつにきちんと因数分解できるものばかりだと思い知らされます。
SKATやコピグラnoteを見て勉強するときは、自分がいいなと思ったコピーの①②がどうなっているのか、自分なりに因数分解してみるのが個人的おすすめ勉強法です。
そうしていくとわかるのが、いいコピーには必ず①があって、②につながっていること。
ひとつ、例を挙げてみると、
ローラーさんの「社員全員、グビ。」
というコピー(第57回宣伝会議賞シルバー)があります。
どうしても、クビ→グビというシュール→チャーミングな変換の見事さ、おもしろさ(②のどう言うか)に目がいきがちですが、このコピーは因数分解していけば、サントリーさんからの課題「クラフトボスを手に取りたくなるようなアイデア」から、①の何を言うか、
「コーヒーだけじゃない色んな種類のボスがあるから、色んな人が楽しめる」
これをスパッと言い切る見事な表現方法であるから評価されているのだとわかります。(しかもこのコピーの何がすごいかと言えば、ボスは全ての働く人々の気持ちに寄り添うというポリシーまで包括していること。)
②の表現方法だけを考えていてはこのコピーは生まれなかったと思います。
①何を言うか(What to say〜)
②どう言うか(How to say〜)
②を磨いていくことも大切ですが、①があってはじめて②につながること。
コピーを書くことに慣れ始めるとだんだんと忘れていくこのふたつ、あらためて意識してみることが大切だと思います。
そんなの当たり前だし実践しているよ!
という声もあるかと思いますので、参考になるかはわかりませんが、あえて個人的にもうひとつ大切にしていること、それが
誰が言うか(Who says〜)
です。
ほとんどのコピーには語り手が存在します。コピーを出す企業なのか、ユーザーなのか、そのパーソナリティも様々です。
そこをしっかりと設定して①②を考えていくと書く幅が広がっていくと思います。
たとえば40代の男性が言うのと、10代女性が思うことは当然変わってきますし(それが①になり得ます)、たとえ思うこと(①)が同じであったとしても、語り手が変われば、性格・口調が変わり、②が違っていきます。
マーケティングの世界では、商品やサービスのユーザー像のことをペルソナと呼んで、そのペルソナの解像度を高めてアプローチを考えていきますが、広告コピーにおいても語り手のペルソナをしっかりと設定するとより差別化されるコピーが書けるのではないでしょうか。
そして、語り手を企業とする場合でも、事業内容やポリシーなどを見ていけば、自ずとそのパーソナリティにそった言葉が出てくるはずです。
もちろん、書くコピーのターゲットによって、この語り手が限定されてくることもありますが、普段から色んな世代の色んな方との会話や考え方をストックしておくと、いざコピーを書くときにきっと役に立ちますし、ストックが多ければ多いほど角度の違うコピーが書けるようになるので、数が書けるようになりたいという方におすすめです。
あくまで個人的に実践している方法であって、これが絶対の方法というものは存在しないと思っていますので、今、ご自分が実践されている方法と照らし合わせて、何か参考になることがあれば幸いです。