暇・あるいは一人の時間について
妻が入院した。
といっても検査入院で、コロナで病棟がひっ迫する前に念のため。という理由で数年前のような生き死にの話ではないので気楽に退院を待つような感じのものだ。
週六飲食店の店頭に立ち、週一回の休みは妻と出かけるのがこの2年間で出来上がったルーティンで、妻は体が不自由なためどこに行くのも一緒だった。
今回、久しぶりに一人の時間ができた。
結果。
恐ろしいことに時間を持て余してしまった。
先日の休み、入院に必要なものを差し入れ、家に帰って洗濯と掃除を済ませると何もやることがない。腹が減ったが、別に何かを作るつもりにもなれず近所のファミレスに行き、適当に安いご飯ものを食べ終わった後、閑散とした店内で何をするでもなくドリンクバーの珈琲を飲み続けた。
昔、不動産の仕事をしてた時に売却査定に伺った家のご主人が奥さんに先立たれてしまって抜け殻のようになっていた姿と自分が重なった。
「ああ。そうかこういうことか」
幸い、評判がよかったり遊びに来てくださった方がやっていたりで行ってみたい飲食店がたくさんあるので休日を使って行ってみようと思う。
ただ、歳をとったりお金がなくたったりで誰も相手をしてくれなくなったときに一人で楽しめる趣味があったほうがいいな。
趣味やら好きなことは一度離れると情熱を取り戻すのは難しい。
好きだった読書の習慣もなくなり、テレビゲームもしなくなった。昔習ってた格闘技も再開するには体づくりから始めなければいけない。
自分の好奇心や物欲みたいなものを枯らさないようにしよう。
いつか一人になるときのために。
そう痛切に感じた。