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法師温泉 長寿館
創業明治8年(1875年)。
建物自体が国の登録有形文化財である。
湯の由来は弘法大師(空海)。いにしへから、あまたの著名人に愛されている。
与謝野晶子、若山牧水、川端康成、山本五十六、夏目雅子…キリがない。
いつかは法師、また行きたい法師。
日本の温泉文化を象徴する宿、と言っても過言ではなく、温泉を愛する人々の憧れの場所である。まさに日本の宝物。
時は明治。新潟•塩沢の岡村貢(みつぎ)は、貴族院で活躍する国会議員。日露戦争など世界情勢が混沌とするさなか、国防的にも上越線の開通が急務であった。
関東と越後。そして日本海へとつながる路線は地域の念願であり、私財を投じて開発計画を進めた。昭和3年、水上駅開業。昭和6年、上越線全線開通。岡村氏は上越線開通の父と評されている。
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天保7年(1836年)、現在の塩沢町下一日市に岡村清右衛門・コンの長男として生まれました。家は総代庄屋で、小さい時から漢字や書、剣術などを学び、若くして父の跡を継いで庄屋を務めました。
明治5年(1872年)に東京の新橋-横浜間に鉄道という乗り物が通ったことを知り、貢は大きな関心を持ちました。その頃は、江戸から東京へと地名が変わった文明開化と呼ばれる時代で全国的に鉄道建設の議論が行われていました。
(中略)
明治12年(1879年)南魚沼郡長についた貢は、新潟-東京を結ぶ上越鉄道の敷設を提唱しました。
(中略)
貢は、なんとか鉄道敷設を実現したいという強い願いから、明治27年(1894年)3月、改進党(総裁 大隈重信 後の内閣総理大臣)から衆議院議員に立候補し当選を果たしました。
上越線の父 岡村貢より
国登録有形文化財の館内には、明治時代に作られた上越線縦断面図の複製が展示されている。
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さてさて、7代目当主、岡村建(たけし)さんをご紹介したい。
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岡村さんは大学卒業後、日本を代表する都内のホテルに勤務された後、帰郷。7代目を受け継いだ。
当主としての意気込みを伺ってみた。
『今まで先祖代々大切に受け継いできたことを脈々と未来に引き継いでいくだけです。
実は、物心ついた小学生の頃、自分は宿をしっかりと引き継いでいく、なんだか使命感のようなものを感じはじめていました。
先日、60年前に新婚旅行で来てくださったご夫婦が、当時と全く変わりませんね、と感動のお言葉を頂きました。
変わらなければいけない事と、変わってはいけない、変われない事を実感した瞬間でした。』
家業としての責務と使命感、なんだか言葉にしてはいけないような、あたかも日本刀のような鋭く透き通る波紋、凛としたものを感じた。
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泉質はナトリウム硫酸塩泉。今から50年前の雨水が今湧き出でている。
国内で3,000を若干切る温泉地があるが、このような自然湧出泉は30軒に満たない。しかも43度と言う適温での湧出は、自然が生み出すまさに奇跡の湯。空気に触れる事なくポコポコと湯船の下から湧き出でる大変貴重な湯である。
今降り注ぐ雨や雪。今から50 年後に湯船で出逢えるか否か、感傷的なおももちとなるのは筆者だけではない、と思う。
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日本が誇る宝物。
みなかみ町にある。
誉れである。