意外と隧道天国!? 鎌倉の隧道をご紹介します。
副偏集長を務めております外山田です。
この『from DOBOKU』は、毎月ひとつのテーマを決めて、そのテーマに沿って文章、写真、イラスト、動画、音声配信などを発信していくコンセプトになっていまして、6月のテーマは「トンネル(隧道)」です。
隧道?
たいどう!?!?
いえ、「ずいどう」と読みます。戦前の呼び名で、現代では長く「トンネル」として定着しています。今日は「隧道」と表記していきます。
さて、“非土木”な一般人の僕がマニアックな視点を語ることはできないため、どうしたものかと考えながら、近所を散歩していると気が付きました。
うちのまち・鎌倉って隧道が多くね?って。
寿福寺横の洞門
時よりドラマや映画で登場してくる美しいアプローチが有名な寿福寺。お正月しか中に入ることができない鎌倉五山の一つに数えられるこのお寺の脇に、お気に入りスポットがあります。
こうした洞門も隧道の一つで、鎌倉の路地裏(特に山側の住宅地)を散歩しているといろんな洞門によく出くわします。しかも”素掘り感”を堪能できるので、洞門好きな人にはたまらないかもですね。
妾トンネル
正式名称は宝戒寺隧道。祇園山ハイキングコースの下を観光客で賑わう小町側と閑静な住宅地が並ぶ大町側をショートカットする形で繋いでいます。
この隧道の通称が「妾(めかけ)トンネル」と言われ、大町に住む旦那連中が、小町のお妾さんに会いに行くため、大町と小町を隔てる祇園山をぐるっと迂回する手間を省きたかったため、お金を出し合って掘削した!という説があります。
人の欲望は隧道まで掘ってしまうものなのか!
ただ、昼間でも薄暗くて、ちょっと怖いです。軽自動車1台分くらいの狭い幅が、一層不気味さを醸し出していて、夜の肝試しには最適です(笑)。
極楽洞
鎌倉に遊びに来たら車窓から見える海の景色を楽しみに江ノ電(江ノ島電鉄)に乗る人も多いと思います。
だからか、ずっと海側を走っている印象がありますが、極楽寺駅と長谷駅との間には全長200メートルのレンガ造りの坑門があります(長谷側では「千歳開道」と呼ぶ)。
1906年(明治39年)6月に着工し、翌年2月に完成。鎌倉市景観重要建築物であり、土木学会選奨土木遺産にも選ばれていて、アーチの頂部に2箇所の要石を備えたデザインは、全国的にも珍しいものだそうです。
長谷駅から徒歩数分にある御霊神社の境内は、紫陽花と江ノ電をカメラに収める人が後を絶たない人気スポットで、ここは江ノ電が極楽洞から出てきた瞬間でもあるんですよね。
鎌倉が隧道天国!?と言われる理由
こうして、手彫りの荒々しい洞門から人間用の隧道、そして鉄道用と3つご紹介しましたが、鎌倉にはあちこちに隧道があるんです。どうしてでしょうか?
多くの人にとって鎌倉は、海、もしくは神社仏閣の歴史あるまち。という認識かもしれませんが、海側を除いた3方を里山に囲まれた、”山のまち”でもあるんです。
市役所の資料によると、鎌倉市の森林率は40%ほど。里山のトレイルからまちを見下ろすと、平坦な地形が少ないことがよく分かります。
海側の僅かな平地を除けば、坂と隧道だらけのまちなんです。
地形を知ると、そのまちのことが分かる。なんてブラタモリばりに悦に入ってしまいそうですが、そんな鎌倉よりもずぬけて隧道天国なのが横須賀市です。鉄道用も入れると150本もあり、私設を合わせるとその数はどうやら日本一らしいです。
「横須賀トンネルマップ」がちゃんとあり、隧道マニアたちの間で横須賀は聖地だとか。なんだか、意外に思われたかもしれません。
https://www.cocoyoko.net/pdf/tunnelmap.pdf
コロナ禍が収束して、自由に行動できる日が待ち遠しいですが、まずはご近所の隧道散歩でもしてみてください。
その時はぜひ、出入口の(だいたい上に付いている)『〇〇隧道』を確認してみることを推します。「〇〇トンネル」とは表記されていないことに、気がつくはずです。
文責:副偏集長:外山田洋
7つの顔を持つ男になりたい!と公言して10年。フリーの編集者 兼 ライター/デザイン制作会社のプロデューサー/ラジオパーソナリティ・MC などと、公言通り落ち着きのない仕事感をごちゃっとカバンに詰めて、雨のちハレの精神で生きる人です。趣味はトレイルランニングと農業。土木は門外漢。