【偏愛土木写真0014】日本一の規模を誇る木造車道橋「かりこぼうず大橋」
このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。
第14回は、車が通行可能な木造橋として日本一の規模を誇る「かりこぼうず大橋(宮崎県西米良村)」です。
かりこぼうず大橋について
この橋が林道「小山重(こざえ)線」に架かる橋であることや、宮崎県における杉材の原木出荷量が日本一であることから、宮崎県産杉の集成材を用いた木造橋が建設されました。
橋梁形式の選定にあたっては、アーチ橋も含め、様々な検討がなされたようですが、最終的には森林資源が豊富な宮崎県内にあり、西米良村に架橋されることから「米良三山(市房山・石堂山・天包山)」をイメージした木造のキングポストトラス橋3連が採用されました。
かりこぼうずとは?
「かりこぼうず」とは西米良村で、古くから語り継がれる精霊の名前です。
「かりこぼうず」の「かりこ」とは、猟の際、獲物を狩り出し(ねぐらや物陰から開けた場所に出す)追う人「狩子」が由来となっています。
村には、古くから、山の仕事をする際、無事に山仕事が出来るよう、山の神様に祈る習慣がありますが、これを怠ると「かりこぼうず」が出てきて家を揺すって驚かせると伝えられています。
こちらの写真は、かりこぼうず大橋の親柱に描かれた村の公式キャラクター「かりこぼうず」の「ホイホイ君」です。
かりこぼうずが鳥獣狩りをする際に鳴く声が「ホイホイ」と聞こえると伝えられていることから、このような愛称が付けられたそうです。
橋の諸元や設計
橋を一望できる広場には、下弦材を実寸大で再現したモニュメントが置かれています。軽自動車と比べるとその大きさを実感いただけるかと思います。
木造橋というと、耐久性が気になるところですが、トラス橋の中でも構造上の弱点となるジョイント数がもっとも少なくなるキングポストトラスを採用し、構造上重要な部材については、直接、雨風に曝されないよう、ゴムシートや銅板で覆うなど、耐久性に配慮した設計がなされています。
土木分野での木材の利用拡大は、森林の荒廃を防止するだけでなく、中山間地域の人々の暮らしを支えることにもつながります。
今後も、橋に限らず、様々な分野で木材の利用が図られることを期待しています。
かりこぼうず大橋の位置
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