【偏愛土木写真021】鉄道会社なのに水力発電⁉ 首都圏の朝を支えるダム
皆さま、こんにちは土木写真部・新潟支部のたかてぃです。
今回はJR東日本が所有する水力発電施設に関する記事です。JRの発電施設と聞いて、えっ?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、JR東日本は鉄道会社で唯一、発電施設を持つ会社で首都圏の朝ラッシュの電力の6割は自前の発電所、川崎火力発電所(川崎市)と信濃川発電所(新潟県十日町市・小千谷市)で賄っています。
今回は、このうち信濃川発電所に関する記事です。
1. 概要
JR東日本信濃川発電所は宮中取水ダムで信濃川から取水し浅河原調整池を経由して千手発電所へと続くルート(ルート①)。
さらにその先の山本調整池を経て小千谷発電所へと続くルート(ルート②)。
宮中取水ダム(第2取水口)から山本第二調整池を経て小千谷第二発電所へと続くルート(ルート③)がある。
1941年に首都圏の朝ラッシュ時の電力供給のため1つ目のルート(ルート①)が完成、続いて1951年(ルート②)、1990年(ルート③)と発電所を増やし、写真1に示すように3ルート体制になりました。
首都圏の電力のほか、上越新幹線や上越線の電気、さらには取水した水は地元・十日町市などで灌漑用水としても使われているのです。
日本一の大河川、そして首都圏の朝を支えるとだけあって、とにかくスケールが大きいことが特徴です。
2. 各施設訪問
写真1に記載の施設はすべて訪問しているが、特にグッと来たものに絞り紹介します。
① 宮中取水ダム
信濃川発電所の入口、ゲートが一列に並ぶ姿はもちろん、何段も続く魚道を下る水は滝のように美しい(写真2)
② 浅河原調整池
高台から調整池のゲートを眺める。背景の山(自然)とゲート(人工物)のコラボ(写真3)
③ 真人沢水路橋
宮中取水ダムと小千谷発電所のあいだは27㎞のトンネルで結ばれている。途中、真人沢川の谷を跨ぐため地上に出て、橋で川を越えていきます。「水が通る橋」しかも立派なアーチ橋でビックリ(写真4)
今回、Googleマップ航空写真(写真5)を頼りに訪問。飯山線・越後岩沢駅近くの集落から1本奥に入ると突如この橋が現れ、つい感動!
写真5 真人沢川水路橋付近の航空写真
④ 小千谷発電所
山本調整池から発電所、信濃川へ一気に下る大きな水道管(写真6)
巨大な発電施設ならではの光景でしょう
⑤ 妙見堰(写真7)
さいごに、信濃川発電所関連で作られた施設をご紹介。長岡市に作られた妙見堰は信濃川発電所から10㎞近く離れています。ここは、信濃川発電所施設で朝ラッシュの発電のために発電所の高低差を下り放流される水を調整し下流の水位の変化を抑えるという役割があります。国道17号の橋梁を兼ねているという点も面白いポイントですね
3. おまけ
① おぢゃーる(写真8)
小千谷発電所近くに信濃川発電所のPR施設があり信濃川発電所の役割について勉強できます。巨大な模型は、手回しで発電すると電車が動くなど発電所と鉄道の関係がよくわかります。ここでダムカードももらえるのでぜひ行ってみてください。
公式サイト→『おぢゃ~る』市民の家・小千谷信濃川水力発電館
② グルメ
信濃川発電所施設巡り、オススメのグルメは十日町市に本店のある「へぎそば小嶋屋」
「フノリ」の入った、つるっとした蕎麦。皇室に6度も献上された由緒ある蕎麦です。
4. さいごに
今回は、首都圏の朝を支える発電施設ということで信濃川発電所をご紹介しました。堰や橋など土木要素がたくさん!新潟の土木が皆さんの通勤を支えているのです!