【偏愛土木写真0013】国指定重要文化財「綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁」
このコーナーでは、土木写真部の部員が一押しの土木構造物やお気に入りの写真をご紹介します。
第13回は2005年(平成17年)9月の台風14号よる大雨のため、第一五ヶ瀬川橋梁と第二五ヶ瀬川橋梁が流失するなど甚大な被害を受け、2008年(平成20年)12月に全線廃止となった高千穂鉄道の廃線跡に残る「綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁」です。
旧高千穂鉄道の主要な橋梁の設計・施工には、「コンクリート工学の父」と称された九州帝国大学教授、吉田徳次郎博士の指導のもと、日本の土木技術を支えた土木技術者達の活躍があったとされています。
鋼材の使用が制限されていた昭和初期に鉄道省が最先端の技術を駆使して完成させたもので、近代コンクリート構造物の技術的到達点の一つを示すものとして、2020年(令和2年)12月23日に国の重要文化財に指定されました。
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綱ノ瀬橋梁(国指定重要文化財・土木学会選奨土木遺産)
旧高千穂鉄道の槙峰駅近くに位置する綱ノ瀬橋梁は、1937年(昭和12年)に完成した鉄筋コンクリート橋で、鉄筋コンクリートの大アーチ1連と無筋コンクリートアーチ42連から構成されています。
コンクリート橋として初めてケーブルエレクション工法(桁下が流水部、谷間などで「ベント」と呼ばれる橋体を支持するための仮の支柱が設置できない場合に用いられる工法で、部材の運搬をケーブルクレーンで行いながら架橋する)が採用された橋です。
変化に富んだ周辺の自然とは対照的に、中央に大スパン(径間47.8m)のアーチ、その両側に42連の小スパンのアーチが整然と並ぶ姿は実に壮観です。時間の経過と共に味わいを増した橋梁は、周辺の自然と一体となって美しい景観を創出しており、その姿を一目見ようと、遠方から訪れる方も少なくないようです。
綱ノ瀬橋梁の位置
第三五ヶ瀬川橋梁(国指定重要文化財・土木学会選奨土木遺産)
旧高千穂鉄道の旧吾味駅近くに位置する第三五ヶ瀬川橋梁は、1939年(昭和14年)に完成した全長274.8mの鉄道橋で、鋼トラス橋(46.8m×1連)と我が国初の鉄筋コンクリート連続方杖ラーメン橋(17.2m×6連)から構成されています。
緑に囲まれたダム湖の湖面に赤色のトラスがよく映える美しい橋です。橋マニアならずとも、ぜひ一度は訪れていただき、その姿を写真に収めていただきたいものです。
駅舎やレール、枕木などが数多く残されている旧高千穂鉄道の「吾味駅」~「槙峰駅」間は、現在、森林セラピーを体感できる森林セラピーロード「TR鉄道跡地散策コース」として、活用されており、今回、ご紹介した第三五ヶ瀬川橋梁も歩いて渡ることが出来ます。
国指定重要文化財を歩きながら、こころと身体の健康増進を図るという、なんとも贅沢な森林セラピーを、皆さんもぜひ体験してみてください。
第三五ヶ瀬川橋梁の位置
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