見出し画像

国立へ行く意味とは。

 プレミアリーグeast初参戦となった、若きフロンターレ戦士達の今について話をしよう。

 初参戦となったプレミアリーグeastで、川崎フロンターレU18はここまで19試合を戦い13勝4分2敗。勝点43。得点45。失点14。得失点+31。12チーム参戦している中で堂々たる首位。残り3試合で2位と7ポイント差。得点数はリーグ2番目、失点数はリーグ最小。これは、「初参戦にも関わらず素晴らしい結果を残している」と言っていいのではないか。

 「残り3試合で2位と7ポイント差」・・・そう。自分達に矢印を向ける言い方をすれば勝点をあと3ポイント積み上げたらこのプレミアリーグeastを制覇することになる。

 そして、迎える11/20(日) 13:00。

 第20節 FC東京U18戦。多摩川クラシコ。保土ケ谷公園サッカー場だ。

 「自分達に矢印を向ける言い方をすれば」・・・これの意味は、同日11:00に行われる青森山田高校vs横浜F・マリノスユース(2位)の試合で青森山田高校が勝てばその時点で川崎フロンターレU18のプレミアリーグeast制覇が決まるからだ。

 ここでの説明は割愛するがトップチームと同じマインドを持ったこの若きフロンターレ戦士達は、きっと同じように自分達に矢印を向けているはずで、この試合に勝って”その制覇”を喜びたいんではと。

 そうでないかと思っている。

FC東京U18戦予想スタメン

 まず、川崎フロンターレU18のメンバーの状況について整理する。
 
 トップチーム昇格が一番早く決まっていたCB高井幸大くんは、U19日本代表のスペイン遠征およびカタールW杯のサポートメンバーとして帯同することが決まっており、この試合は不在。不在どころか、実は最終節まで不在となる予定だ。
 
 次に、U17日本代表クロアチア遠征に召集されている選手もいる。2年生GK濱﨑知康くん。そして、ボランチで2年生エース番号18を背負う由井航太くん。この2人は、2年生とはいえチームのセンターラインの柱として牽引してきた。この2人も不在。

 そして、不透明なのはトップチーム昇格のもう1人のCB。3年生の松長根悠仁くん。彼はトップチームのタイ遠征に帯同。1戦目のBGパトゥム・ユナイテッドFC戦では途中出場即アシストを記録。2戦目の北海道コンサドーレ札幌戦では右WBでスタメン、車屋紳太郎が負傷交代してからは左SBとして奮闘した。札幌戦後の試合後コメントでは、ベトナム遠征には帯同せずに日本に帰国するのを仄めかしていたが、どうか。

 トップチームのベトナム遠征に帯同するメンバーもいる。1年生の田所莉旺くん、加治佐海くん、八田秀斗くん、2年生の髙橋悠斗くん。

 これだけのメンバーが不在である。メンバーは組めるのか。

 答えは、組める。

 システムは、これまで同様の"長橋スタイル 4-4-2 "となるか。GK、これまで第2GKとしてメンバー入りをしていた2年生菊池くんか。高井くん不在のCB。松長根くんが試合に間に合うのではないかと見ており、そうなると相方は直近2試合でスタメンだった1年生土屋くんとなるか。間に合わなかった場合は、同じく3年生の信澤くんと土屋くんコンビとなるか。土屋くんは直近2試合(桐生第一戦と柏レイソルU18戦)はスタメンで出場しており、1年生ながら非常に落ち着いたプレーができている。世代別日本代表経験者でもある。

 右SBは2年生の江原くん。左SBはこちらも2年生の元木くんか。元木くんは桐生第一戦で肩を負傷して途中交代、続く柏レイソルU18戦ではメンバー外。ここは復帰かどうか。復帰でなければ、柏レイソルU18戦でSBで起用されたと思われる土屋くんか。

 由井くん不在のボランチ。トップチーム昇格の10番大関くんと組むのは長橋監督の秘蔵っ子 3年生14番の大瀧くん。このコンビも強烈だ。

 そして、FW。ポストプレイヤータイプの9番 3年生の五木田くん。そして、来るか。2年生エースの20番岡崎くん。岡崎くんは12節の大宮アルディージャU18戦の後に怪我を。消化済の19節までメンバー外であった。メンバーにあらためて登録された模様で、ここで復帰となるか非常に注目。彼は12節までの間に8得点をしていた、このチームのエースだ。

 予想スタメンはこうだ。

     岡崎  五木田     
    (浅岡/香取) 
  志村        尾川
     大関  大瀧
  元木        江原
   (土屋)  松長根 土屋
                    (信澤)   
        菊池

主役はいないが、それがこのチームの強み。

 若きフロンターレ戦士達を年間通して追っていた、いわゆる"ユース893"であればすぐに選手の名前とプレースタイルが浮かぶと思うが、あらためて何人か選手を紹介していきたい。

 CBの松長根くんについては、すでにタイ遠征でそのプレーを感じれた人もいるのでは。相方を組むかもしれない信澤くんについて。青森の地での"死闘 青森山田高校戦"。2-1で破った5月のあの日。松長根くんと共にチームの双璧となり、ロングボールやロングスローを跳ね返し続けたのは、この信澤くんである。身長は182cm。飛び抜けて高いわけではなく。また太いわけでもないが、屈強な青森山田高校の選手達との競り合いに勝ち続けた。そして、フィードやクサビのパスも正確で、松長根くんと共にチームを後方から支えた。ボランチでのプレーも可能。クローザーとしての役割も担う場面もその他の試合であり、長橋監督の信頼も厚い。

 仮に松長根くんが不在となると、信澤くんを軸に1年生が相方になるケースとなるか。1年生の35番土屋くん。第19節の桐生第一高校戦でプレミアリーグ初スタメン、続く柏レイソルU18戦でもスタメンとなり、高井くん松長根くん信澤くんら3年生CBが抜ける来季以降の"軸"として期待される。世代別の日本代表にも召集されている。1年生ながら落ち着いたプレーで、機を見たフィードやクサビのパスは松長根先輩を彷彿をさせる。桐生第一戦では、相手10番キャプテンであった諏訪くんとの競り合いに一歩も引かず。
 もう1人紹介したい。1年生の34番山中くん。彼は国体・神奈川県代表のメンバーとして優勝に貢献。8月の等々力第一Gで行われたとあるTMでは、松長根先輩と組む場面もあり、こちらも非常に期待が大きいメンバーの1人。佐原コーチの熱血指導も受けておりグングンと成長中。タイプ的には、今はFWでプレーをしている3年生浅岡くんに近いか。

 中盤に目を向ける。10番の大関くんは、このチームの心臓。その姿は、バンディエラ中村憲剛を彷彿とさせる。軸足とは真逆の方向にスルーパスが出せる。蹴る直前で足首を捻るのはまさに。少々猫背なところや線が細いのも含めても。あとは、襟足が伸びれば完璧。守備の意識が第10節のFC東京U18戦で見違えていたが、その直後にトップ昇格が発表されたのはそういうことだったか。左足でクサビやスルーパスも出す場面も増えている。抜群の空間認知能力には"度肝"を抜かれる。
 そして、3年生 14番の大瀧螢くん。屈強な選手が多いこのプレミアの舞台で分が悪そうな、身長は167cm。そんなことない。チーム屈指の足元の技術でそれを感じさせない。3列目から持ち運べ、味方とパス交換をしながら前進するその姿は、バルセロナの選手のよう。その基礎技術の高さだけではなく奪われた後の切り替えもこの1年で磨かれた。大関ー大瀧ー由井の3枚がスタメンの試合はヨダレが出た。

 サイドのアタッカー。ここでは2人を。2年生 25番志村くん。彼もまた162cm前後と小柄。ただ独特なリズムのドリブルで相手を抜きさることができる。11番の岡野一くんと左SHを争う。左ワイドから中に切れ込んでのシュートが得意。もう1人、1年生 32番の柴田くん。両翼SB/SHでのプレーが可能で、縦に抜けるスピードはチーム屈指か。 果敢に縦に突破を試みるそのプレーは、このチームでは貴重。後半途中から投入されチームに勢いをつける。特筆すべきは、その太い"太腿"だ。

 FW。3年生 9番の五木田くんはポストプレイヤータイプ。ボールを収め時間を作り、時にエリア内で潰れチームを助ける。動き出しについても良くなり、裏抜けはもちろんクロスへの入り込み方も上手になった印象。
 そして、3年生 5番の浅岡くん。元々CBでプレーしていたが、チームの事情か。本人の意向か。FWで勝負することになる。身長186cm。五木田くんも183cmと、このコンビが揃うとツインタワーとなり相手からすると非常に脅威に。元々CBだったこともあり競り合いには無類の強さを誇る。クロスやロングボールを主体とするチームではなかったが、シンプルに前線にボールを送ることもカードとしては得ており、このツインタワーの使い方も良くなってきた。
 そして、注目は2年生ストライカー岡崎くん。負傷離脱するまでの、出場していた12節まで8得点を挙げていたこのチームのストライカー。あの5月の青森山田との1戦では決勝点を。ファジーな位置で受け続けるこの岡崎くんがフロンターレが前進するためのキーマン。この大事な一戦で復帰となるか。楽しみである。

 高井くんが不在。濱崎くん、由井くんも不在。松長根くんの出場は不透明。だが、これだけの選手がU18にいる。もっと紹介したい選手がいる。そうこのチームは非常に選手層が厚い。3年生だけでなく、2年生、1年生とそれぞれの代の選手が育成年代最高峰の舞台の試合に絡んでいる。そして、誰が主役とかではない。それがこのチームの強み。


国立へ行く意味とは何か。

 プレミアリーグeastを制覇すると、何が起きるかというと、プレミアリーグwestを制覇したチームと対戦する。いわゆるプレミアリーグファイナルと呼ばれるもの。この試合は、国立競技場で行われる。12/11(日)13:00だ。もう今から予定を空けておいてほしい。

 西には更なる強敵がいる。"日本のアヤックス"と呼ばれている国内屈指の育成組織 サガン鳥栖U18。ドイツの強豪 バイエルン・ミュンヘンへの加入となる福井太智くん。その他、4名がトップチームに昇格。中でも坂井駿也くん。プレミアリーグwestの第9節、セレッソ大阪U18vsサガン鳥栖U18の試合を大阪は舞洲へ行き現地観戦。アンカーで出場していた坂井駿也くんのそのボール奪取と両足から繰り出させるフィード(展開力)に目を奪われた。「こんなにも1人で試合を攻守両面でコントロールしてしまう選手がいるのかと。この年代で・・・、」と。同時に大関くんとの対戦が楽しみだなと。
 ジュビロ磐田U18。監督はあの元日本代表・前田遼一氏。この監督の元で育つは、3年生エースストライカー伊藤猛志くんと2年生191cmの大型FW後藤啓介くん。前者は出場896分で12得点。74分に1得点している計算となる。また後者は2年生の10月にトップチーム昇格が内定している。
 ・・・と、この両チームが首位争いをしていたような気もするが、あれよあれよと首位に浮上したチームがいる。ヴィッセル神戸U18。(※詳細不明)


 「国立へ!」というのは、西のプレミアリーグを制したチームと対戦できるということ。これまた素晴らしい経験となるのは間違いない。間違いないが、「プレミアリーグeastを制覇する意味とは何か」、「国立で行われるプレミアリーグファイルに勝利する意味とは何か」・・・。これらは一体何なのか。


答えは「分からない」だ。



 トップチームが初優勝したあの2017年。あの前の俺たちに「Jリーグを制覇する意味とは何か」と問うとする。答えられたのだろうか。「制覇したらどうなるか」「どういう意味があるか」なんて「分からない」が正だろう。だって、制覇したことなんてないんだから。

 

 ただ、「制覇したらどのような影響を及すのか」は、今なら少し想像できるようになったのではないか。だって、トップチームとはいえ制覇したから。確かに、トップチームとアカデミーはイコールではない。でも、胸に手を当てて考えてみてほしい。初優勝した2017年のその先。その先に何が起きたかを。
 
 

 でも、「やはりトップチームとアカデミーはイコールではない」に行き着く。

 
 川崎フロンターレU18が育成年代最高峰のリーグを制覇する意味。


 答えは、何か。もしかしたら「分からない」ではなく、「計り知れない」ではないのか。

 
 ここにこのプレミアリーグeastを制覇する意味があるんではないか。プレミアリーグファイナルへ進んで、国立で西の王者に勝つ意味が。

 もしプレミアリーグeastを制覇したら、国立でプレミアリーグファイナルに勝ったら。3年生はより自信を持って次のステップに進むだろう。2年生は、来年連覇を目指してより自分達に矢印を向けて成長するだろう。1年生は、レベルや意識の高い環境でまたサッカーができるだろう。その下の世代、フロンターレで挑戦したい猛者達が集まるかもしれない。チームは来年更なるマークをされるかもしれない。でもそれは、トップチームで経験するようなことをこの年代から経験できるということ。選手だけでなく、監督コーチスタッフのレベルも上がる可能性も秘めている。


 こんな例は大した話ではない。そして、来年だけでなくて、3年後、5年後、10年後に繋がりそうじゃないか。

 悲願のACL制覇に貢献するメンバーだってここから出てくるかもしれない。


 “かも”しれないんだよ。

 

 そうなんだよ。俺たちは、



 計り知れない・計ることなんてできないフロンターレの未来を掴みに国立へ行くんだ。




 まず明日。


 保土ヶ谷に集合してほしいんだ。






■試合情報
 ・プレミアリーグeast 第20節
  11/20 (日) 13:00 キックオフ
  (※11:30入場開始)
  vs FC東京U18 @保土ケ谷公園サッカー場
  参考:https://www.frontale.co.jp/info/2022/1114_4.html


 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?