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青森で屈した「25分間」

*殴り書きであり、感想文です。

プレミアリーグEAST2023 第17節。アウェイ青森山田戦。
2年連続で現地参戦してきた。せっかくなので、感じたことを残しておこうと。

結果から書くと、1-2でヤンフロの負け。青森山田の勝ち。
前半25分までにセットプレーで2失点。後半10分にCB土屋くんのゴールで1点を返すも、同点弾までとは行かずにタイムアップ。

リーグ首位との青森山田との勝ち点差が7と広がった(青森山田と比べてヤンフロに1試合未消化試合有り)。

悔しい以外の何物でもないが、試合を振り返ろうと。


"青森山田ファミリー"の圧力に屈した前半の25分間

俺たちのヤンフロ。スタメンはこう。
GK濱﨑、CB林と土屋の1・2年生コンビ、右SB江原、左SB元木、ボランチに尾川・由井、右SH加治左、左SH岡野一、FW髙橋宗杜、岡田。ベンチには、昨年このアウェイ青森山田戦で殊勲の決勝ゴールを決めた岡崎が控える。対する青森山田、個別具体的な選手については割愛するが、1-4-2-3-1が基本立ち位置。5番の高身長CBの選手に昨年の試合でも苦しめられたのが印象的。

キックオフ時、通常陣地を変更しなければ前半はヤンフロベンチ側から相手ベンチ側へ攻めるが、この日は変化を出してきた。ヤンフロが陣地を変えてきた。青森山田ベンチ側から攻めることに。最初、青森山田が陣地を変えてきて、ヤンフロキックオフかと思ったが、逆だった。

これがこの試合のキーにもなったか。

昨年以上の圧力。青森山田グラウンドで表現されていたあの凄まじい圧力。あれは青森山田イレブンだけでのものではなかった。

「青森山田ファミリー」の圧力。

ピッチ脇、青森山田ベンチの逆サイドには、多くの青森山田の選手関係者・OBが座り。そして、青森山田ベンチ側のCK付近には青森山田野球部が観戦。そして、ゴール裏。青森山田のベンチ外の選手達がズラッと横に並びピッチの選手を盛り上げていた。昨年は、ゴール裏に選手が並んでいなかった記憶。ここが昨年と違った。

ゴール裏からは、青森山田のイレブンだけではなくピッチ全体を青森山田のフィールドに変えてしまおうというようなロングスローやCKに合わせ盛り上げる「オーッ、オーッ」という声が響く。ヤンフロから見て左からは、青森山田関係者の歓声が。右からは青森山田ベンチからの声が響く。前からは青森山田のイレブンが襲いかかってくる。

半分のコートにヤンフロは追いやられただけでなく、そのコートの360度からプレッシャーをかけられていた。

試合の立ち上がり、ヤンフロは完全に呑まれた。
あれは呑まれた。

青森山田1本目のロングスロー。青森山田ベンチ側から、センタリングが上がってくるようなロングスロー。あれは立ち上がり2分か。あの青森山田ファミリーの盛り上がり具合は忘れられない。大いに盛り上がり、その声に乗ったかのようなボールがゴール前に飛んでくる。GK濱﨑くんがボールに向かって飛び出すも触れられず。ヒヤヒヤするも結局そのシーンは流れた。流れたが、あれで試合の空気が完全に青森山田になった。

ボールを落ち着かせることができずに、前に急いでしまうヤンフロ。これは昨年と同じであった。あの大関友翔がプレミアリーグEASTでボールを前に蹴るシーンなんて滅多に見たことなかったのに、ここ青森山田のピッチでその姿を初めてみた。普段感じないプレッシャーがここにはある。

前半3-4分ごろ。FKを与えると、中で構えていたCBの選手にヘディングを決められる。0-1。失点。盛り上がった青森山田ファミリー。大アウェイだった。

ヤンフロの初シュートの記録は前半15分。自陣ハーフライン手前から持ち出した尾川くんが髙橋宗杜くんとのワンツーで抜け出してシュート。だが、ミートせずにゴール右へ外れる。いつもなら、枠に飛んでいくシュートなのに。

そう、リズムがどうしても握れない。

青森山田ベンチからは太い声で「セカンドォッ!!」という声が響く。ロングボールをヤンフロコートに放り込み、セカンドボールに襲いかかる。ヤンフロはセカンドを回収しても、全体の立ち位置が落ちつなかない状況で前に急いでしまい、縦に入れるもそれは青森山田の思う壺。

ボールを握れずにいると、ファールで相手を止めてしまう。

すると、前半25分。自陣左サイド深くでファールを犯しFKを与えると、ファーサイドを折り返されて最後は中でボレーで沈められ0-2。左SBの選手だったか。

ヤンフロ、呑まれに呑まれた。

今季初めてか、直後にエンジンを組むヤンフロ。

「そう、俺たちはボールを握れるはず。怖がってはいけない。」

吹っ切れたというかもう吹っ切れるしかない。いつも通りのプレーをやろうと試みる。まず保持。相手1トップに対して、林ー土屋ー元木くんでボールを回し、トップ下の選手が連動して追ってくれば、由井・尾川くんが顔を出したり時には下に落ちながら、まずリズムを作る作業を始めた。そして、ボールを握る時間が徐々に増えていた。増えてはいたが。

右サイド。右SB江原くんが右に張り出して、少し内側で右SH加治左くんが受けて前進、といつものように試みていた。だが、逆にここが青森山田の狙い目だったか。青森山田は「ヤンフロにある程度は回させてもいい。ただ、差し込まれた時に激しくチェックに行く。」というスタンスだった。その縦に差し込まれた時のチェックが他のチームとの試合では感じられないような激しいもので、特にこの右サイドの内側にボールを差し込んだ時のチェックが凄まじかった。これは、かなりの対策をしていたと見る。FWに差し込んだ時も凄まじいチェックで、収めさせてくれない。青森山田ベンチからは「自分たちの前で回させろ!」だったり「間延びするな!」という声が響いていた。コンパクトな陣形をできるだけ保つことが対ヤンフロとしては有効だと。

一方で左サイド。左SHの岡野一くんはさすがであった。「よーい、どんっ」のスピードでは青森山田の選手も得意であるので、ステップで相手の逆を取る作業を繰り返し実践し抜くイメージを確かめていた。確かめていただけではなく、実際に対峙する右SBとフォローにきたもう1選手をステップだけで連続で抜き去るシーンを作っていた。作っていたが、青森山田CBのカバーリングのタイミングも素晴らしく、サイド深くを攻略できない。

ヤンフロ全体として、いつもなら縦に差し込んだ時に複数人がフォローに入り、瞬時にグループを作りその局面を攻略。そして進んだ先でグループを作り攻略…というのを繰り返す。また、相手を片方のサイドに圧縮し(特にヤンフロから見たら右サイド)、空いた左サイドや中央を突破するのが見られるが、この日は前半にそれらは見られなかった。

やはり、内側に入った選手やFWに差し込んだ時のチェックとそこからのカウンターを怖がってしまったのか、複数人がボールに絡むといったシーンが少なかった。自分の背後を取られる怖さがあったか。また、いつもなら顔を上げられているがこの日は少し下がっていた印象。

ヤンフロはボールを握るもゴール前で見せ場を作れない。逆に青森山田は鋭いカウンターを仕掛け追加点を狙うという構図。何度か危ないシーンがあったが、GK濱﨑くんを中心としたディフェンス陣がギリギリのところで凌いでいた。

(正確でなくて恐縮だが)前半ロングスロー3本、CK4本、2失点を喫したFK2本(もう少しあったか)、と計10本近くのセットプレーを受けた。

これぞ由井航太。後半、完全にリズムを掴むヤンフロ。

後半頭から長橋監督は動いてきた。
SHを加治左くん→志村くん、そしてFWを岡田くん→岡崎くん。

「立ち上がりでやられたら、立ち上がりでやり返せ」、「セットプレーでやられたら、セットプレーでやり返せ」、こう長橋監督に言われてピッチに出てきたのかと思ってしまった後半10分。元木くんのFKからファーサイドで尾川くんが体制を崩されながらも頭で中に折り返し、最後は土屋くんが押し込む。押し込むというか、ねじ込んだ。1-2。

このあたりくらいからか。完全にヤンフロのリズムになる。前半に封鎖されていた右サイド。内側では積極的に志村くんが受けては、江原くんとの連携で縦に抜けるシーンを作り出す。中央から左サイドでは、岡崎くんが相手コートのファジーな位置で受け続けてリズムを作る。岡崎くん自身も、そして尾川くんにもゴールポスト僅か横といった惜しいシュートシーンが生まれる。(青森山田ベンチから「9番(岡崎くん)のマークを確認しろ!」と声が出ており、監督・選手達の中でも要警戒だった中で決定機を作り出すのは流石である。)

ヤンフロにリズムを作り出した、その中心にいた選手こそトップ昇格内定の由井航太。中盤だけでなく、前線にも駆け上がり積極的にボールを受ける。左右関わらずフォローに入る。特に、ボールを受けないで味方を助ける高度なプレーには唸った。ヤンフロ選手への相手アプローチを軽くするための彼自身の立ち位置は絶妙。「ここに立てば、相手が気にせざるを得ない」というのが感覚としてあるのが見ていて分かる。1人だけではなく、2人、3人からアンテナを引き出すその姿。前線だけではなく、後ろで回す選手達もこれには助かっていただろう。これはトップチームだと、大島僚太がよくピッチで見せている。(「前半から見たかった」と言いたいところもあるが、あの前半は彼自身だけの問題ではないので一旦しょうがないだろうと。)

この流れで、長橋監督にもコメントしておきたい。前半ベンチで戦況を見守っていた長橋監督もこのリズムに加勢をしていた。いや、最前線で青森山田と戦っていたのかもしれない。通常なら、試合中のほとんどをベンチで見守り、時より出てきてはあの微笑ましい顔でコーチングをする。基本的には選手に考えさせるタイプの監督であるが、この試合の後半は常にベンチから出てきて選手を後押し。ヤンフロにアフターチャージをして青森山田の選手にイエローが出たシーンがあったが、ベンチ前から勢いよく飛び出して、声を荒げていた。ここはいつもなら佐原秀樹コーチであるが、今回は長橋監督であった。あの激昂は、選手を鼓舞するためのものであったと思う。これはパッと読むと「何をふざけたことを言っている」と思うかもしれないが、(普段は言い過ぎだが)少しの期間長橋監督を見ていると分かる。


試合に話を戻す。


岡野一くん→柴田くん、髙橋宗杜くん→香取くんとカードを切り攻勢を強めるヤンフロ。後半40分手前の決定機。左サイドで志村ー尾川ー香取くんと複数人が絡みながらまた相手の目を集めながら前進し、由井くんから右サイドから中央に走り込んだ柴田くんへスルーパス。決定機とも言えたシーンだったが、相手DFに阻まれる。

確かに後半は完全にヤンフロのリズム。だが、青森山田も集中した守りで最後のゴールは割らせない。スタートの1-4-2-3-1の陣形は最後まで崩さずに途中交代で入った1列目と2列目の選手が、縦に入れさせないような守備をして後ろの選手に対して時間を作りだそうとしていた。また、中でも青森山田の両CBは抜群の存在感。チームの精神的な支柱のように見えたのと、ヘディングでの跳ね返しとカバーリング、そしてフィード(クリア)の質も非常に高いレベルであった。

後半45分も惜しいシーン。左サイドで由井くんが溜めながら最後は岡崎くんがサイド深くからクロス。逆サイドから走り込んだ柴田くんが体を投げ出しながら入り込むが、相手DFの戻りに阻まれる。

これが最後のチャンスだったか。1点は返したものの2点目が遠く。アディショナルタイム4分間もうまく凌がれ、試合は1-2で青森山田に軍配が上がった。


「屈した」という経験を生田に

試合終了のホイッスルがなった瞬間、青森山田イレブンとベンチ、ゴール裏、観客席から歓声が上がった。まるで優勝したかのような雰囲気。ピッチでは選手同士が抱き合っており、この試合にかける想いが垣間見えた。

試合後の青森山田サッカー部総勢100名を超えるメンバーか。多くの部員が集まりエンジンを。

「優勝目指まで駆け上りましょう!!」
「しゃーーーー!!」

長橋監督やヤンフロメンバーは駆けつけたフロサポ・関係者に挨拶した後、その盛り上がりを横目にベンチに戻っていく。

その彼らの背中。


リーグ順位で言えば、青森山田に比べて1試合未消化があるとはいえ、その首位・青森山田とは勝ち点差が7。残りは6試合。優勝までは1試合も落とせないかつ他力本願なところもある。「優勝から一歩後退」という記事もあるが、優勝まで諦める位置ではない。ただ、この試合の意味合いは非常に重要なものがあった。

5/13のアウェイ昌平で負けてからの9試合を7勝2分と絶好調で青森に乗り込んだ。直近5試合で言えば、5連勝。11得点無失点。まさに無双状態。そのヤンフロが、ピッチでプレッシャーを感じて歯が立たなかった時間帯があったのは正直インパクトがある。だが、その青森山田に対して徐々にリズムを作り出し、最終的にはヤンフロのリズムで試合を終われたのはさすがとも言えるか。もちろん、2点目を取って最低でも引き分けに持ち込みたかったところではあるが。

この試合の、特に前半25分までの青森山田。これまで自分が見てきた高体連やクラブユースのチームの中で一番強かったんじゃないかと思うほど。そのくらい圧倒された。下半期かつホームで試合をする青森山田は相当強いと。正直予想通りと言えば予想通り。だからこそ、青森まで足を運んだ。この時期の青森山田は相当強いと。その中でヤンフロがどこまでできるのかと。今季のヤンフロでこんな試合は見たことがなかった。ボールが持てない試合なんて一つもなかったはずだ。

この強かった青森山田。360度からプレッシャーを受けながらの試合を経験できたのが得たものか。土屋くんや柴田くんはU17でアジアの舞台での経験が直近あったが、その他の選手はどうか。世代別の経験があるとはいえ、世界ではないとはいえ、真剣勝負の中かつこんなにもプレッシャーをかけられながらの試合経験は彼らにとってどう影響するか。この経験を活かせるか。このプレッシャーがかかっている中でいかに自分たちの普段通りのプレーができるか。技術で圧倒できるか。相手の立ち位置、表情を観察してプレーができるか。顔を上げられるか。常に遠い足でボールを扱えるか。タッチラインギリギリまでポジションを取れるか。楔のパスを差し込めるか。内側に入ってボールを受けられるか。内側の選手に入れた後に、勇気を持ってフォローに入れるか。ラインを上げられるか。球際で強くアタックできるか。競り合えるか。味方を助けられたのか。


最終節12/3のホーム尚志戦。ここでドラマが生まれることを信じて。

「この青森山田との試合があったから」と言えるように。残り6試合。

こちらとしては見守ることしかできないが、彼らの成長に期待したい。



昨年のファイナルでの試合を忘れていないはず。



俺の知っている彼らはこんなもんじゃない。


まずは、10/15のフロンタウン生田での旭川実業戦。
ここに勝とう。


バモスよ、ヤンフロ。
勝つよ。諦めないよ。



最後に

このインパクトも紹介したい。
ヤンフロ全員が素晴らしいプレーをしていたが、特にこの選手を紹介しておきたい。CB林駿佑くん。青森山田との試合で言えばデビュー戦のはず。だが、青森山田の屈強な選手達との競り合いにも一歩も引かず、また裏に抜けたボールへのスピード勝負でも負けていなかった。非保持は4枚、保持は3枚になるヤンフロにおいて、その移行も非常にスムーズ。右に少し張り出した保持では、内側に入ったSHと外に張り出したSBへの供給タイミングは抜群。相手FWのファールを受けたシーンでは、レフェリーと相手選手へアピールを。冷静にプレーができ、一方で熱いハートも持ち合わせている。彼はまだ1年生だ。高校に入学して半年しか経っていない。彼のプレーはこの日が初めてではないし、何度も見ているが改めて。この先が非常に楽しみな選手である。見守っていきたい。
怪我に気をつけて、頑張ってほしい。

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