京都にゆかりのある主要人物履歴書

最初に最重要人物の名前を覚えておいてください。（あいうえお順）

川崎桃太（1915年-2019年）
　「フロイス 日本史」翻訳者。 松田毅一共訳。1930年リオデジャネイロに渡航、1955年帰国後は京都在住。京都外国語大学ブラジルポルトガル語学科教授、同名誉教授。ポルトガル国内に散逸していた「フロイス日本史」写本を苦労して蒐集した。他に著書『フロイスの見た戦国日本』『続フロイスの見た戦国日本』『フロイスとの旅を終えて今想うこと』。

小西行長（1558年-1600年）
　堺商人小西隆佐の次男として京都で生まれた。宇喜多直家に才能を見出されて武士になり、1584年高山右近の勧誘でキリシタンとなる。1585年小豆島に1万石を与えられ、小豆島での田畑開発と布教を行う。1587年伴天連国外追放令が出ると小豆島は高山右近やオルガンチノの隠棲地として重要な場所となる。
　行長の父、小西隆佐は1566年頃に堺で、また小西行長は1586年に大阪で、それぞれ、らい病患者の療養施設を開設した。堺ではオルガンチノらと孤児院も運営した。九州平定、朝鮮出兵、関ヶ原西軍と戦に暮れる人生で、関ヶ原の後には市中引き回し六条河原で石田三成と共に斬首された。行長の遺体はイエズズ会に引き取られてカトリック式で葬られたと伝承されている。埋葬地は明らかではないがイエズズ会の最終拠点であったと推定される北野橋近辺に現在も木棺で副葬品を伴い土中にある推論は可能である。

フランシスコ・デ・ザビエル（Francisco de Xaviere)(1506年-1552年）
　スペイン人カトリック司祭。1551年1月に京都到着。天皇と足利将軍への拝謁を願ったが実現できなかった。山口に戻り大内義隆に貢物を献上して布教の許可を得ると一日に二度の説教を行った。この時、話を熱心に聴いていた琵琶法師（ロレンソ了斎）が受洗することになる。
　ザビエルは冬の寒さと戦乱に荒れ果てた京都に絶望した。そして、簡素な日本の食生活には馴染めなかった。

ニェッキ・ソルディ・オルガンティノ（Organtino Gnecchi‐Soldo）（1533年-1609年）
　イタリア人カトリック司祭。ゴアを経て日本に派遣。ルイスフロイスと共に京都での困難な宣教活動に従事する。禁教令が出ると高山右近とともに表向きは棄教していた小西行長の領地、小豆島に逃れた。右近が加賀に招かれるとオルガンティノは関西を去り九州に移る。その後1591年少年使節の帰国と共に秀吉に拝謁。再び京都在住を許された。 最晩年は、長崎で病床につき76歳没。

ルイス・フロイス
　1532年リスボン生まれ。16歳でイエズス会入会。ゴアへ赴き養成を受け29歳で司祭となる。ザビエルとヤジロウに出会い、その人生は運命付けられた。31歳、横瀬浦（長崎県）上陸。難解な日本語と習俗を学んで京都に向かう。33歳からガスパルヴィレラやロレンソ了斎らと京都で布教を開始するが、すぐに庇護者であった足利義輝は謀殺されてしまい堺へ避難することになる。翌年ヴィレラは九州に異動し、フロイスが京都地区布教責任者となる。37歳、和田惟政の手引で信長と接見し布教の許可を得た。岐阜城や安土城を訪ねるなど信長と懇親を深めた。
　51歳、布教の一線を離れ、イエズス会の活動史（日本史）を残すことに専念する。55歳、徳運（施薬院全宗）の暗躍で秀吉が伴天連追放令を出すと、フロイスは畿内を去り長崎に退く。この命令は徹底したものではなかったので天正遣欧使節を伴い東洋地区の巡察師ヴァリニャーノが再来日すると58歳のときに同行して秀吉との会見に成功している。60歳、マカオに渡り日本史の著述は完結。3年後に長崎に戻り、65歳（1597年）26人の宣教師らの殺害報告を最後に帰天。
　フロイスの膨大な書物は長い間、顧みられることもなくマカオに放置された。やがて読む人もなく忘れられ原本は焼失してしまったが、川崎桃太によりポルトガル国内で散逸していた写本が蒐集されて完結した。日本総論にあたる叙述の一巻は目次のみで内容は現在も見つからない。

ロレンソ了斎（1526年-1592年）
　1559年ガスパルヴィレラと共に京に入る。松永久秀はキリスト教に対し好意的でなかったので奈良で公開討論を催したが意図に反して仏僧は論破された。審査のためにそこに居合わせた高山友照は息子の高山右近や家臣などとその後受洗した。ロレンソ了斎とルイスフロイスは信長の面前で反キリシタン論客である日蓮宗の朝山日乗も論破している。 琵琶法師としての話術や知識を生かして、価値の基準を失った多くの人々の疑問に答えた。円町に暮らしたと伝承されている。
　京都におけるキリシタンの歴史は、魅力的で人格に優れた人物との出会いの歴史であった。