一之瀬の『介錯』と、一之瀬クラスの今後への見解

ご無沙汰してます、フロッグです。2年生編4.5巻発売も近くなってきた頃ですが、今回はその4.5巻でも話の中心となるであろう「一之瀬帆波」の『介錯』やそれに伴う今後のクラスへの影響・綾小路の動きの個人的な見解を述べていこうと思う。


Ⅰ.そもそも『介錯』とは?

 まず、そもそも綾小路が一之瀬に対して使った『介錯』とはなんぞや?ということだが、この『介錯』という言葉には2つの意味がある
 一つ目の意味は

介錯①:つきそって世話をすること。また、その人。後見。

とある。この意味をそのままとらえるのならば、「近くで支える」といった意味になるだろうか。
 そして2つ目の意味だが、

介錯②:切腹する人の首を切りおとすこと。また、その役の人。

というものがある。もともとの『介錯』の意味とはこちらのようで、昔の時代でよくあったとされる「自害・切腹」の際に、即死できず苦しんで死んでいくことをさけるため、切腹後に即時首をはねるということが由来とされている。つまり端的にいうと「相手を楽にするため手を下す(始末する)という意味になるだろう。


Ⅱ.一之瀬帆波の『介錯』

 さて、この「介錯」という言葉だが、綾小路が一之瀬に対して使ったことで色々と推測が立った言葉なのは周知の事実だ。
 具体的には、11.5巻の一之瀬が精神的に追い詰められ、綾小路にその不安を吐露する場面だ。綾小路は「今のままクラスメイトと共に突き進んでほしい」といったわけだが、その後の綾小路の思いとしてこんなものがある。

11.5巻 p200:
一之瀬帆波率いるBクラス。彼女ら、彼らの行く末がどうなるのか。
悲観した材料は多くとも、まだ未来は確定してない。
だが,,,,,,もしも没落してしまうようなら、その時の『介錯』はオレがする。

つまり、一之瀬がクラスメイトと共に進むことをあきらめてしまった場合『介錯』をするということだ。この場合を「介錯」の意味に当てはめると、「綾小路が付き添い、一之瀬クラスを支える」оr「綾小路が一之瀬を排除する」のどちらかの意味になるだろう。
 では、この2つのパターンのたどる道を、ほかの要因から考えていこうと思う。


Ⅲ.綾小路一之瀬クラスへの移籍はあるのか

まずは「綾小路が付き添い、一之瀬クラスを支える」パターンの見解。これはいわゆる一之瀬がクラスを支えられなくなったとき、綾小路がサポート代わりに立て直しを図るという展開。現状で世間一般ではこちらのほうが有力?な雰囲気だ。
 ただ、今の状況では、綾小路が他クラスを支援するという歪な関係になってしまう。この点を解決するための手段として「綾小路の一之瀬クラス移動」だ。
 これにはいくつか伏線めいた言動がある。一つは一之瀬クラスの担任、星の宮先生からの執拗な勧誘だ。特に2年生編3巻では「うちに入れば?」と直接的な発言も飛んでいる。
 そしてもう一つが、葛城の龍園クラス移動という前例だ。これは龍園がAクラスに居場所のなくなった葛城を買う形で成立したものだ。一之瀬クラスは「約1年でぎりぎり2000万ポイントを貯めれることが分かった」(クラスポイントなどで前後するが)とも言っていることから、約1年後の3年進学時付近で移籍をさせることが物理的に可能になる。また、綾小路の言った「1年後の今日、もう一度ここで会おう」という発言ともかみ合う時期になる。ほかにもいくつか根拠はあるだろうが、こういった面から、綾小路のクラス移動という考察が上がっているのだろう。

 しかしながら、筆者の考えとしては、綾小路のクラス移動は現時点でないのではと考えている。その辺の根拠含め、「綾小路が一之瀬を排除する」パターンを考えていく。


Ⅳ.綾小路の一之瀬への願いと、一之瀬クラスへの影響

 続いて「綾小路が一之瀬を排除する」パターンだ。この一之瀬の排除は、一之瀬がクラスメイトと共に進むことをあきらめてしまい、完全に落ちぶれてしまう場合
 まず、綾小路が一之瀬に願っていることをもう一度振り返る。

11.5巻 綾小路:「その1年間、どこまでもクラスメイトと共に突き進んでみるんだ。途中、嬉しいことも悲しいことも、時にくじけそうなこともあると思う。それでも、絶対に立ち止まるな」

綾小路は上記に示したことを強調して一之瀬に伝えていた。また、そうすることが「一之瀬クラス唯一の武器」と述べている。綾小路が一之瀬に求めていることとして明白だろう。ほかの場面でも、綾小路が一之瀬に対し同じ発言をしている場面がある。それが2年生編2巻だ。ここでは一之瀬が「差し違えてでも守る」という考えを排除するため、そしてこの先1年を見据えて「お前が退学になることは絶対に許さない」と発言している。

2-2巻 綾小路:
彼女に与えるべきは闇じゃない。
けして消えることのない光だ。間違った方向にその光をともす可能性があるなら、摘み取っておく。

こういっていることからも、綾小路は本気で一之瀬にクラスを率いて戦ってほしいと願っていることが伝わるだろう。
また、ここからは綾小路がクラス移動をしない根拠にもなるところだが、綾小路は上記に挙げた場面で一之瀬クラスの欠点について述べている。

2-2巻 綾小路:
ただ、それ(一之瀬の武器)をうまくコントロールできる人間がそばに不足しているだけ。
だがそれはクラスメイトに恵まれなかった訳じゃない。
彼女の持つ武器のデメリットによるもの。
クラスメイトの個性を殺してしまうほどの、一之瀬の包容力のせいだ。
甘えが生まれ、その結果没個性として悪循環になってしまっている。

このことからわかるように、一之瀬クラスは一之瀬に依存するあまり、ほかのクラスメイトの個性が発揮できていないということ。これは龍園も「一之瀬クラスにはリーダーがいない」と、似たようなことを述べている。逆に言えば、一之瀬への依存が取り除かれれば、一之瀬クラスの成長が始まることを暗示しているとも取れる。これについても綾小路は一つ根拠のようなものを述べている。

2-2巻 綾小路:
オレは少しだけ考える。この先に待つ一之瀬の運命がどうであるか、もちろん今の段階では誰にもわからない。しかし最終的に落ちるところまで落ちた時,,,,,,。
神崎にオレの考えを話すかどうか、一瞬だけ迷いが生じる。だが、それをすぐに思いとどまる。ここで計算にない余計なことをしても状況は転じない。

つまり、綾小路は「クラスメイトと共に」且つ、「一之瀬が落ちていく」と計算したうえでの行動だと考えられる。そして神崎がクラスメイトを切ろうとするような余計なことをしないように、考えを話さなかったのだろう。状況的に厳しいが、一之瀬の心が折れず、しかし一之瀬にはどうすることもできなくなるほど落ちていった時、初めて一之瀬クラスが覚醒していく展開になるのではないだろうか。
 
ここで綾小路がクラス移動するとどうなるか。綾小路なら、クラスの立て直しは可能だろう。しかし根本的な原因である「依存」を解くことにはならず、依存対象が綾小路に移るだけ、そして一之瀬自身も綾小路に依存してしまうことになるだろう。この根本的な原因の解決は、一之瀬のクラス自身が解決する必要がある。綾小路は、一之瀬自身が例え「落ちて」も、「没落」はしないようにする精神的支柱のような存在にはになれても、自分が解決の糸口ではないとわかっているのではないだろうか。
 そして『介錯』の意味は、一之瀬が「依存」という問題を解決できぬまま「没落」したとき、その原因の根本である一之瀬を排除することで、強制的に「依存」から解放する手段なのではと考える。


Ⅴ.まとめ

 結論として、
・『介錯』は②、切腹する人の首を切りおとすこと。
・綾小路のクラス移動はデメリット。
であると考える。実際は様々なパターンが考えられるが、筆者はこの流れが最も理にかなうと考える。
 余談だが、綾小路が一之瀬の精神的支柱になるため、軽井沢を振り、一之瀬と付き合う展開は十分あると思っている(軽井沢推しの筆者としては複雑)ため、今後の展開、直近でいうと4.5巻がとても楽しみだ。

以上が一之瀬の『介錯』に関する見解です。最後まで見ていただきありがとうございました。ではまた~。

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