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ようこそ実力至上主義の教室へ 二年生編5巻 考察!
どうもよう実考察してます、フロッグです!
今回も新刊の5巻を考察していこうと思いますので、最後まで読んでくれると嬉しいです。今回は学年内、というかクラス内のお話だったので、解説気味になると思います!
Ⅰ.「満場一致特別試験」解説!
二年生編5巻のメインとなる試験、「満場一致特別試験」。まずはそのルールと、出題された5つの課題をまとめてみよう。
『満場一致特別試験』
○5つの課題を満場一致になるまで繰り返す。
・一致しない場合10分間のインターバル。この間話し合いすることが出来るが、投票時間となると私語は厳禁。
・5つの課題を5時間以内に終了しなければ、クラスポイントが-300される。
・個別に投票の持ち時間も設定されており、一つの課題に60秒リスクなく使える時間があり、これを超える場合全体の持ち時間90秒が削られ、計90秒を使い切るとその時点で対象者は退学。
<試験の流れ>
1. 課題投票
2. 回答の一致or不一致
3. 満場一致の場合は課題クリアorその対象者を選定
4. 対象者にその課題を適応するか投票
5. 可決
※1で一致しない場合は10分のインターバルの後再投票。
※2で反対可決の場合はその時点で課題終了、次の課題へ。
※3はクラスの過半数で可決。
※4で一致しない場合は3に戻り選定し直す。この際反対可決された場合、選定された生徒は除外。不一致なだけ場合は選定に残る。
試験のルール、進め方としては上記のようになっている。
続いては、本番で実際に出題された課題を見ていこう。
<出題された課題>
①三学期に行われる学年末試験でどのクラスと対決するかを選択せよ。
【回答: Aクラス(100) ・ Bクラス(50) ・ Ⅾクラス(0)】
②11月下旬予定の修学旅行に望む旅行先を選択せよ。
【回答: 北海道 ・ 京都 ・ 沖縄】
③毎月クラスポイントに応じて支給されるプライベートポイントが0になる代わりにクラス内のランダムな3名にプロテクトポイントを与える。
あるいは支給されるプライベートポイントが半分になり任意の1名にプロテクトポイントを与える。
そのどちらも希望しない場合、次回筆記試験の成績下位5名のプライベートポイントが0になる。(いずれも減少期間は半年間)
【回答: ランダム3名に付与 ・ 1名を選び付与 ・ 付与なし】
④2学期末筆記試験において、以下の選択したルールがクラスに適用される。
【回答: 難易度上昇 ・ ペナルティの増加 ・ 報酬の減少】
⑤クラスメイトが1名退学になる代わりに、クラスポイント100を得る。
【回答: 賛成 ・ 反対】
このように修学旅行の行先という他愛のないもの、今後の試験での戦いを左右するものと、たった5つの課題で幅広いジャンルを出題したというイメージだ。今後の戦いでも、今回の選択が戦略を左右するという展開もあるだろう。
そしてこの試験の一番の難所である「退学orクラスポイント」という課題に、各クラスが悩んでいくことになる。
(ただ一つのクラスを除いてね…)
という感じで一通りまとめたところで、ここからは各クラスがどの選択をしたのかの予想を考察しながら、各クラスの現状を解説しようと思う。
Ⅰ-1.坂柳クラス
坂柳クラスは、龍園クラスとは違い完全に統治が済んでおり、坂柳の意見=クラスの回答となるシンプルな構図だ。
<課題選択予想(確定含め)>
課題① ➡ Ⅾクラス
課題② ➡ 京都
課題③ ➡ 付与なし
課題④ ➡ 難易度上昇
課題⑤ ➡ 反対 ※確定
まず課題①。二年生編4巻で交わされた龍園との「約束」、これを意識してあえて龍園クラスを選んだと考えられる。坂柳からすれば、そもそも負けることなど考えてなく、純粋に「龍園を叩きたい」という感情の元動くだろう。その結果今回の試験で成長を遂げた「龍園クラス」に敗北ということも十分あり得る。
課題②は完全に筆者の勘だが、綾小路や堀北が行きたがっていた「京都」を、また坂柳も押しているのではと思った。
課題③に関しては単純、「一之瀬クラスや龍園にプライベートポイントを支払ったため金欠であること」、「坂柳はクラスメイトを守りたいとは考えていない」の2点から、付与なしを選んだと考えた。
課題④は「学力」に直結する課題、そのため学年で最も平均学力が高い坂柳クラスは迷いなく「難易度上昇」を選び、ペナルティを回避しつつ報酬を狙っていくだろう。
課題⑤は本編でも語られた通り、危機的状況ではない現状でクラスメイトを切るという行為が「自らの支持に」悪影響であると判断した。その結果の「反対でのクリア」である。
【総評】
坂柳クラスは今回最も穏便に試験を済ませたクラスといってもいいだろう。だが、逆に言えば「切ることのできた不用な人物と獲得できたポイント」を放棄した結果でもある。この「100クラスポイント」に泣かされるという展開になることもあるかもしれない。
Ⅰ-2.一之瀬クラス
このクラスは、今回読んだ読者全員が感じたであろう「この宗教集団ヤベー…」となったクラスだ。リーダーとしての質うんぬん以前の話なのが浮き彫りとなった。
<課題選択予想(確定含め)>
課題① ➡ Ⅽクラス
課題② ➡ 不明
課題③ ➡ ランダム3人に付与
課題④ ➡ ペナルティの増加
課題⑤ ➡ 反対 ※確定
まず課題①、一之瀬クラスの得意不得意を考えると、最も真っ向勝負のできる堀北クラスを選ぶのが妥当だろう。学年末試験では一之瀬vs堀北となる可能性が高そうだ。
課題②、こればっかりは予想できない…当然自分が行きたいところを各々が述べたと思われるため、最終決定も予想は困難だ。ただ、「くじ引き」の手段を取りそうなクラスなため、堀北らの念願である「京都」だったら面白い。
課題③、これは一之瀬クラスでは迷わず「3人に付与」だろう。一之瀬クラスの価値観は、
『仲間>>>>>>>>>>プライベートポイント≧クラスポイント』
となっているため、たとえランダムでも退学阻止に直結するプロテクトポイントを3人に付与する選択を取るだろう。
課題④、ひとつ前の課題を受け、プライベートポイントの増える可能性のある「報酬の減少」は選ばず、且つ退学の危険が付きまとう筆記試験の赤点と直結する「難易度上昇」も消去。よって消去法で「ペナルティの増加」を選んだのだろう。実際、難易度が低ければ、一之瀬クラスならクリアは容易だ。
課題⑤、この選択が“我々読者に戦慄と恐怖“を与えたものとなった。
唯一の少数派である神崎が自らの退学をかけてまで訴えかけ、また星乃宮が過去の話を持ち出し警告を与えたものの、その他39名の意思が変わる気配もなく結果的に「反対」で試験を決した。
【総評】
一之瀬クラスはいわゆる「一之瀬を担ぎ上げた盲信者の集まり」と化している。
この半端なくヤバイ状況を変えるには、神崎以上の荒療治が必要になる、そう思わせるほどに危ない状況だと感じた。読者の皆さんの一之瀬自身がいなくなったほうが良いという意見でさえ納得してしまう。
しかし、そうなってしまうと綾小路の見たい「景色」にはならないだろう。
だが、我らが綾小路がきっと何とかしてくれる(綾小路で無理なら終わり)はずだ。
Ⅰ-3.龍園クラス
龍園クラスは、独裁政治を行っているが故の反発と「匿名投票」という要素に悩ませられた試験だ。だが結果的にクラス全体として最も成長できた結果となった。
<課題選択予想(確定含め)>
課題① ➡ Aクラス ※確定
課題② ➡ 不明
課題③ ➡ 付与なし
課題④ ➡ ペナルティの増加
課題⑤ ➡ 反対 ※確定
まずは課題①、時任の発言から龍園が坂柳クラスを選ぶことを強行した模様。この理由は十中八九龍園の持ちかけた坂柳との「約束」だろう。龍園のプランでは、恐らく学年末までに坂柳のプロテクトポイントを剥し、学年末試験で坂柳の退学を狙うのだろう。
課題②、こちらもクラスメイトに好き勝手に話をさせたため予想は難しい。
課題③、いまだに「プライベートポイントを集める」という龍園の戦略が動いているなら確実に「付与なし」を選ぶだろう。次点で「任意の一人に付与」で龍園にプロテクトポイントを渡す流れと考えられる。
課題④、課題③と同じく、プライベートポイントを得られる機会を損失する「報酬の減少」は選ばない。また、他クラスより学力面で劣る龍園クラスは「難易度上昇」を選べないため、おそらく「ペナルティの増加」を選択し、赤点回避の動きをするだろう。
課題⑤、時任などの反乱分子により一時は「退学に賛成」という流れになりかけた。だが龍園の垂らした救いの糸、椎名ひよりの葛城を巻き込むという機転により反乱分子の説得に成功、「反対」で満場一致にすることができた。
【総評】
この5つ目の課題のおかげで、今まで龍園クラスには存在しなかった要素、「リーダーに反論できる人材」の確保に成功し、クラスとしてまとまるための一歩を踏み出した。これからの龍園クラスはさらに手ごわい相手となることだろう。
Ⅰ-4.堀北クラス
今回最も波乱な展開になったクラスだといっても過言ではないだろう。櫛田の過去暴露や佐倉の退学など、今後の進退をかけたターニングポイントとなる試験となった。同時に綾小路の本領が垣間見えた試験でもあり非常に面白い展開だった。
また、クラスとして最も成長したのは龍園クラスだが、こと個人の成長という点ならば堀北鈴音が最も成長したと言っていいだろう。今回の堀北の成長は、綾小路でさえ想定外と言わせる程のものであった。
<課題選択予想(すべて確定)>
課題① ➡ Bクラス
課題② ➡ 北海道
課題③ ➡ 一人を選んで付与 ➡堀北鈴音
課題④ ➡ ペナルティの増加
課題⑤ ➡ 賛成 ➡佐倉愛里
堀北クラスに関しては、課題①~④までは本編で詳しく説明されているため解説は割愛する。課題⑤に対する主要人物の考えや動きを解説していこうと思う。
・櫛田桔梗の決断
この満場一致特別試験で櫛田は、八神に入れ知恵され綾小路と堀北の退学を強行しようとする。
取る戦略は「綾小路or堀北の退学」。まず「堀北が指示を出しクラスを導く」ことをクラス内で明確にする。そして「退学者を出す」という選択をした堀北を批判し、話の流れ次第で綾小路まで巻き込み「綾小路or堀北」の2択を出しどちらかを退学に追い込むという戦略。戦略自体も強力だが、何より櫛田のこれまで培った信頼が存分に発揮されるものになっている。
だが八神の誘導のせいで、櫛田の視野が狭まっていたのは事実だろう。
今回の試験、普段の櫛田なら確実に引き際を見て撤退してたはず。それを脅しと感情の煽り(八神自身への感情含め)で強行するよう仕向けた。
八神の演技力、そして誘導の巧みさが際立っている。
これによって八神は、綾小路にも「普段とは違う櫛田」という違和感と、バックに誰かいる可能性を示せた。
ともあれ櫛田は、このような戦略を展開し、後に崩壊していくことになる。
・綾小路の戦略
綾小路は今回の満場一致特別試験のルールを聞いた時点で、「誰かを退学にさせる課題が出る」ことを予期していた。当然櫛田が動く可能性があることを想定し、事前に平田には強引な手段をとると前振りをしていた。
綾小路の基本戦略は当然「満場一致で退学者を出さない」こと。だが、実際に起こったように櫛田の犯行で満場一致が困難であると判断したとき、「残り二時間を切ったタイミングで櫛田を切る計画を実行する」と決めていた。
実際は『綾小路に抱いたことのない不合理な感情』が芽生え、計画の修正をしたことで「残り時間1時間半」での計画実行となった。
「綾小路の計画」とは、まず退学者を出すという選択である「賛成」で満場一致に持っていく。次に話し合いの流れで櫛田に「綾小路か堀北を退学させたい」と言質を取り、そのうえで櫛田の過去を暴露する。そして、櫛田の持っている切り札を逆に利用し、櫛田が絶対悪だとクラス全員に認知させ櫛田を排除するという計画だ。
この際、櫛田の最後の抵抗である「爆弾の投下」を利用し、櫛田自身で退学を決定付けるよう、クラスに多少の犠牲があることを承知であえて暴露をさせた。
この完全な綾小路の完封勝ちで終了かと思いきや、ここで著しい成長を遂げたのが堀北鈴音だった。
・堀北鈴音の決断
堀北は、綾小路の完璧といえる誘導を聞き、自分には何ができるのか、何をすべきなのかを考えた。
「櫛田を切ることは100クラスポイントでは釣り合わない」
「櫛田を残しタイムアップで試験を終えることは、-350クラスポイントでは釣り合わない」
そう結論づけた堀北は、クラスに最も不要な人物を切ることが正解だと結論を出し、佐倉愛里を切る決意をする。
櫛田を罵倒しこれまでの清算をさせるため、そして櫛田を残すことがメリットだとクラスに向け断言して見せ、櫛田の救済をすることに成功する。
そして自ら「退学になるべき人物」を提案しようとした…。
・綾小路清隆の決断
櫛田の退学を強行するつもりだったが、堀北の主張の強さに驚く。堀北を説き伏せる難しさや櫛田懐柔に希望が持てたことから、綾小路もまた「不用な人物」を切る戦略に変更。
リーダーとして急成長中の堀北にヘイトを集めるデメリット、一手もミスできないほど切迫した残り時間を加味し、綾小路自ら佐倉愛里に退学を指名する。
好意を向けた相手から引導を渡された愛里の行動、それを守る長谷部の行動を完全にコントロールし、「佐倉愛里」の退学による満場一致で決着をつけた。
【総評】
この試験を経て、一時クラスは険悪モードになることだろう。だが、半クラス崩壊に陥るという状況でもそれを補って余りあるほどの「堀北鈴音の成長」「櫛田桔梗懐柔の可能性」が獲得できた。クラス全体を巻き込むことは、裏を返せばクラス単位でレベルアップできるチャンスになるということ。
今の課題を乗り越えたとき、堀北クラスはとてつもない力を持つことになるだろう。
Ⅱ.綾小路の移籍説について
これまでも一つの可能性として出ていた「クラス移籍説」。この説がこの5巻で現実味を帯びてきた。というか、ほぼ確定といっていいだろう。
これまで筆者は、「一之瀬クラスは自分たちで改心できる可能性もあるのでは」という方向でも考えていた。が、今回の一之瀬クラスを見て、「クラス内から変えることは不可能」だと断言できる。
衣笠先生も「外部からの介入がないと変えられないよ」という回答をくれたのだろう。今回は、一之瀬クラスへの移籍説の根拠を簡単にまとめてみる。
<一之瀬クラスへの移籍説>
・一之瀬クラスとの絡みの増加
・葛城という前例
・堀北に積極的にアドバイスを始める
・軽井沢や平田に、堀北のサポートができる力を身に着けさせようとする
・綾小路の「いつでも、いつまでもオレがフォローできるわけじゃない」という言葉。
・坂柳理事長の「体育祭の欠席」を真剣に検討
・綾小路がいない体育祭を想定をしようとする
・一之瀬クラスの異常なまでの「妄信」
・今回の試験で「目立った」こと。
・神崎の「俺にクラスを変える資格…いや実力がなかった」という発言
・(メタ的発想)一之瀬クラスが二年中盤で敗北が確定することはあり得ない
このように、二年生編5巻で一気に根拠が増えており、少なくとも綾小路が堀北クラスを離れる準備を始めていることがわかる。もしも移籍するのなら、先ほども述べた通り「内部からの変革が困難」な一之瀬クラスへと移り、立て直しを図るのだろう。
ではどうやって立て直しを図るのか。その答えになるかもしれない、今回の巻で気になった発言がある。
長谷部:「あの子は今全然目立ってない“原石”だし…」
綾小路:「愛里があの手の衣装で全力を出せば無双するかもしれない。学校関係者も驚くだろう」
一見普通の会話だが、綾小路がそう考えていた上で佐倉をメイド喫茶の店員に誘ったということは、その“原石”を開花させようという行動に出たのだと思える。奇しくも佐倉は退学してしまったが、生き残っていれば実際に注目を浴びることになり「アイドルという本来の姿」をみんなの前で受け入れてもらえただろう。
これまでも綾小路は、軽井沢や平田、堀北など『原石の蕾』たちに手を加え、才能の開花を手伝ってきた。その結果として「Ⅾクラスの浮上」につながっている。そしてその目的は『ホワイトルームを超える人材、集団』を育成し、戦うことだと考える。そのために堀北にリーダーとしての成長を促したり、龍園の独裁政治にもアドバイスを送っているのだろう。
そして助言を送ったもう一人の相手である「一之瀬帆波」。綾小路が彼女に求めているものとは何だろうか。筆者はこれを『クラスから誰一人欠けず、全員で戦っていける集団』を作ることであると考える。
綾小路:「その1年間、どこまでもクラスメイトと共に突き進んでみるんだ。途中、嬉しいことも悲しいことも、時にくじけそうなこともあると思う。それでも、絶対に立ち止まるな」(11.5巻)
綾小路の助言からも、一之瀬には「誰一人として退学にはさせない」という絵空事を実現してほしいという意図が見えてくる。綾小路はホワイトルームで唯一生き残った『個の完成形』だといえる。その綾小路が見たいのは、最強の個に対抗できる『集団の完成形』だ。
坂柳・一之瀬・龍園・堀北という考え方の違うクラスのリーダーが存在する、綾小路にとって好都合な環境が存在する高度育成高等学校。綾小路にとってすれば、三年間で四通りもの「集団」を作ることができる絶好の場だ。
そこで一之瀬に求める「集団」は「誰一人欠けさせない集団」、これを望むからこそ、綾小路は一之瀬クラスに移籍してまでクラスの立て直しを図るといえる。そして一之瀬ではどうしようもなくなった時、『介錯』によって一之瀬クラス救済を行うと考える。そして一之瀬をただ助けるということではなく、一之瀬クラスに眠っている原石たちの開花を行うのだろう。
『綾小路自身が見てみたい』という、ある意味自分のために動いていると考えると納得できる行動原理だ。
鬼龍院の留年
まだ一之瀬クラス立て直しの適任者が綾小路しかいない状態だが、留年の可能性のある「鬼龍院風花」の動向にも注目していきたい。
ポイントを使った留年、あるいはAクラス卒業の特権「どんな進路でも叶える」を使った留年などの方法が考えられるが、配属先が「最下位のクラス」になることは十分考えられる(いきなりA配属は批判が大きいと思われる)。そうなったとき、最も最下位をひた走っている可能性の高い一之瀬クラスへの配属は十分あり得るのではないだろうか。
次の体育祭、文化祭で鬼龍院がどれだけリーダー適正があるのか見えてくるかもしれないため、そこにも注目だ。
Ⅲ.茶柱佐枝の成長
5巻の独白でもある茶柱先生だが、これまで引きずってきた過去からついに決別をすることが出来た。
茶柱先生は10年前、当時高校3年の3学期に「満場一致特別試験」を体験していた。茶柱先生の所属するクラスはBクラスだったが、Aとは「73クラスポイント」差という大接戦。茶柱先生の「想い人」であったクラスのリーダーは、賛成で満場一致をさせ、自分の退学を立候補する選択を取る。だが茶柱先生だけがリーダーの退学に賛成することが出来ず、また相手も茶柱先生を退学にすることが出来ないまま、時間切れを迎えてしまった。
この「過ぎ去った過去」に茶柱先生は永遠に囚われ続け、本心ではAクラスを夢見ながも前を向けずにいた。
だが今回、自分のクラスの選択を見て、そして綾小路に自らの『告解』を述べ、綾小路の言葉を受けてついに『前を見ること』ができるようになった。
過去と決別することが出来た茶柱先生を見て、綾小路は本心から茶柱『先生』と呼び、教師として認めた。
これからクラスにどんな悲劇があろうとも、茶柱先生は「教師として」クラスを導く先生であり続けることが出来るだろう。
そして一之瀬クラスの担任である星乃宮先生、彼女もまた過去と現在を比べ悩む教師だ。
茶柱先生と星乃宮先生の抱える問題は、同じようで別物だ。
茶柱は「過去の選択自体を悔いている」のに対し、星乃宮先生は「過去の選択が間違ったものと捉え、同じ過ちを犯す一之瀬クラスに憤りを覚えている」。
クラスメイトを切るべきだったと考える星乃宮が前を向けるには、クラスを誰一人欠かないことが「ひとつの正解」だと示す必要があるだろう。
綾小路が一之瀬クラスを変革するとき、彼女もまた「選択した過去」と「目の前の現在」を受け入れられるようになるのだろうか。
IV.綾小路に「感情の乱れ」が!?
満場一致特別試験で、綾小路は一見無慈悲な判断をし続けたと感じるだろう。だがこの試験中、綾小路は「自分の感情」で計画の修正を行っている。それを表している文章が下記のものだ。
綾小路:「なのにオレは、投票時間になっても計画を実行することを躊躇っていた。何故だ。理想のルートは外れ、既に計画遂行のために必須な所有時間も迫っている。(中略)だがそれでも、貴重な時間を削ってでもあと一度だけ反対による満場一致を試したい。抱いたことのない不合理な感情がオレの脳裏に浮かび上がってくる。」(p232、17行~p233、3行)
本来綾小路は平田にも事前に話した通り、「残り時間2時間」で計画実行を行うつもりだった。これは慈悲などかけず櫛田排除を行うという意向だ。だが、上記のように迷いが生じた結果、「残り時間1時間半」で実行という予定変更を行っている。そして「もう次はない」という状況を作り櫛田に向け最後の慈悲をかけることまでしている。
今までの綾小路なら、ただ淡々と処理をしていっただろう。だが今回、櫛田の暴露をしないで、反対による満場一致にできるならという希望に賭ける行動をした。
綾小路自身「何故だ」と考えていることから自覚していないようだが、これまでの一年半の経験、そして堀北学の置き土産が綾小路の感情を少しずつ変化させているのではないだろうか。最終的に喜怒哀楽を持つようななるかはわからないが、「綾小路清隆は欠陥品である」と言わせる最もな原因、『人間として働くべき感情の部分』が生まれる、いや取り戻すという展開もあると感じた。
今まで、そしてこれから数々の人間の「欠陥」を克服させていく綾小路が、最後はその人々の力で「自らの欠陥」をも克服するのかもしれない。今はホワイトルームに戻る未来しかない綾小路だが、別の道を見つけられることを祈りたい。
Ⅳ.まとめ
2年生編5巻を読んでの解説&考察いかがだったでしょうか。
今回はクラス内の試験ということもあり、ホワイトルーム関連や南雲関連の進展は少なかったですが、その分各クラスの成長と課題、そして綾小路自身が今後どうしていくのかが見えてくる巻だったと思います。
個人的にはとても満足のいく巻で、歴代最高評価の1-7巻と勝るとも劣らないほどの良い巻だった感想です。次巻は体育祭メインの構成になるはずなので、綾小路が無双するのか、はたまた欠席するのか楽しみにしながら待ちたいと思います。
では、今回のところはこれで締めたいと思います。見て頂きありがとうございました。また次の考察も見てくれると嬉しいです。