ようこそ実力至上主義の教室へ    2年生編3巻 まとめと考察

 今回の「よう実」2年生編3巻では、「無人島サバイバル」と呼ばれる全学年が入り乱れて戦う試験が始まり、全14日中7日目までの様子が描かれていた。その中で重要な場面やポイントを考えてゆく。
※あくまで個人の意見ですのでご了承ください。

目次
Ⅰ.試験内容と各学年の戦略予想
Ⅱ.篠原グループ襲撃事件の考察
Ⅲ.ホワイトルームからの刺客は誰なのかの考察


Ⅰ.試験内容と各学年の戦略予想

まずは、試験の概要抑えるべきポイントをまとめていく。

●無人島サバイバル試験内容

○無人島で最大2週間、得点を集め競い合うサバイバル試験。
○得点獲得には、地図上の指定されたマスに一定時間ごとに到着することで得られる『基本移動』と、無人島各地に発生する『課題』より得点を得る方法の2つ。
『基本移動』には、そのエリア内に入るだけで全員等しく1点得られる「到着ボーナス」と、エリアにたどり着くのが早かった3グループに与えられる「着順報酬」が存在する。
『基本移動』①7~9時②9~11時③1~3時④3~5時の計4回の移動指定が行われ、のち一回はランダム指定。
・各グループは12のテーブルに分けられ、それぞれの指定エリアを追っていく。指定エリアを3回連続スルーでペナルティ、連続スルーが続くほどペナルティは重くなる。
『課題』は様々な能力が必要とされ、その内訳は「学力4割、身体能力3割、その他能力3割」となっている。
『課題』は得点のほか、食糧や水などの報酬があるものも含まれる。
○試験終了時、上位3グループにはクラスポイントの報酬、下位3グループはクラスポイントの減点、下位5グループは退学のペナルティ(プライベートポイント支払いで回避可能)。上位50%、70%入賞でそれぞれプライベートポイント獲得。


この試験で抑えるべきポイントは
「上位3位以内に同クラス(最低でも学年)が入賞すること」
「下位5グループに同クラスの含まれるグループが落ちないこと」
の2点。それ以外のグループは実質的にどの順位でも変わらないため、上位と下位のグループをどう対処するかが重要である。ここからはこれらを踏まえた学年ごとの戦略を予想していく。 

〇3年生
ビーチフラッグの課題の場面で分かるように、3年生の各グループ同士は連動して動いている可能性が高い。また、基本的に「課題の差し押さえ」を目的としており、3年生で課題を抑えた後に、お互いに競い合っている模様。(ここからどこかのグループを勝たせるといった戦略は見えない。)南雲が用いるであろう他学年上位グループへの攻撃も、この課題差し押さえによる得点源減少だと思われる。また、グループの合流時に発生する得点の平均化を利用し、下位に沈む3年生グループを救済、順位の総入れ替えを行うものと思われる。

〇2年生
上記の戦略と、篠原グループの事件を踏まえ、基本は3年生と同様、課題差し押さえに動くと思われる。3年生との違いは、4クラス全体で意思疎通を図り連携を執ることで、同学年の下位グループ救済を行うこと。
また、この試験の肝である「上位3位以内に同クラス(最低でも学年)が入賞すること」「下位5グループに同クラスの含まれるグループが落ちないこと」を踏まえ、各クラス選りすぐりの数グループ(綾小路・高円寺・龍園グループ・坂柳グループ等)を選抜、上位3位を狙わせること、そして他のグループは下位グループの支援に当たるという戦略を執ることも可能である。
つまるところ、「上位を狙う」ことと「下位の救済」の両立の戦略である。

〇1年生
1年のリーダー格のほとんどが綾小路退学試験への舵取りをしているため、結果的に無人島サバイバル試験に対しては後手に回る可能性が高い。基本の戦略としては2巻の1年の会合より、八神達の1年選りすぐりのグループor宝泉達の曲者グループが上位に食い込むことを目的としたグループ、他は下位に落ちないようバランスよくグループ分けをしたのだと考えられる。しかしながら、綾小路の退学を巡って互いに争う&ホワイトルーム生の刺客の件もあり、連携は難しいと言える。


そして試験に関してもう一つ気になる点が、
課題達成により水を得ることのできる「競争」の課題についてだ。
この「競争」の課題をまとめてみると、
・出現したエリアや時間がきれいにそろっている。
・1日目に計8回行われた。
・3日目3時30分にH4地点で「競争」の課題が出現、これを綾小路は予測できた。

といった具合である。ここから推論を立てていくと
①8:00 ②9:30 ③11:00④12:30 ⑤2:00 ⑥3:30
1時間30分ごとに2箇所ずつ出現で、1日目の計8回行われた事になる。
また、場所については、島の地図を、陸地のみに絞った「C~H・3〜8」の縦横6マスに限定、「C~H」は上記の①~⑥に連動、「3~8」は1回に2箇所を3日ごとにループ。
このルールならば、綾小路が3日目に6回目の「競争」の課題で出現するエリアを推測できる(3日目のため、他の4つのエリアは既出)。
できるだけ島の内部を中心とした出現は、各場所で動くグループにとっては参加しやすいほか、規則性もあり、可能性として有り得る。

画像1

Ⅱ.篠原グループ襲撃事件の考察

次に考えていくのは、4日目早朝に襲撃された篠原グループについてだ。

試験4日目 篠原グループ事件
篠原・小宮・木下が午前5時前にI4地点を移動中、篠原がトイレで離れたタイミングで小宮・木下が崖下に転落。この際2人とも左足に大怪我を負いリタイア。
篠原曰く2人は誰かに突き落とされた。

疑問点
1.何故篠原グループを狙った?
2.何故篠原だけを残したのか?
3.何故犯人はGPSに映らない?
4.犯人と七瀬が追いかけた人物は同一なのか?

考察
①天沢の警告説
1巻でのナイフの一件ように、今後の綾小路を案じての警告の可能性。月城の言っていたI2地点は地図の感じから崖の可能性がある。仮に天沢=ホワイトルーム生であり、月城の言っていたI2地点の最終手段を知っているとするのなら、背後から襲撃され崖下に突き落とされること、その際足の負傷を理由にすることなどを暗示している。I2地点が崖でない可能性もあるが、その場合でも3巻ラストの挿絵は背後からの襲撃を暗示しており、これへの警告ととることもできる。月城サイドも、この一件には、「現場に居合わせた綾小路なら真相に気付いても不思議ではない」と言及しており、何らかの関わりがあるだろう。
また、七瀬が追った相手の特徴として髪型と髪色があげられており、且つ七瀬がよく知る顔である点から天沢の可能性は十分あると考えられる。足跡を残したのも痕跡を残すための可能性もある。


②天沢以外の刺客説
これは刺客が綾小路を退学させるための布石である場合。基本的に篠原グループの小宮・木下を襲う理由はないが、この一連の事件の先に目的があるとするなら戦略のひとつとして納得のいく。
例えばだが、
篠原グループ襲撃(篠原のみ残す)→篠原グループ退学の危機→綾小路が篠原を救うため学年間の根回しを始める
といった、あえて篠原を残すことにより綾小路が対策を打つという行動に誘導出来る。あくまでひとつの例だが、こういった形で行動を誘導した先で目的を達成するというやり方もある。刺客の仕業なら、月城側が証拠隠滅をすることは明らかであり、GPSが反応無しなのも納得。この場合は犯人と七瀬が追った人物は別なのかもしれない。

この事件に対して、月城は「現場に居合わせた綾小路なら真相に気付いても不思議ではない」と言っていることから、月城側にとってやらねばならないことだったが、綾小路に見せるつもりではなかったとも受け取れる。


Ⅲ.ホワイトルームからの刺客は誰なのか?

この問題は、2年生編が始まった当初から考察されている問題である。今回の3巻で、七瀬は「一般生の刺客」であり、「ホワイトルームの刺客」ではないことが明かされた。2年生編3巻までの各人物の動きを見ながら、誰が刺客であるのかを予想してみる。

1.八神拓也
この人物は、個人的に最も「ホワイトルームの刺客」足りえる存在ではないかと推測する人物である。

根拠
①八神は綾小路を退学させる気はないと言っていたが、その実櫛田を利用し退学を狙っていた。(椿曰く宝泉や天沢以上)
②椿らとの集会の際、天沢が試験参加者という認識があり、それを周りも疑問に思わない。=綾小路に説明した綾小路退学試験の内容が嘘の可能性がある。
③椿・宇都宮に櫛田の過去を話した際、「櫛田桔梗の過去と、『それを知った綾小路清隆のこと』を全て話した」とある。つまり綾小路が櫛田の過去を知ってどのような対応をしたかまで知っているという事。櫛田は何より自分の弱みを見せることが嫌いである為、八神に情報を渡すとは思えない。
④櫛田には「椿・宇都宮・高橋・宝泉」に櫛田の過去を話したと言っているが、実際には「椿・宇都宮」である。
⑤そもそも櫛田と会ったのは「5日目」、1年の集会は「6日目」である。この5日目の時点で「誰に話したか」はさておき話したと伝えた。
=この時点で八神は最初から集会に集まるメンツに櫛田の過去を話す予定だった。
⑥八神は七瀬の犯行日を知っていた。誰かしらの協力者(八神曰く信頼できる人)がいる。=司馬先生が協力者であり、きな臭い考えの側の人間、八神はそちらの指示に従っている可能性もあり?
⑦八神は櫛田に約70万のプライベートポイントを渡しているが、現状1年生が70万を貯めるのは現実的では無い。(仮にクラスポイントを増やしていても、単独では半分の金額程度しか集められない)
⑧4月の最初の接触で、八神が櫛田に近ずいたのは綾小路を退学させるためと考えられる。とするなら、この時点で八神は綾小路と櫛田の関係を知っていた可能性もある。そもそも、この二人の関係を知らないと、櫛田を利用しようという考えに至らないのではないか?

以上のことから、「ホワイトルームの刺客」は八神である可能性は十分あると推測される。櫛田を利用したのは、常に綾小路に張り付いている天沢の注意を惹き、その間に仕掛けるためなのかもしれない。

2.天沢一夏
この人物も、刺客の予想という上では八神以上の最有力候補である。

根拠
①これまでの天沢は、1巻のナイフの1件では意図的に証拠を残して綾小路を助けたり、今回の3巻では、篠原グループ襲撃事件にかかわっている可能性の最も高い人物で、何かしらの事件に関与している。
②櫛田との接触の際の、櫛田の情報(綾小路でさえ知らない情報)や、綾小路に対する感情の異常さ、綾小路の情報を多く持っている節を感じさせる言葉などから、普通では知りえない情報を持っているため。
③篠原グループ襲撃事件の際、近くで尾行していたと予想される天沢が、教師のGPSに映っていないこと。=月城側が改ざんした可能性あり。つまりはホワイトルーム生であり、月城側と通じていると予想される。
④無人島試験中、綾小路を尾行するだけの体力、綾小路に対しても引けを取らない読みの深さ、OAAで示された学力の高さなど、超人的なスペックを誇っている。

以上のことから、高確率で「ホワイトルーム生」である、または坂柳のように「ホワイトルーム関係者」であると言えるだろう。俗にいう『崇拝』の生徒が天沢に当てはまるかもしれない

3.椿桜子
この人物は現状大きな動きをした形跡は見られないが、宇都宮の陰からひそかに動いていた人物であり、刺客の可能性はあると言える。

根拠
①宇都宮の陰で、秘密裏に動いて綾小路の退学を狙っていた可能性がある。また、そのことを一切表に出していない。
②八神と櫛田の関係に気付き、自身の洞察力の高さから八神が櫛田を使い綾小路の退学を狙っていることに気付いた。また、これを利用し、作戦を立てている可能性がある。 
③自身のOAAは全体的に中の下であるが、これまでの動きから実力を偽っている可能性が高い
④2巻SSの「深層心理にはまだ踏み込まない」から、綾小路退学試験が一学期いっぱいにしては悠長に構えている→それ以外の目的(綾小路を屠り去る等)を持っている可能性がある。また、綾小路の言動を聞き「流石だ」とか感じていることから、綾小路に対して事前情報を持っている可能性がある。

しかしながら、実際に椿が持っていることがおかしい情報がない点や、八神の演技まで気づけていない点、現状何においても可能性があるだけである点から、現状上記の八神や天沢よりも刺客の可能性は落ちると考える。とはいえ、逆に言えばどの情報も正確に推し量れないという怖さを持っている人物である。

4.宇都宮陸
この人物は、現状の表向き1年Cクラスリーダーのような存在であり、綾小路の退学を狙う一人である。また、身体能力の高さは宝泉に匹敵する可能性のある人物である。しかし実際にはバックに椿が存在し、椿の指示のもと動いている可能性が高い。

5.宝泉和臣
宝泉は、初めに綾小路を狙って戦略をとった人物である。身体能力の異常な高さや見た目にそぐわない学力戦略眼や機転の良さなど、刺客であってもおかしくない能力を持っているが、問題を起こしかねない目立った戦略や性格より、現状刺客の可能性は低いと言える。


以上のことから、結論として
・「ホワイトルームの刺客」=八神拓也 『憎悪』
・「ホワイトルーム生」=天沢一夏 『崇拝』
・「一般生の刺客」=七瀬翼 (確定)
・「頭の切れる一般生」=椿桜子
・「椿の駒」=宇都宮陸
・「頭の切れるゴリラ」=宝泉和臣
であると予想する。

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