ARTとWell-beingの研究記事 その3:自己認識の探究について
こんにちは。
Art Education Research UMUMの田中令です。
2019年の9月から若手医療チーム マチマニアさんと「アートとWell-being」の研究会「UMUMアートラボ ART×Well-being」をスタートしました。
Well-beingとは、諸説ありますが
直訳すると「良くいること」=「精神の健康」を意味します。
近年Well-beingの考え方がサービスや政策において注目されている一方
現状ではWell-beingに明確な定義はありません。
この研究会の運営メンバーは
医師をはじめ、研究者、医療系会社員、福祉関係者など
様々なプロフェッショナルが集まっています。
ここではその個性を生かし
メンバーのそれぞれの視点&専門分野から研究記事を綴っています◎
これまでの記事はこちら
ARTとWell-beingの研究記事 その1
「UMUMアートラボ ART×Well-being」 開催レポート
ARTとWell-beingの研究記事 その2
アートと健康の接点とは?5つの分類から知るArt in Healthの関係性
今回はメンバーの一人で、メディカルクリエイターのもっくんの記事です。
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こんにちは。
マチマニアメンバーのもっくんです。
先日から連載を始めたART×Well-beingの研究記事。
今回は第3回目となります。
第1回、第2回の記事も読まれた方は、だんだんメンバーがしていることが見えてきたのではないでしょうか。
━━━と、ココで1つ質問です。
「そもそも皆さん医療について考えると言うと、どんなイメージを持たれますか?」
医療は難しい領域・堅い領域と捉え、どちらかというとネガティブなイメージを持たれているのではないでしょうか。
でも、大切なことだし・・・と思っているところもあるのではないでしょうか。
私も医療の領域に関わるまではそんなイメージでした。
(と言いつつ今でも専門的なことも多く難しさは感じています)
我々はそんな領域だからこそ、楽しいことをしながら考えたり、学んだりしていく場があれば良いのではないか、という想いを持ち、このような活動を始めました。
その楽しいことの共通言語に「アート」があり、アートに興味を持つメンバーで運営を行なっています。
私はアート×医療の取り組みの1つとしてまちづくりと医療をテーマにしたボードゲームを作製し、定期的にゲーム会も実施しているので宜しければ是非そちらも遊びに来てください。
さて、今回のテーマは「自己」について記載していきたいと思います。
汝自身を知れ
紀元前400年頃の古代ギリシャ人によって刻まれた
デルフォイのアポロ神殿の入り口にある言葉です。
この言葉をソクラテスは下記のように解釈しています。
「私はいまだデルフォイの碑文に刻まれているように、己自身(自己)を知らない。ゆえにそのことを自覚しているうちは、些細な事柄を研究しても仕方がないように思える」
この言葉は他に下記のような解釈もされています。
「身の程を知り、謙虚さを忘れてはいけない」
「現状に盲目的に従うのではなく、真実を直接的に捉えるよう志すべき。大衆の意見に惑わされず、一般に受け入れられた風習を疑いなさい」
様々な解釈はありますが
自己認識の探求が他のどんな知的探求よりも重要なこと
を言っているのです。
また「自己」の「自」というのは、元は中国で自分の「鼻」を表した言葉のようで、顔は大事なものであり、その中心にあるものが鼻ということから、語源からも如何に昔の人が自己を大切に捉えてきたかわかります。
しかし、他人の鼻は見えても、自分の鼻は見えませんよね。
自分を見つめる、自分を反省するといったことの難しさもこの言葉からわかります。
こんなことを書いていると、高校の頃に倫理を学んでいた時のことを思い出します。
当時、受験勉強の為に勉強していたことではありましたが、個人的には結構楽しく学んでいましたし、その時から何気なく、この領域に関する興味があったのかも知れません。
私、実はテラスハウスや最近話題になっているバチェラーが大好きなのですが、以前からこれらの番組をただの恋愛バラエティというより、もっと深い哲学的な番組なのかなと感じて観てきました。
そこで生活している人が何か夢・目的を持って真剣にアクションをしている姿に非常に感化され、またそのように真剣に生きている人から発せられる言葉などに良くも悪くも内省させられることが多くあります。
他人の生活の中に第三者的な立場で介入していくことで、どこか自分をそこに重ね合わせているのかもしれません。
(少し硬く書いていますが、純粋にワクワクドキドキしながら楽しく観ています!)
自分の鼻を見る為には鏡が必要なように
自己を見る為にはこのようなツールが必要なのかもしれませんね。
ツールによって視覚化されることで認識でき、その視覚化の中には数値化・言語化・図示化などがあるのかもしれません。
デザイン思考の分野で「カスタマージャーニーマップ」というものを使用したりもしますが、これは課題を視覚化し解決する良いツールの一つとも思います。
課題と捉えている点を起点として
時間を横軸にして課題の前後で起きる事象を並べ(=起点前後の事象変化を捉える)
その並べた事象に対して感情を縦軸にすることで(=起点前後の感情変化を捉える)
事象分析を行い、課題と捉えている点の本質的な課題を探っていく方法になります。
また、この素晴らしい点は、課題を視覚化することで同じ場でワークしている人と共通言語ができる為、場にいるメンバーとの共感が得られ、1人でなくメンバー同士で課題解決策を練っていくこともできることです。
自己について1人で考えていくことは簡単ではない。
だからこそ場を使って自己を考えることは大切なのかもしれません。
UMUMアートラボ ART×Well-beingでは
このようなツールとなるものも研究していこうと思いますので
私自身も今後のワークショップを通じて、自己を見つめなおす機会にしていきたいと思います。
最後にメッセージを一つ。
子供向けのインタラクションデザインの分野ではWell-beingの要素にいち早く注目しており、その活動の中で下記項目の行動・性質を促進しているようです。
・社会的交流とつながり(social interaction and connectedness)
・学習(learning)
・表現(expression)
・遊び(play)
これはどれもWell-beingを左右する要素と捉えられているので
私生活の中でこれらを意識すると生き生きとした生活が生まれるかもしれません。
ARTとWell-beingの研究記事 その3は、ここまで!
UMUMとマチマニアのコラボ企画、続きます!
記事を読んで頂き、ありがとうございました!
<次回の研究会開催のお知らせ>
第2回UMUMアートラボ ART×Well-being開催決定!!
日時:12月8日(日)9:00~12:00
会場:美学校(〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20 )
対象:医療福祉従事者、医療従事者
「Well-being」に興味のある方
「健康」と「アート」にピンと来た方
✴︎アート、医療関係以外の方も、テーマが気になる方は大歓迎です!
詳細、お申し込みはこちらから
https://umumlab-aw.peatix.com/
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