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オナホ長屋
一席お付き合いいただきます。
今日はオナニーの話で――まあそう嫌な顔をせず。バカにできないもんですよ。なんせ人間の三大欲求は食欲、睡眠欲、そして性欲と申します。食う、寝る、シコる。これは人間にとって必要最低限の行為な訳です。
男性の方ですと、一番身近な手を使う以外に、オナホなんてものもございますね。最近では冷たいのやら電動やら色々ありますけども、昔はそんなのございやせんから、蒟蒻なんかをちょとぬくめてね、真ん中に穴を開けて……なぁんてやってたわけでございます。
ある長屋に、オナホの八と呼ばれる男がおりました。
その通り名からとんだ性欲魔人かと思われましょうがさにあらず。この男、オナホを使うことよりも作ることに命を賭ける、そういう変わり者でございました。
「おおい、八っつぁん!」
「おお、長さん。ちょうど良かった、見ておくれ今回のはすごいぞ、ブンブン駒の原理を流用して……」
「いや、新作のオナホはいいんだよ。気になるけど。それよりよ、この長屋に凄い男が来るらしい」
この長屋、近所からは「寡長屋」なんて渾名されていまして、男の一人所帯ばかり。住人は皆八のお客というわけです。
「何が凄いんだい」
「イチモツがな、デッッカいらしい。デカすぎて、受け止められる女がいなかったって話だ」
「それは腕が鳴るねぇ。特別デカいのをこさえないと」
「いや、こればっかりは八っつぁんでも無理だ。なんたってそいつは、八間竿って呼ばれてんだ」
八間と申しますと約十メートル、この長屋を端から三軒ぶち抜いた長さでして、これはもちろん誇張表現ですが、八という男、妙に生真面目なところがあって、これを額面通りに受け取った。
「八間! そりゃあ参った、いくらおれでも作ったことないデカさだ。しかしそんなに立派なモノなら尚更オナホが必要だろう」
うーんうーんと頭を悩まし、ハッと八がひらめいた!
「そうだ! この長屋全体を巨大なオナホにしてしまおう!」
【続く】