第2回 絵本作家は地獄の夢を見るか
こんにちは #あさおようは電気毛布の夢を見るか 第2回はじまりました!
今回から4回ぐらいつかって絵本『じごくのさんりんしゃ』(フレーベル館)をどうやって作っていったかを連載していこうとおもいます。
自著に関して喋りたいことは、沢山あります。
でもそれだと
間延びしてしまうので、短く。簡潔に。楽しく。ワクワクするような
ハッピーでライクでラブな連載を。とか考えていたら4回ぐらいがよいんではないかと、なりました。お付き合い頂けたら嬉しいです。
『じごくのさんりんしゃ』とのつきあいは長いもので、これは2016年12月に描かれたイメージ画になります。
それを完成させたのがこちらの『じごくのさんりんしゃ』
有田川町絵本コンクール2017という絵本コンペで優秀賞をいただき
電子図書化(無料で読めますよ(⋈◍>◡<◍)。✧♡)してもらったものです。
この受賞作『じごくのさんりんしゃ』もたいへんでした。
最初に「三輪堂」(作中に出てくる三輪車の専門店)を一枚20円の安い紙に描いたのですが(2016/6)
水彩絵の具の滲みがよい感じ♪
とおもって原画もこれで描いたら、紙が薄くて破けるわ。ボロボロなるわ、、
思い出したら涙が。。
おっと失礼。よくぞ話を戻してくれました!(すぐ、話それるんす申し訳ない)
さて、フレーベル館で出版された絵本ですが
有田川町で電子図書化された『じごくのさんりんしゃ』をたたき台にして
新たに絵本として出版しよう!とフレーベル館さんと作り上げたのが、今
大人気!(しんじてるよ。。)絵本『じごくのさんりんしゃ』です。
絵本出版にあたって、まず初めにフレーベル館の編集さんが仰ったことは
「一から作り直すつもりで描いて下さい」というものでした。
これには僕も大賛成で、そもそもコンクールの作品はじごくの「じ」も知らないで
「地獄?なんかあれでしょ?閻魔とか鬼とかがいて痛くて怖くて恐ろしいところですよね」
ぐらいの知識しかなく作られたものだったからです。
でも、実際に販売される書籍としては、まがりなりにも仏教の一概念を拝借するにあたって(超マジメえらい)地獄を知らずに描けましょうか。
ということでまず取り掛かったのは地獄について知ることでした。
はじめに地獄について調べて分かったこと。
それは「地獄」という概念がそれ単体では存在しえないこと。でした(ガチョ〜ン)
つまり輪廻転生おもに五趣・六道輪廻の世界観が大前提にあり、地獄とは「地獄道」のこと(天道・人道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の内の一つ)にすぎず極楽と対を成すものではない。ということです。
仏教においてはこの輪廻の輪から外れるために、悟りを開こうと修行したり、仏陀の教えを守ろうとしたりするのです。
仏様の教えを、一般の人にも分かりやすく伝えるための手段としてお坊さんが人々にする「お説教」というものがあります。
そのお説教は、今と違い江戸時代ぐらいまでは仏画を前にした「絵解き」というのが主流だったようです。
絵解きとは、例えば地獄絵(地獄を描いた絵)を前にして字の読めない信徒たちに絵を解説しながら仏様の教えを説いていく。というものです。
時は江戸。日本文化の発展が興隆を極めた時代。
お寺のお坊さんが「地獄絵」を絵解きしながら進める法話は
庶民の間でも大人気となりました。
ところが明治時代に入りますと寺院本山での絵解きが禁止されてしまいます。
これはなぜか?
その理由に
あまりにも「地獄絵」を通した法話が面白すぎて
猫も杓子も地獄絵、地獄絵。仏教の教えを曲解したような仏画が出回るようになってしまったから。というのがあります。
それを知った時、僕はこの絵本に襟を正し正面から向き合わないといけないな。と感じました。
自戒を込めていいますと、昨今の絵本における地獄人気
先人達の残した表層ばかりを追って、あやかり狙う蜘蛛の糸。
人から人への心の継承が、成されていないんじゃあありませんか?と
『じごくのさんりんしゃ』を通して、地獄とはなんぞや?と
(日本では)平安時代から続く、地獄概念の本質とは?
人々は何処に地獄を見て、地獄とどう向き合ってきたのかと
子ども達に伝えるべきなのは何なのか。
そういうことを真面目にやっていきたいな
そう考えて絵本『じごくのさんりんしゃ』制作はスタートをきったのでありました。
・・・・・ええこと言った、、、
このように、残り3回。絵本『じごくのさんりんしゃ』の本質にグイグイせまっていこうかとおもいます!!
みなさまお楽しみください!
え?
そもそも絵本を読んでないから、わからない??
・・・・
安心してください。
今から読んでも間に合います。(๑•̀д•́๑)キリッ
買っちゃいましょう!ポチっとな!
書店さんとかに注文しちゃいましょう!!ヤホイ
いやぁ長くなりました。
ここまで読んでくださって、ありがとう。
最後に『じごくのさんりんしゃ』主人公の設定画をどうぞ
本邦初公開!主人公は”けんちゃん”という名前の子でした。
フルネームは、まさかの名前!?
だって、強い男の子のイメージですから、、(許して。)
次回は『じごくのさんりんしゃ』過去篇。
34年前、5歳の兄が作り37歳の僕の父が記録した
もう一つの『じごくのさんりんしゃ』のお話。
こうご期待!!
【お知らせ】↓
11月14日から和歌山県有田川町で『じごくのさんりんしゃ』絵本原画展
開催します。カッコいいチラシをご覧下さい!
◆絵本『じごくのさんりんしゃ』原画展
【会 期】2020年11月14日(土)~12月27日(日)※最終日15時まで
【時 間】午前10時から午後7時
【休業日】月曜日(祝日の場合は翌日休館)
【会 場】ちいさな駅美術館"Ponte del Sogno"(ポンテ・デル・ソーニョ)
◆詳細
和歌山県有田川町明王寺37-1(藤並駅2F) TEL:0737-52-2580
【入場料】無料
【お問合せ】ちいさな駅美術館 TEL:0737-52-2580