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あの日、満点の星空の下で

はじめまして、ここあと申します。

IMP.の我らがリーダー・影山拓也さんの初単独主演舞台『星列車で行こう』の南座公演に行ってきましたので、担当としてはその感想を残しておくべきだろう……と思い、このたび初noteの投稿に至りました。(マジでこのためにアカウント作りました)

私はデビュー後からのオタクで、影山くんの演技を生で観るのも、そもそも舞台に立つ影山くんを生で観るのも初めてです。
なので、「それはちゃうぞ」みたいなツッコミもあると思いますが、そこはサラッと流していただけるとありがたいです。

そして影山くんの歌(声)で落ちたオタクとしては、音楽劇である今作の"音楽"に触れずにはいられないので、その辺りの個人的湧きポイントも書き残しておこうと思います。



1. 『星列車で行こう』という作品について


まず、歌舞伎界至高の女方と謳われる人間国宝・坂東玉三郎さん演出というだけでぶっ飛びました。歌舞伎のことは全く分からない私ですらお名前は存じ上げていますし、詳しい経歴を知らずとも「すごい人だ」ということは分かります。

そして言うまでもなく、本作が"音楽劇"であるということにとても大きな意味があります。「歌を武器にしたい」と常々話している影山くんの初単独主演舞台が音楽劇であるという僥倖。しかもオペラ歌唱指導の重鎮と言われる方がついていらっしゃるそう。

まだまだ若手の影山くんにとって、今この時に演技面や歌唱面で"良いもの"を知ることができることの重み。影山くんがインタビューで「僕の中でも宝物になる」と言っていましたが、本当に、本当に得難い機会だったと思います。(自担の良質な成長の機会を喜ぶオタク)
何がどう転がってそうなったかはただの1オタクには知り得ないことですが、影山くんって本当に愛されてるし、"もってる"よね……。

全体としては、星空をはじめとした照明演出がすごく綺麗で(なんと天井にまで星が瞬いていた)、私は今回1階席ばかり入っていたのですが2階・3階でも観てみたかったな〜と後から思いました。


2.舞台の上に立つ"影山拓也"について


冒頭で言ったとおり、板の上の影山くんを観るのは初めてだったのですが、幕が下りてまず浮かんだ感想は「この人はファンに、観客に、世の中に、希望を届ける人なんだ」でした。

劇中、私が泣いたポイントが3か所ありました。
①冒頭、下手側から影山くんが飛び出してきた瞬間
②1曲目の歌声が影山くんから発せられてると認識した瞬間
③カテコの三方礼

①と②はオタクなら分かってくれると思うので何も言いません。
③の三方礼で、つま先から頭の先・上げた手の指の先までをまっすぐに伸ばし、客席の隅々や3階席の奥にまで晴れやかな顔と体を向けて、次には深々とその長身を折る影山くん。そんな影山くんの有りようを生で浴びて、「何も隠したり捻ったりしない、一点の曇りもない一直線の"光"のような人だ」と感じて、思わず涙していました。(自担の眩しさに弱いオタク)

(ここまで演技に全く触れてなくて本当に申し訳ないです……それだけ影山拓也という人の輝きがスゲェということで………)

演技の話をしますと、影山くんが太郎を演じるにあたり、影山くん自身の素直さや明朗さが特によく表れているなと思いました。太郎の擦れてなさやピュアさが、影山くん本人が元からもっている性質により自然と表現されていたような感じ。
太郎は「自分のやりたいことってなんだろう」と思って星列車に乗り込んだわけですが、多分ものすごく大事にされて育ったけど素直に育ちすぎて自我形成(≒やりたいこと探し)が遅れたのかも、と思ったり(もちろんこの素直さは太郎の魅力でもあります)。あと大学卒業の時期(22歳前後)ということで、影山くんの実年齢(27歳)と比べて幼さや無邪気さを残しているような感じを受けました。
(人となり曲解芸人なので個人のフィーリングレベルです……いやこのnote全部そうなんですが)


3.劇中の曲について


ようやく本題(遅)
劇中で影山くんが参加した曲について、曲順であれこれ語っていきます。
なお私は音楽経験としてはほぼピアノしかやっておらず、歌に関してはただ理論をそれらしくこねくり回すのが好きな素人なので、変なことを言ってても「なんか楽しそうですね〜」と流していただけると助かります。


♪一寸おたずねします

影山くんソロその1。
これ、普段と声が違いすぎて(+歌い始めで舞台奥側を向いていた)、第一声で影山くんって気づけなかったんですよね。いや、流れ的に歌うのは影山くんしかいなかったんですけど、直前のセリフとも全く違う声で、信じきれなかったというか……。「本当に影山くんからこの声が出てるんだ」と思った瞬間泣きました。(「こんな声も出るんだ」にめっぽう弱いオタク)
おそらく玉三郎さん歌唱音源が最初の手本だったのでは、と思うのですが(キーも同じですし、アレンジも越路吹雪さんのシャンソン調の原曲ではなくこちらが近いので)、それよりももっと低く深く響かせる発声。もちろん普段のIMP.の曲とは全然違う、舌の根を下げて喉奥を開ける発声でした。声質としては(これもにわか仕込みの知識ですが)バリトンが近そう。
曲中に「どこかで僕を見かけなかったでしょうか」というフレーズが何度も出てくるんですが、声がより響きやすい「あ」と「お」の母音が多いんですよね。おかげでこのフレーズが出てくるたび、声の響きの美しさに鳥肌を立てることになりました。
あとこれ以降曲にもセリフにも言えることですが、影山くんって鼻濁音がめちゃくちゃ上手いですよね……??気をつけないと行きすぎて「な」になったり「が」に戻ったり、どちらでもない音になったりするので、あの柔らかい鼻濁音は本当にすごいです。

ところで、原曲では一人称が"私"のところを星列車版では"僕"に変えて歌っていますが、単に太郎が男性だからそうしたというだけでなく、原曲が女性視点というところに絶対意味があると思っています。

演出で好きなのは「だれも私に顔を見せない」でアンサンブルの方々が太郎くんから見て顔が見えないように立っていたところと、あと「穴ぼこをのぞいているかもしれません」で穴ぼこをのぞいてたところもなんか好きでした。
歌から話がずれますが、最後にセリフで3回「一寸おたずねします…」と言うところ、どんどん声が小さくなって影山くん自身も小さいように見えて胸がぎゅうぎゅうになりましたね……。


♪明日は月の上で

これ思い出すと「みんなでラ〜ララ〜ララ〜(略)やりたい症候群」が再発するのでだめ(書け)

なぜかゴダイゴの『銀河鉄道999』を連想したのはさすがに"星列車"にひっぱられすぎだと思いますが、カテコでも歌われたということもあり『星列車で行こう』を思い出すときにはまず浮かぶ曲です。

影山くんが歌い出しですが、今作のタイトルでもある星列車がいよいよ出発して一気に星空が広がる場面、影山くんの第一声で舞台の世界観に本格的に入っていく気持ちになります。曲中に主要キャストや他の乗客を巻き込んで振付を踊るムードメーカーが舞台全体のムードも作ってるってことですね(?)

またみんなでラ〜ララ〜ララ〜(略)やりたいよ〜〜〜〜


♪家を出てゆきたい

影山くんソロその2。
1曲目の『一寸おたずねします』よりは現代歌曲の歌い方に近かったと思います。というより、原曲を聴いたら「寄せてたんだな〜」と納得の歌い方で、「これが/人生と/言われても」の語尾でメロディを放り投げる感じなんかはほぼそのままでした。影山くん、昭和歌謡がとてもよく似合う。
一方で、喉を開いた発声なのは変わらず、子音が強めの歌い方に現代ミュージカルっぽさも感じて1人でグッと噛み締めてました。
この曲は一人称が"俺"で、声を張って歌っていたところから、太郎くんの感情表現としては(太郎比で)強いほうなんだと感じました。え、強く主張したいことが「家を出てゆきたい」ってめちゃくちゃかわいいのでは?()

そういえば、この曲に関しては1つ謎が残っています。
途中、次郎くんの「恵まれているのに贅沢で勝手なやつだ」というようなセリフが挟まり、それを受けて「勝手なやつだと責めてくれ」と再び歌い出すのですが、数回観劇した中で1度だけ、セリフ前と比べてかなり語気が強くなった回がありました。その前の観劇から間が空いたので演出を変えたのかと思っていたら、次の回では戻っていたので、あの1回だけ試したのかな?と謎のままになっています(私としては両方聴けてただただお得でした)。


♪旅はいいもんだ

ムードメーカー太郎くんその2。
この曲の影山くん、声が明るくてめちゃくちゃ楽しそうでアイドルでだいすきなんですよね。だって乗客たちがウェーブするどころか次郎くんにも乗客ウェーブのリードを勧めて実際ウェーブ起こってるんですよ?アイドルって周りの人のこともちょっとだけ"特別"にしてくれる人だな〜と常々思っているのですが、自分じゃない人にもウェーブを起こさせるのってまさにアイドルじゃないですか?(そういう演出)
歌い出しが影山くんで、主に次郎くんに向けて「旅はいいもんだ」と語りかけていますが、それを受けて次郎くんがワンフレーズ歌ったときの嬉しそうな顔、本当によかったね……の気持ちになります。

「旅へ出かけよう」という歌詞で両腕を斜めに大きく広げる振付があるのですが、体全体がパッと開いていて、そんなところにも"陽"と"明"と"光"を感じました。
五郎くんと戯れてる太郎くんがかわいいのは言うまでもないので何も言いません。


♪Stand by me

五郎くんソロでも歌われていましたが、ここで話すのはお掃除パートのほうです。
五郎くんソロでは、五郎くんの孤独が表現されていてアレンジも始めと終わりがスローでしっとりしていました。
それに対してここでは全員でお掃除しているシーンで、始まりからインテンポで楽しさを喚起するアレンジ。このシーンは毎回「よかったなぁ、五郎くんよかったなぁ!」って心の中で言ってました。

モップを小道具に踊っていたのですが、影山くんのダンスって1ポーズ1ポーズが明確ですよね。ダンスから明るいアイドル、本当に助かります。


♪Let it be

皆さんご存知ビートルズの名曲。知らなかった曲に出会えるのも音楽劇の良いところですが、知ってる曲が出てきたときの安心感もまた良いですよね。

ビートルズの原曲はハ長調(ドレミファソラシド)ですが、星列車版ではキーが3つ下がったイ長調(ラシド♯レミファ♯ソ♯ラ)でした。
実は調によって、曲のイメージってすごく変わります。もちろん演者さんの音域に合わせて……という理由もあったかもしれませんが、絶対それだけではないと思います。
例えば、ハ長調は「純粋」「素朴」「子ども」といったイメージで言われることが多く、例えば童謡にはハ長調が多いです(『チューリップ』『かえるのうた』等々)。♯も♭もつかないから簡単というのもありますが、そのシンプルさゆえにストレートに明るい調です。
イ長調は「希望」「確信」「嬉しさ」というイメージらしいです。「やりたいことが見つかった、一歩踏み出そう」というラストシーンで歌われる曲なので、その場面にあったイメージの調になっています。それに加えてちょっと深読みですが、「子ども」のイメージがあるハ長調から変化しているので、太郎くんたちも悩める「子ども」から脱却して大人としての一歩を踏み出す、という意味もあるかもしれません。

車掌が歌う『タミーノのアリア』からつながるように『Let it be』が始まるので、マッシュアップやMIXが大好きな私は1人でテンション上がりまくってました。『タミーノのアリア』はこれより前の場面、3人が自分のやりたいこと探しに向き合う場面で、「夢があるのなら伝えてください」と3人の内面からやりたいことを引き出すように歌われています。やりたいことを見つけて歩き出すラストシーンで繰り返される『タミーノのアリア』に続く『Let it be』は、さながらアンサーソングのようでした。

気づいたときにものすごく驚いたのが、『Let it be』とつながっている『タミーノのアリア』は同じくイ長調(ラシド♯〜)なのですが、その前の場面で歌われていたときは変ロ長調(シ♭ドレ〜)で、半音だけ調が違っていました。この"半音だけずらして歌う"のは本当に大変で、どちらかに調を合わせる選択肢もあったはずですし、その方が楽だったはずです。それをしなかったというこだわりもすごいですし、(プロの方に向けて言うのは逆に失礼かもしれませんが)その歌い分けをする車掌(石井一孝さん)もすごい。
歌い分けのとおりに解釈すると、2つの場面における『タミーノのアリア』は異なる意味をもつと捉えることができます。最初に歌われたときは変ロ長調で、イメージとしては「壮麗」「夢想」「瞑想」。星列車の中で自分の本当の夢を探す3人にとっては、まだ夢は現実的でない"夢"だった。それがラストシーンでは「確信」のイメージがあるイ長調に変わったことで、夢を"現実"と捉えて実際に行動を起こせるようになったことを表現しているのかな、と思いました。

最後にこれだけは絶対言いたかったんですが、『Let it be』の最後の一音の「ラ」、影山くんのよく伸びるファルセットが本当に本当に大好きでした。ビブラートをかけずまっすぐに伸びる音が、やりたいことにまっすぐ突き進む太郎くんと、影山くん本人にも重なりました。


4.おわりに


舞台ってやっぱりいいな、と思います。IMP.の中にいる影山くんとは違う側面の、1人の役者として(あるいは、太郎くんとして)存在する影山くんに、近い距離で直接出会うことができる。影山くんのオタクなのでどうしても影山くん主体で見てしまうところはありますが、他の出演者さんの素晴らしい技術に触れることもできる(実は自担の姿を見るのと同じくらい楽しみにしているかも)。

私にとって、アイドルを推すことの意義の1つは「物語を追うこと」です。影山くんの人生も1つの物語ですし、その人生の中にある『星列車で行こう』という作品も当然、物語です。出演者/観客という視点の違いはありますが、『星列車で行こう』という物語で人生のひとときを共有できたこと、とても嬉しく思います。

またいつか出会いたい、素敵な舞台でした。本当にありがとうございました。

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