アーティストランスペース計画

はじめまして。埼玉県でPOSTというアーティストランスペースを立ち上げるプロジェクトを昨年から進めております。

アーティストランスペースという聞き慣れない言葉について説明いたしますと、アーティスト自身がスタジオやギャラリーなどを運営する場所のことを指します。
アーティストが様々な制約を受けず自由なアイデアで展示や企画を行えるという利点があります。

日本ではアーティストが展示をする際は、都内の貸し画廊などで高いお金を払って場所を借りて展示するか、ギャラリーに所属することで展示させてもらうのが一般的です。若手のアーティストはまずギャラリーに所属し、定期的に展示を行える環境を目指す事が多いのですが、ギャラリー側も売れる作品を求めているので必然的にアーティストは「売れる」作品を作るようになっていきます。つまり、作品を作るための動機がこの時点でアーティスト自身ではなく他者に委ねられてしまっているのです。私もアーティストの端くれなのですが、自分がやりたい表現に近づくほど扱い難いとか、保存ができないなどの理由でギャラリーからは敬遠されてしまうのが現状です。そのような状況ですから、「売れる」絵を描く作家が溢れていって、どこを見ても似たような作品ばかりになっています。アーティストがもっと自分自身の根底にある制作動機に向き合い、自由な展示を行える空間を作れないだろうか。そんな朧げな妄想からこのスペースのプロジェクトは始まります。

昨年、2022年の夏でした。そんな夢みたいな妄想をしながら、私自身も展示する機会がなかなか見つけられず、さらに大きな作品に挑戦するための広い制作スタジオが必要になってきた矢先、地元のまちづくりを進めている友人に制作スタジオにできる物件はないかと相談した事から思いがけない物件を紹介されることになります。その話は、また次回に詳しく話していきたいと思います。

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