グリム童話ATM
ATMを使うと、おまけがつくというサービスが始まった。預金を下ろしに行った私は現金と一緒になにかがコトンと落ちてきたのに気づいた。
おまけだ!SDカード?
パソコンに挿入してみると、動画が始まった。
貧しい身なりの少女が床を磨いている。グリム童話のシンデレラ?
彼女はじっと私を見て言った。
「魔法使い様、舞踏会に行きたいの」
「わたしが魔法使いなんて!それにあなた私が見えるの?」
「ええ、あなたは確かに魔法使いよ」
では、と、部屋のアルザス人形を見ながら指差してみると、その赤いドレスがひらり少女の身体に巻き付いた。
次に台所のカボチャに叫んだ。
「カボチャよ、馬車になぁれ!」
部屋にあった、木彫りの牛と老人に
「さあ、お前たち城へ行くんだよ!」
腕を振ると、馬車と馬と御者たちが現れ、一目散に外へと消えた。
翌日、若い男から電話があった。
「使っていない靴はありませんか、特にガラスの靴なんか。
どんなものでも買い取りますよ~」
おわり(415文字)
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