「わたしは七夕に、ささやかな幸運を願います」
「お客さんが帰るよー!席かたづけるよー!」
カフェのバイト中に飛び交う「ありがとうございます」
お礼の言葉でもあり、片づけ開始の号令でもあったりします。
でもあの日、あの女の子に向けた「ありがとうございます。」に私は違う意味を込めていました。
「ありがとうございまーす」
カフェのバイト中、レジにいる子がお客さんに声をかけた。
会計に来たのは、私の母親くらいの年の人。
その日は席待ちのお客さんもおらず、比較的のんびりとした日だったと思う。
手が空いていた私は、条件反射でおぼんを手にとり、空いた席を探しに行きました。
会計をするお客さんの顔をちらっと見て、どの辺りに座っていたかを思い出します。
テーブル席が5つで1ブロック。
それが6ブロックあるから、ぼちぼち広い店内だと思う。
レジ画面を見れば、お客さんがどこに座っていたか正確にわかるのですが、
たいてい確認せずに探しにいっちゃいます。
そうして、たしかこの辺の席にいたなーと向かった先。
私は思わぬ姿に出くわしたのです。
母親と一緒に来ていた、高校生くらいの女の子。
その子が席を立つ時、椅子に落ちたパンくずを集めてくれていました。
ちょうど机の上の消しかすを集めるような手付きで。
なんて、いい子。
「あの、ありがとうございます。」
思わず、頭を下げていました。
バイト中の、喉のどこから出てるんだかわかんない「ありがとうございまーす」じゃなくて、
1人の人としての「ありがとうございます。」
大学2年の時から今のカフェでバイトしているから、ざっくり4年。
机のパンくずを散らかしたまま帰る人も多いのに、
椅子のパンくずをかたづけて帰る人に初めて出会いました。
出会っただなんて、ちょっと大げさだけど。
これまでたまたま見てこなかっただけかもしれないけど。
その女の子の姿に、おっ、と思わずにはいられなかったのです。
その子がどうしてパンくずを集めてくれたのか、わかりません。
もしかしたら、私と同じようにカフェでバイトをしていて、
お客さんが帰った後の、座席に散らばるパンくずにげんなりしたことがあるのかもしれない。
先に会計に行く母親に「パンくず片づけときなさい」とか言われたのかもしれない。
でも私には、「店員さんがやるからそのままでいいや」と思わず、
「次の人のために片づけよう」という思いやりが感じられました。
事実はどうであれ、私からはそう見えたのです。
誰かが見ていなくても、その女の子はパンくずを集めていたんだろうな。
そう思ったから、
「見ていましたよ。」の気持ちを込めて
「ありがとうございます。」と言っていました。
できれば、ああいう優しい人にいいことがあってほしい。
ちょっとラッキー、って思えるくらいのいいことが、あの子の周りに起きてほしい。
ささやかな願いごと。七夕の短冊に書くとしたら、こんな感じでしょうか。
「優しい人に、いいことがありますように。」
wisteriaさんの七夕企画「あなたは七夕に何を願う」に参加です!
この記事を見たとき、参加しよう!と思ったはいいものの、願いごとがさっぱり浮かばず悩みました。
実際の短冊もnoteもいろんな人の目に触れるものです。
だからこそ、目に入ったときに、ちょっと和やかになってほしいなーなんて思いもあります。
まあ、短冊に「ハーゲンダッツが食べたい!!!」と書かれていたら、それはそれでほほえましい気もするんだけど。
ハーゲンダッツも確かに食べたいのだけど。
なにはともあれ、七夕に間に合ってよかったです。
参加しているエッセイサークルでも、今月のテーマは「願い事」。
せっかくなので、これとは別にもう1つ記事を書くつもりです。
wisteriaさん、素敵な企画をありがとうございます!
過去記事でも参加できるそうなので、ぜひ~
優しさにまつわるnoteです↓