手に入れてしまえばわすれてしまいそうな気持ちをここに。
いまほしいものと聞かれたら、車がほしい。
毎朝、汗まみれになりながら自転車で通勤していると、切実に車がほしくなる。
通勤は自転車で片道20分。
とっても「いい運動」ではあるんだけど、
車で通勤している先輩を見ると、いいなあと思っちゃう。
じつは車そのものにそんなに興味はないし、自転車通勤もなれたらなんとかなる気はしている。
それでも、ときどき、車がほしくてたまらない。
「なんで駐車場にわたしの車がとまってないの」とだだっ子みたいなことを思う日すらある。(無茶を言うなとなだめる自分もいる)
多分わたしは、思いたった時にどこかへ行ってしまう手段がほしいんだ。気晴らしの、ドライブみたいなもの。
大事なのは、思いたった時の、突発的な気持ちのままで移動できること。
いまの家から、15分も歩けばカーシェア(アプリから手軽に予約できるレンタカー)の車がとまっていて、車を使うことはできる。
それに車じゃなくたって、駅まで行って電車にのればどこかに連れてってはくれる。
でもそうじゃない。
車の予約とか、電車がくるまでの待ち時間とか、そんなものをはさまず、思いたったそのままの自分でどこかに移動したい。
どこかに行きたいって気持ちは、そもそもそんなに強くない。
だからちょっとでもめんどうと思ってしまったら、行かなくてもいいかってなる。
ふらっと、最低限のにもつだけ手にとって、ぶらっとどこかに行く手段がほしい。
あとはドライブするときの、あの空間がほしい。
運転席と助手席。運転中に交わされる会話は、ちょっと独特。
カウンター席のように、ふたりとも同じ方向を向いているからだろうか。
あまり人に言うつもりじゃなかった、自分の内側を、本音を、ぽろっともらしてしまう。
自分が運転しているときの会話は、正直そんなに覚えていない。
会話に100%集中することはできないから、どうしても脊髄反射のような返事になる。
あの、気をつかわない感じが好き。
頭の使わない、その場かぎりの空間が好き。
車があれば、気軽にドライブに誘えるのだろうと思うとやっぱりほしくなる。
これまでは車にたいした興味もなかったのに、環境がかわると気持ちもかわるみたい。
車がほしいのも、いまだけかもしれない。
それでもたしかに、いま、ほしいもの。