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鮮魚部・渡部の「美味しいものについて、話そう」:生クリーム編
全国から選りすぐりの“ほんまもん”を集めたスーパーマーケット・フレンドフーズには、食にこだわりを持ち、何より美味しいものが大好きなスタッフがたくさん。
そんなスタッフの中から、北海道出身で、幼いころから食への興味が尽きないという鮮魚部の渡部さんに、美味しいものへの愛をたっぷりと語っていただきます。
今回はお魚から少し離れて「生クリーム」のお話です。
おしゃれな食品(?)「生クリーム」
いきなりですが、生まれて初めて、生クリームを食べた日のことを覚えていますか?
昭和40年代、田舎町で売っていたケーキといえば、固くて味気のないバタークリームが塗られ、スポンジだってボソボソで、決して美味しいとは言えない代物でした。
それでも「ケーキを買う」ということだけでワクワクだったそんな頃、ケーキ屋さんのショーケースに、白い粉のかかった「スワンのシュークリーム」なるものを発見。
それまで食べていた黄色いカスタードクリーム(のようなもの)が入った、しんなりしたシュークリームではない、明らかに高級感漂うそのビジュアル。心を奪われ、母にねだって買ってもらい、一口食べた時の感動は今も忘れられません。
当時の私は「生クリーム」の存在そのものを知らず、もちろん、回りに売っている店などなく。「いったい、この白くふんわりと甘くて美味しいものは何なんだ?」と、スワンに出会ってからそのことしか頭にない状態でした。
乳製品であることはわかるものの、当時食べたことがある乳製品といえば、牛乳、バター、プロセスチーズ、加糖練乳、無糖練乳、ヨーグルト。
そして、白くふわふわした食べ物といえば、そう!ちょうどその少し前、家庭科の調理実習で作った「淡雪かん」に入れた卵白で作るメレンゲだったのです。
そんなわけで学校から帰り、両親が仕事から戻るまでの数時間、台所は「あの白くてふんわり美味しいもの」を作る実験室に!
卵白を泡立て砂糖を入れ、まずはメレンゲ完成。そして、そこに甘い練乳を入れたら、あのスワンに入っていたクリームになる…はずが…。
んん???さっきまでふんわりしてたメレンゲは、練乳と共に、ただのドロっとした白い怪しいものに。
ち…違うのか…。さすれば!もしかして!!バターを泡立ててそこにメレンゲを入れたら?
これでもか!ってくらいバターをホイップし、メレンゲと合わせてみたら何か、それっぽいものにはなったのです…がっ!
思いっきり有塩のバターでしたから、舐めたら…そりゃしょっぱいわけです(笑)。
実験は頓挫しましたが、その頃からケーキ屋さんでは生クリームを使ったケーキが徐々に出回り、さらにその数年後、田舎町のデパ地下にも遂に「生クリーム」が出現しました。
初めてそれを買って、シャカシャカ泡立て、ぺろりと舐めた時の感動と言ったら!そりゃあ、必死に卵白を泡立てても無理なわけだ。
いったい、日本にはいつから生クリームがあったの?と調べてみると、1924年に新橋で牧場を営んでいた「中沢乳業」が業務用生クリームの生産を開始。雪印乳業の沿革史には1934年に「クリームの時代来る 無糖練乳の時代は既に去れり 雪印北海道クリームの出現!」という宣伝を出したとの記述が。そう、まさに「出現」したのです。
出典:
・家庭画報「みんな大好きショートケーキ!日本生まれ、日本育ちの歴史をご存じですか?」
・雪印メグミルク株式会社「沿革史」
一般家庭でも手に入るようになるのはそのだいぶ後ですが、1970年の朝日新聞には「おしゃれな食品生クリーム」なーんて記事があり、「大都市の場合は、デパートやスーパーでも売られるようになった」そう。都会と田舎では「生クリーム時差」が5年近くあったんですね。
今や、どこのスーパーでも売られている食品ですが、「おしゃれな食品」だった時代の思いは今も消えず、とろりとした白い液体がふんわりクリームになるとき、やっぱりワクワクしちゃうのであります。
ちなみに、フレンドフーズでは”あの”ハーゲンダッツのアイスにも使われている(!?)、
タカナシさんの生クリームをご用意しています!
ご紹介した商品
タカナシ乳業「北海道 純生クリーム」(100ml 230円、200ml 391円)、「北海道 純生クリーム 42%」(200ml 525円)※すべて税込
◆この記事を書いた人
名前:渡部 智子
部門:鮮魚部
2022年の春からフレンドフーズの鮮魚部で勤務を開始しました。生まれも育ちも北海道。20歳から45歳まで札幌で建築関係の仕事をしており、その後和菓子の道へ転職して4年目に京都へ移住。 そして、11年目の春、和菓子だけに止まることができず、たくさんの「美味しい」を提供しているフレンドフーズへと行きつきました。 美味しいものを求めるお客様にお会いできることをとても楽しみにしております。