実シャニマスの実在性――シャニマス2周年CM「bloom for you」見どころ解説
どうも、遠山悠夏です。普段はミリオンライブ!とKRをメインにプロデュース活動をしていますが、最近シャニマスくんのテキストが素晴らしくてハマっております。
そんな最中、2周年企画の一つとして突如投下されたのがこの実写版CMです。
これの出来がまた素晴らしい!シャニマスの世界観や通底したテーマが見事に描かれています!
これは解説記事を書くしかねぇ!というわけでちょっと遅れましたがハッシュタグキャンペーンも始まった今投稿致します。
本論では「実シャニマスの実在性」と銘打って、このCMが「現実のアイドル」と「アイドルマスター」の両面からリアリティのある内容に仕上がっていることを証明していきます。
なおヒーリングタルトとかそういう明らかで分かりやすい物はあえて省いております。
・プロローグ
主人公(プロデュースアイドル)のさくらが実家(家族の声から察するに九州の方でしょう)でアイドルソング(illumination STARS)を聴いているところからスタートします。
ここではさくらが「アイドルが好きな一人の少女」であること、また後のシーンでは「アイドルになるため単身上京してきた」ことが明示されます。
のどかな田舎から一転、渋谷スクランブル交差点。一つの「都会の象徴」であり、渋谷~表参道~恵比寿にかけては多くの芸能事務所があることから「芸能界の象徴」とも言えるでしょう。
ここでのさくらは少し挑発的とも取れるような、自信に満ちた表情をしています。傘をくるくると回したり、これからの未来に向けての希望に溢れています。
・出会い
この3人のバランス、イルミネっていうかイルミネ(中の人)っぽさないですか?(急に解説が雑になる)
見た瞬間に左から黄赤青なのが伝わってくるキャスティングが素晴らしいと思います。
ちなみに左がゆい、右がみなみです。三人とも所属はアソビシステム(きゃりーぱみゅぱみゅ所属)ですが、何故か事務所サイトの活動一覧に載っていません。なんでや!載せてや!
実シャニPこと秦野P。社長とのやり取りやアイドルに対して緊張していることから新人であることが明確。
特撮俳優を持ってくるのもアイマスのユーザー層を考えると慧眼と言えるでしょう。
渋谷駅とヒカリエの連絡通路です。右奥が渋谷ストリームですね。地下鉄だと地下通路を通った方が早いので、3人はJRか井の頭線を使うと思われます。
事務所はざっくりこの辺かと思います。
このエリア内だと旧ジャニーズ事務所(2016年に乃木坂へ移転)、スターレイプロダクション(ぺこ&りゅうちぇる所属)、プラチナム(若槻千夏、KABA.ちゃん所属)などがあります。
何気ないホワイトボードですが、社長からのコメントがあるためこの目標が社長承認の降りた正式な物であることが読み取れます。
また「頑張れ!!!」の!が3つなのは「ToP!!!!!!!!!!!!!」の!が13個なことのオマージュでしょう。
・最初の挫折
まず楽屋で着替えずに衣装で移動しているのがFランクアイドルって感じで最高に興奮します。近くのパーキングまでは車でしょうが。
この時点ではステージに上がれる喜びからか、明るい雰囲気。
先輩アイドル達の衣装や気迫を見て一転この表情。最初の挫折イベントですね。ここから全てが悪い方向に向かっていきます。
・すれ違い、空回り
練習は上手くいかない。
プロデューサーの営業も上手くいかない。
遂には練習への姿勢がユニット内ですれ違い始めます。各アイマス映像作品でも頻出のパートですね。
アイドル達とプロデューサーのカットが交互に映されます。つまり「アイドルとプロデューサーが離れてしまっている」わけです。
・「アイドル」と「プロデューサー」
机で寝てしまったプロデューサーにブランケットをかけてあげるさくら。優しい。
折角なので手書きの個所を書き起こしました。
東京の友達を増やす→新しい発見がある?
とても明るい→笑顔が一番!
トークもできる→バラエティ番組に営業
キャプテンとして→みんなと協力してアイドルをがんばることで成長できる?
歌→元気のあるハイテンションな曲が得意
しっとり系のレッスンをふやしてバリエーションを!
ダンス→基本的な動きは良くなってきた。
みなみと2人でレッスンをふやしてモチベーションを上げる?
→みなみは教えると上手くなる
→まだメイクになれていない
センスは良いのでこのまま継続!!!
ダンスの下は映りませんが、アイマスですから「ビジュアル」が入るでしょう。あとここでも!は3つですね。
プロデューサーがいかにアイドル達のことを見ているかが伝わる演出です。クエスチョンマークが多いのも、手探りな新人Pらしさが出ていますね。
起きたプロデューサーに事情を聞かれ、不安を吐露するさくら。プロデューサーから見ると長い髪で顔は完全に隠れている角度です。
プロデューサーの言葉に一瞬顔を見ますが、すぐ視線が泳ぎ、俯き気味になります。
好きなアイドルについて聞かれ、「わたしもがんばろうって」と答える際にプロデューサーと目が合います。まさに「アイドルから元気をもらう」ことが体現されています。
また冒頭でイルミネの曲を聴いていたことから、ここでさくらが思い出したアイドルがイルミネだったとしたら……? それってエモ過ぎませんか?
・プロデュースコミュレベルの会話
このシーンはそのままシャニマスのコミュなのでは?と思えるくらい台詞が素晴らしいのでテキスト面から追っていきましょう。
「どうしたんですか。一人ですか」
「あの……わたし、やっぱり自信ないです。自分がアイドルになるなんて」
「さくらさんは、好きなアイドルはいますか?」
「はい。……はい」
「そのアイドルを見て、どう思いますか?」
「どう……かわいいな、とか。しあわせだな、とか。わたしも、がんばろうって。なります」
「僕もおんなじですよ。さくらさんたちががんばってる姿を見て、僕も毎回勇気もらってるんです」
「がんばろう、って。もっともっとがんばろう、って」
「それって。もう立派なアイドルなんじゃないかな」
「ありがとう。ありがとうプロデューサーさん」
質問に答えさせてから同意で返すのは心理学的なテクニックで不安の解消には有効なんですが、いかにもシャニマスPのやりそうな手口で最高です。
僕がここで着目したいのは2点。
・プロデューサーがアイドル達から勇気をもらっている
いわゆる「1人目のファン」ですね。アイマスの根底にある設定が回収されています。
・最後の台詞1往復だけ対等になる
アイマスにおいて、アイドルとプロデューサーは互いに支え合う対等な関係だと私は捉えています。
まさにそれを象徴する、ずっと敬語でアイドルと接していたプロデューサーからの、「もう立派なアイドルなんじゃないかな」という、くだけた、対等な言葉。本音のコミュニケーションであることが伝わるテキストです。
あとBGMの入りも神がかってるんですよね~~~。さくらの目線の動きと完全にシンクロしていて滅茶苦茶気持ちいいです。
これは親愛度上がりますわ。
・Eランクアイドルへ
アイマスに限りませんが、街中を走るカットのノルマ達成ですね。
ちなみに後ろに映ってるのは「ニトリ 渋谷公園通り店」です。
コートとジャケットを持ったまま名刺を渡してしまうプロデューサー。ちゃんと置いてから渡そうね。
駅からヒカリエ側に向かっているので、事務所へ行くところでしょう。
私服も髪型差分も多くてシャニマスのセールスポイントが見事に表されていますね。
ちなみにこのシーンでゆいがさくらとみなみに「ですね」と敬語を使っているので、一人だけ年下なことが分かります。設定が細かくて素晴らしいですね。
この広い都会のカットから
狭いライブハウスの楽屋に切り替わり、コントラストを付けています。全国ツアーを目指すアイドル達の最初の一歩、という演出意図でしょう。
ここでの会話が完全にライブ前の選択肢会話ですよね。
ちなみにライブハウスはここらしいです。
地図だとこの辺り。事務所の近くでしょうね。スタンディング200、シート80のキャパだそうです。
パーフェクトコミュニケーション!!
エキストラのオタクたち、明らかに捧げをやるべきパートで元気に振っちゃってるのが愛おしいですね。いつ募集してたのやら……参加したかった……
【追記】
なんで初稿で気づかなかったんだ…………
・まとめ
実シャニマス好きすぎて3000字も書いてしまいました。
何よりYOSHIKIさんを起用した1周年CMに対して、更なるビッグネームではなく作品性で攻めてくる姿勢が素晴らしいと感じています。
7分という短尺の中に「アイドルマスターらしさ」を詰め込んだ、アイマス史にも残る珠玉の作品でしょう。
え!? この素晴らしいCMに匹敵する実写コンテンツがシャニマス以外にもあるんですか!?
そう、それこそが2017年に配信開始された「アイドルマスター.KR」なのです!!!!!
韓流ドラマ特有のハードな展開やアイドル同士のガチ喧嘩、全アイマス史上最もイケメンなプロデューサー、面白社長など見所満載、45分×24話の超ボリューム!
秦野Pも「シャニマスでは初の実写ドラマ」と書いてるので、恐らくKRの存在を知っていてこの書き方をしたのでしょう(オタク特有の深読み)。
アマゾンプライムで全話見れますので、コロナでヒマな今の時期に完走しましょう!!!!!!!
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