映画ドラえもん「のび太の新恐竜」感想(見るたびに更新します)

ネタバレしかしねぇぞ!!!!!!!自己責任だ!!!!!!!!!!!





まずコロナの影響で公開が延びたのはもちろんなんですが、改めての公開日が8月7日でのび太の誕生日なんですよ。主題歌でもあるBirthdayなんです。

本来春公開だから絶対に起きなかったことが、コロナという近年最悪の減少によりとんだ奇跡を起こしたわけです。これって映画ドラえもんっぽい展開じゃありませんか??????????

感情がオーバーフローしていて冷静さがないので箇条書き気味でいきます。ライブ感を楽しんでくれ。


まず予告編の時点で僕はこれを「障碍者福祉」の話だと思ってたんですよ。いまこれをテーマにするの凄いな!!!!????と思ったんですが、それは半分以上ハズレでした。

まず前半が滅茶苦茶丁寧。恐竜博を見に行くというドラえもん的な展開から「恐竜のたまご」を見つけるわけですが、その前振りとして「化石を触ってみよう」みたいなコーナーがあるんですね。のび太はそこに引き寄せられて植物の化石を触り、そこに「いのち」を感じ取るんです。将来的に動物保護の仕事に就くのび太が「いのち」を感じることの説得力がまず凄い。

で、タイム風呂敷でたまごを孵すわけですが、この辺りは初代「恐竜」のオマージュが分厚い。アップデートを加えながらも筋書きとしてはかなり近いです。

アップデートとしては、そもそも恐竜を双子にしたこと。ミューが健常児ですがキューが身体は小さいし細かい特徴も違うし、何より飛べない。ここで「たまごを二つ見つけた」ではなく「双子」にしたことは作劇上の自然さよりも意味があります。

つまり「双子で生まれても全く違う存在になり得る」ということです。これはあらゆる意味で、この作品の根幹だと思います。

子育てパートについても面白いのが、のび太が「ワーママ」になっているところです。ドラえもんが預かってくれてはいますが、昼は学校で授業を受け(仕事)、家に帰ると恐竜を育て(育児)、食べ物の好き嫌いや急な病気と立ち向かっていきます。

ここで素晴らしいのがのび太が子育てについて「自分で図書館で調べる」「博物館の人に聞きに行く」と、学ぶ姿勢を見せるんですね。恐竜だから、というわけではありません。のび太は人間の赤ちゃんを育てるとしても同じことをするでしょうし、また「人は自然と親をやれるわけじゃない」ことも示しています。

ここから一番重たいマイナスポイントなのですが、飛べないキューが飛ぶ練習をするんですね。のび太は「ミューが飛べるんだから、いつかキューも飛べるよ」と言いますが、これが凄まじく辛いです。みんなが出来ることを出来ない辛さはのび太が一番知っているはずなのに。

思えばのび太は「ジャイアンとスネ夫を見返してやる!」と、闘争心自体はわりかし強い人間です。この作品では「出来ない自分を許容する」という働きは生まれません。

もちろん子供向け映画でかつ「成長(進化)」をテーマにしているのだから、出来ないことに諦めずチャレンジする姿勢を示すのは大事です。でも変えようと思っても変えられないこともあるしさ……そこへのフォローは(少し違った形であるとは言え)欲しかったな……

あとキューとミューに対して「この恐竜を育ててジャイアンとスネ夫をギャフンと言わせてやる!」の部分も苦手です。子供を自分アゲのために使うな。


で、白亜紀にキューとミューを返しに行く後半パートです。ここからいわゆる劇ドラの「冒険」になるわけですが、前半がたっぷりと取られていてこれも昔なら考えられないですね。

恐竜については最新の学説を基にしているため、初代「恐竜」とはかなり趣が違います。その辺りのワクワクや、映画を見たあと恐竜図鑑を開きたくなるような仕掛けは流石ドラえもん。

途中、今回重要になる「トモチョコ」が出てきます。これは桃太郎印のきび団子とは少し違い、動物と友達になった上で「一時間だけその動物の特性を得る」という追加効果があります。これについてはビジュアル的な面白さを持たせるだけでそんなにストーリーに絡まないのかな……違う相手を理解するために相手の立場に立つとか、ロールプレイングをするという示唆……?ここはもう少し考えます。

足跡を追いかける流れは昔ながらの劇ドラっぽいですね。日本誕生とかに近いかな。新作ひみつ道具「たまご探検隊」は見た目が可愛いし緩急が付いていいですね。ミューが食べようとする天丼ギャグも最近の劇ドラっぽい。

あと旅の道中に挿入歌流すの、最近の映画っぽいというか「君の名は。」「天気の子」やんけ川村元気!!!!!ってなる。


で、肝心ののび太とキューが海に落ちてからのシーンです。






やってくれたな!!!!!!!!!!!






あんなんも~~~~~ダメに決まってるでしょ!!!!!!!マジで「ヒッ」て声出たわ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

確かに白亜紀行く前にボールで遊んでたけど!!!!!!!!!!!ようやく食べてくれたのがマグロの刺身だったけども!!!!!!!!!!!!!!!

やっていいことと悪いことがあるだろ!!!!!!!


なんかも~~~~~世界線とか諸々どうでもよくなりますね。そのあとにスネ夫が「恐竜を捕まえて高値で売るハンターがいるって前にドラえもんに聞いたことあるけど」と微妙に匂わせるし……

あんなカメオ出演あります??????????


ともあれ島に着いてから、飛べないキューは群れに混ぜてもらえません。それどころか攻撃されてしまいます。

ここでののび太の叫びがまた素晴らしいですね……のび太だからこそ言える、全ての人類に向けての言葉。国連は「のび太の新恐竜」を観ろ。


あとこの作品の凄まじいところが、今回悪役が一切出ないんですよね。謎のめっちゃデカい翼竜とかは居るけどあれはあくまで災害の一種なので。ここも2020年に公開する「映画ドラえもん」としての矜持を感じます。

やっぱりタイムパトロールだったんかーい!!!みたいなのもありつつ、いつになく仕事をするタイムパトロール。こんなに人格を持って喋ることあったか?

ここで「チェックカード」という、介入しようとすると歴史が変わってしまう事物を探知するひみつ道具が登場するのもロジカルで素晴らしいですね。そりゃ持ってるよねタイムパトロールは、という納得感のある新発明です。だからこそタイムパトロールはのび太たちを手伝えず、ただ見守るしかないというセッティングも素晴らしいです。こうやって書いてて気づいたけどマジで発明だな……その上でマジでヤバそうだったら介入する=歴史を変えてものび太たちを助けようとする長官すっごい良い人ですね……


んで問題の大オチなんですけど…………引っくり返し方は滅茶苦茶上手かったしテーマにも沿ってて、しかも子供たちに「進化」を説明する効果もあってウルトラCなんだけど…………前述の要素から少しもやっとするところもないわけではありません。

でもそれは「映画ドラえもん」でやるべき話じゃないんですよね。もう少し大人になってからでいい。

先に出しておいたひみつ道具が活躍したり、大きな影響を及ぼしてる展開は映画ドラえもんの王道。王道と言えば今回「ドラえもんの歌」流れないんですよね。尺に凄まじく詰め込んでるからかな……主題歌も2曲あるしね。

この映画、「ドラ映画あるある」みたいなのが無限大に詰め込まれてるんですよ。展開としてもそうだし、明らかなオマージュも多い。隕石落下とか「君の名は。」オマージュでドラえもん外からすら引っ張って来てるし。

35作も作ってれば当然似てきちゃうしそこでどう独自性を毎回出すかって方向に腐心するはずなのに、極端な話全てのシーンにどこか見覚えはあるんですよ。ただ「テーマ」だけが新しい。なんだこの神業。


最後のお別れのシーンも近年だと「宝島」とか、現代に戻って鳥にキューとミューを重ねる演出は「鉄人兵団」とか、他にもたくさんあるな……


あとエンディングで走るのはちょっと笑いましたね。お前深夜アニメじゃねぇんだぞ!!!!!!!!!!!クレヨンしんちゃんも走れ!!!!!!!!!!!!!





力尽きたのでここで一旦終わります。あと十回は観るので都度更新します。

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