芸人になった友達と諦めた私
お友達のライブに行った。
ライブといっても音楽でなく、お笑いライブ。
大学サークルの同期がお笑い芸人をやっている。
単独ライブの雰囲気や感想は置いておいて、好きなことをして夢に向かって進む友達を見るのはいいもんだなと感じた。
まさかお笑い芸人になるなんて。
地方から出てきて、一人暮らしの彼女。
なんの変哲もない1Kの部屋だったけれど、妙に居心地が良くて同期で溜まり場のようになっていた。
そんな彼女は大学4年になっても一向に就職活動する気配がなかった。
私の時代の就職活動は、氷河期ではなかったが決まるまでに40〜50社受けるのは当たり前。
彼女はいつも自分のペースで行動するタイプだったから、私はあまり心配せず遠くから見守っていた。
ある日、彼女の家に泊まりに行ったときに夜中にこっそり打ち明けられた。
お笑いの養成所に通っていること、3月にオーディションがあって、受かれば事務所に所属できること。
同期では引いてる子もいたが、私は素直に羨ましかった。
私は中学生のころから「将来、演技の仕事でご飯が食べられたら他には何にもいらない」と本気で思っていた。
事務所のオーディションを受けたこともあるし、演技の仕事も何度かやった。
でも世間体を気にして、将来の夢を誰かに語ったことはない。
女優になりたいなんて。
なんだか自分がお姫様になりたがってる子供のようで、恥ずかしいとすら思っていた。
そんな私の気持ちを知らず、彼女は目を輝かせながら夢を語った。
大学を卒業して数年経ち、それから私は本気で女優を目指し、そして挫折するけれど。
女優を目指していく上で、地下アイドルになったり、有名な俳優さんをたくさん見たり...色々楽しい経験もあった。
まぁそれはまた書きたくなったら書こう。
あれから10年以上経つ。
お笑い芸人を続けている彼女と女優の夢を諦めた私。
彼女のことが今でも心底羨ましい。
まぁでも夢を諦めたからって人生が終わるわけじゃない。
私は私でそこそこ幸せだ。
頑張れよ。
売れても、売れなくても、ずっと応援してるぞ。