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お金と幸福度の関係「しあわせはお金で買えると思いますか?」

お金が増えれば増えるほど幸福感が増すのではないか、という素朴な疑問。生活するうえで不安のないお金があれば、安心感は増します。
住むところ、進学・習い事、旅行・留学といった選択の余地も広がり、豊かさを実感する機会も多くなるのは確か。

しかし、お金はあればあるほど良いというわけでもなく、「本当の幸せはお金で買えない」「ちょっと足りないぐらいがちょうど良い」などとも言い、なかなか答えがみつからない。捉えどころがありません。

お金と幸福度の関係については、近年いろいろな調査・研究があり、調べてみました。以下はその概要と私の個人的な感想です。

1.米国の場合


まず有名なのが、米国の認知心理学者でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの研究。

毎日アメリカ人1,000人を対象に「しあわせはお金で買えると思いますか?」という幸福度調査を行い、集めた45万件の回答を分析したところ、所得の額が一定の閾値(しきいち)を超えると、より多くの幸福感は感じなくなる!ということが分かった、というものです。(2010年調査)。

その閾値は世帯所得ベースで7万5千ドル。試みに為替レート1$=115円で日本円に換算すると、約862万円。具体的な額が示されているのでインパクトがあります。

イメージ図(筆者)

2.日本の場合


日本にも関連する調査事例があります。

内閣府が2019年2020年にかけて約16,000人を対象にWEB調査した結果をまとめた「満足度・生活の質に関する調査」(2020年9月)

この中に、年収や保有している金融資産と生活満足度の関係を調査したものがあるので見てみると・・・。

満足度(0点~10点)の平均がピークとなる世帯年収は「3,000万円以上5,000万円未満」。

米国のカーネマンの研究に対して、調査の内容や方法、時点、お国柄の違いなどもあるので、単純には比較できないものと推測しますが、日本のほうが、はるかに大きな金額がピークとなっているところには驚きます。

しかし、世帯年収が一定の額を超えると満足度は上がらないというところは共通していて、下がっていく傾向もみられる、というところは意外でした。

ピークアウトした後をよく見ると、例えば「年収1億円以上」の世帯のところでは、「700万円以上1,000万円未満」の世帯よりも、満足度が低くなっています。

ちなみに、この調査では、「保有している金融資産と生活満足度の関係」についても調べています。

こちらも満足度がピークとなる資産残高があり、「1億円以上3億円未満」を超えてくると、満足度は下がり、「2,000万円以上5,000万円未満」の世帯とほぼ同水準となっています。

3.満足度・幸福感を上げるコツ


収入が一定の値を超えてくると、なぜより多くの幸福を感じられなくなるのか、ということについて、カーネマンは次のように述べています。

「・・・・考えられる一つの解釈は、所得が増えるほど生活の小さな楽しみを味わう能力が減ってくるのではないか、ということである」(ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』(下)P294(早川書房))

生活の小さな楽しみを味わう能力」。
これはとても面白い視点です。

毎日の生活の中にちょっとした楽しさを感じる力。普段あまり意識することはありませんが、放っておくと鈍ってくる気もします。

というのも、先の内閣府の調査でも、「生活の楽しさ・面白さ」が「家計・資産」などの経済面・金銭面から得られる満足度よりも影響度が大きいとみられる、としているのです。

(出典)内閣府 満足度・生活の質に関する調査(2019年調査・2020年調査)

幸福感を上げるコツは、生活の中に小さな楽しみや面白いことを見つけること。

どんなことに楽しみや面白さを感じるかはその人によって様々です。

例えば、最近の私の場合を思いつくまま挙げてみました。
・天気の良い日の朝の散歩
・周りの人からのちょっとした気遣い
・季節の食べ物探し
・お気に入りの本が届いた瞬間
・コーヒー豆を手挽きするときの感触
・テレビでたまに見かけるコロッケの変顔
・・・。

4.まとめ


・所得や資産は、ある程度になると それ以上豊かになっても それほど満足度や幸福感を押し上げない。
・生活の中に、小さな楽しみや面白いことを積極的に見つけると、満足度や幸福感が上がる。

以上が今回の学びでした。


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