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日常からの逃避行>>憧れのらかんの湯へ

我慢できずに飛び出したのは流れのせい

わたしは今、九州への一人旅真っ最中である。
なぜこのご時世、連休でもないタイミングでいきなり飛んでしまったかというと、様々な偶然が重なって後押しされてしまったので、仕方ないとしか言いようがない。

paypayドームでの野球観戦に誘われたこと、福岡転勤になった飲み仲間のところに遊びに行く話があったこと、今年の初めに亡くなった大分の祖父を送ることも出来なかったが、祖母たちがワクチンも打ったしおいでよと言ってくれたことなど…多方向からすべてが同時期に収束してしまったのだ。

仕事が完全テレワーク可なことなどを考えてもいけるやん?と思うには時間がかからず、さらに、コロナでチケット、ホテルも激安。

行きの足だけ確保せず、仕事も含めて旅程を計画していたところ、家族から、
「どうせなら(元々休みなんだし)
 土曜から行ってのんびりしてきたら?」と提案が。

確かにね。

というわけで、初のこだまに乗って
ゆるやかな旅がスタート。
ラッキーなことにレールスターで乗り心地は快適、
最終的には同じ車両に自分以外ひとりしか乗っておらずソーシャルディスタンス的にも安心。

長い移動時間のあいだにふと思い出したのが、
とにかく行った人みんな、口を揃えてイイよ!!と
熱弁するものだから、気になって、
ブックマークだけはしていた、らかんの湯の存在…。

もしや福岡から日帰りもいけるのかな…と試しに調べたら、博多に着いた足でそのまま向かって入れる回の予約が偶然空いてるではないか…!!
これは行くしか!!

ちょうど、オリンピックが無観客になり、14万も奮発したチケットが自動で払い戻されてしまうことが決定したばかり。いっそ豪遊してやるぞ!旅先にお金落としてヤルーー!と余裕もないのに息巻いて、つい旅のオプションを増やしてしまったのでした。

すべては流れの所為ということで。

古さと新しさは混じり合えるのか

元々温泉派ではあったのだが、じわじわとサウナ熱も高まる中、まさか噂のらかんの湯に自分までも行くことになろうとは。

博多駅へ着き、乗り換えのホームで特急券買って、古さと新しさが入り混じってる途中みたいな武雄温泉駅からさらにバスに乗って、ほんとに来ちゃったよね。。

御船山楽園ホテル。

洒落た感じの入口から入ると、いきなりランプの森。
おー如何にもチームラボだ。

この暗がりの中で受付するのだが、同じ形の手元を照らすランプをスタッフの方も持っていて、それが可愛らしかった。

予約まで15分ほどあるので、その間に展示見学を勧められて奥へと向かう。

宴会場や客室につながる廊下を抜けて、ずっと突き進んだところに展示はあるのだけど、思いっきりリニューアルした入口やサウナと違い、展示はそのコンセプト故に元々、改装前のホテルの大浴場をそのまま流用している。奥に行くに従い、じめっとした日本の森の奥独特の黴臭い重さ、暗闇に浸食されていくのを感じながら、さらに曲がりくねる廊下を進んでいくと、その先に明るい大空間が拡がっていた。

脱衣所だったと思われる場所は壁も床も剥がされて剥き出し、洗面台にライトがぼうっとうかび、階段を降りると、元大浴場の洗い場に数本の四角柱が立てられ、白糸の滝のような流れの中、枯れ葉?向日葵?を思わせるモチーフが浮かんでは流れ、変化していく。

外がまだ明るかったので、廃墟となった湯船が暗く不気味に映る。

チームラボは、境界を無くして混ざり合い、影響し合い、変化するアートを得意としていると思うのだけど、
このインスタレーションに関しては、古さと新しさ、ただ朽ちていくものと新たに変化を生み出して行くものの境界をはっきり認識させられてしまった。

もうひとつの方は、立っている場所から花が咲き、流れ、隣の流れと混ざりあったり消えたりするもの。
こちらは真っ暗な空間にしてあったのと、水面もライトアップされていたので映像も際立っていたし、子供がキャッキャと観に来ていた。

ただ、私は1週間分の重いスーツケースを抱えて、階段を登ったり降りたりで既に汗だくヘトヘトになっていた…

(ちなみにこれらの展示は本日までで、リニューアルされるため現在は閉鎖しています)


ようやく目的のサウナへ

時間が来たので、いよいよサウナへと向かう。

脱衣所から覗いても、奥の露天風呂に1人しか見えず、
おそらく予約で人数を絞っている事もあり、かなり広い空間をゆったりと利用できた。

既に展示見学で汗だくなのではよ洗いたい…と、はやる気持ちで洗い場へ。
アメニティは全部MARKS&WEBでした。
さすが。

ええ香りに包まれ、柔らかなお湯の露天風呂に少し浸かった時点でもう満足してしまいそうだけど、満を持して露天風呂の横にある、噂のサウナへ。。

白いドアを開けて入るとすぐ給水器があり、その奥に可愛いタイルの水風呂。左手に冷凍庫があり、いろんなフレーバーの水を凍らせたまあるい氷をトングで紙皿に載せる。ほんのり色づいてて、なんだか可愛いぞー。
ワクワクが高まります。


さてさて、
いざ、ドーム状のサウナの中へ…。。



あっつ!(床ァァ!!)

足裏焼けてまう!!!!!!

中にいた人に目をやると、座るマット以外にも足元にもひいてる。。なるほどそう使うのねっ!!!

アチチアチチと平静を装いつつ(出来てない)一旦すぐ外に出て、マット2枚持ってまた入る。セルフロウリュでかなり高温なのだと思うけど、歩くところは予めマット敷でいいんじゃないかな…

とはいえ
サウナ自体は高温が保たれてて、熱気がじわじわと沁み込んで気持ち良い。

杓で氷にかけるとフレーバーの香りがじゅっと溶けて強い熱気とともに香りはほんのりひろがり、さらにカーッと暑さが増してくる…

アツアツで耐えて10分、外に出て可愛いタイルの水風呂はというと、意外とそこまでキンキンでもなく!
その柔らかい冷やし加減が心地よかった…

*らかんの湯HPより

そうなの、冷たきゃイイってモンでもないんです。

キンキンだと、末端が先に冷えすぎて痛くなってしまい、からだの芯は熱いままだったりすることがあるので、ゆっくり浸かってしっかり冷やせる、これくらいが…ベストやわあ…としみじみとバランスの良さに感じ入ってしまったのでした。

特別すぎるととのいスペース

外気浴のスペースは、くぼんだすり鉢状の中にクッションが4つほど、誰もいない。
雨がパラついてきたので、通り過ぎて、室内のととのいスペースへ。

*らかんの湯HPより

こちらはととのい椅子だけでなく、冷蔵庫にフルーツなどのフレーバーウォーターや、塩プリン!などが用意されていて、なんとも快適空間…

燃えてない暖炉の薪の木の匂い。
ぼんやりと時を忘れる。

外に出て、小雨に濡れると、森の奥から小鳥のさえずりが聞こえてきて、最初は、人為的に流しているのかしら?と、思ってしまうくらいだった、、

何セットかサウナに入ってるうち雨も小ぶりになり、晴れ間が見えると、さっきまで静かだった虫の声が一斉に鳴り出した。


さすがにそこまで演出はしないよね…

というより

流れる雲、ときおり顔に当たる雨、
露天風呂に浮かぶ波紋のひかり、
木のざわつき、虫や鳥の声、
微かなひぐらしのカナカナ…

すべてが自然の演出で、
それを、邪魔しないようにサウナが溶け込まれるように
計算し尽くされて配置されていて、これが評価の理由かと、心の底から納得したのでした。

そして、
ごちゃごちゃした感情は旅のはじまりに
すべて流すことが出来たのでした。


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