ネイチャーサウンドの魅力を元TECHNODJが書いてみた。
こんにちは。音風景保存家のtakaです。
まず最初に私が自然保護や環境保全といった行為に関心を持ち始めたのは、自然録音を始めてしばらくしてからの事です。
フィールドレコーディングを始めてから数年は美しい日本の音風景をいい音質でキャプチャーするにはどうしたらいいのか?
という事しか頭にありませんでした。それが全てでした。
しかしながら、様々な場所を録音取材で訪れ、何度も魅了されるにつれ、この美しくて、不思議な響きを守りたいという気持ちが自然と現れてきました。
特に尾瀬や白神山地といった場所は本当に身震いしてしまうほど美しく、大変良い気配を醸し出していました。
他とは違うなと思える場所に共通していることは、雰囲気がいいところです。とにかくとても居心地が良くて、ロケーションの方から僕にここでマイクを立ててけって導いてくれるんですよね。
ずっとその場に佇んで草木とお話ししたいという気持ちになります。
それを音の観点から見てみると、鳴っている響きの音色が純粋で、かつ静けさも感じることが出来るんですよね。
例えば鳥のさえずりも周りの地形に反響して、大変艶かしい空気感が立体的に現れ、生エコー(反響)、生リヴァーブ(残響)を感じることができます。
どういうわけかこの自然が鳴らす反響音、残響音を体感することが本当に快感なんですよ!
僕自身サントリーホールといったコンサートホールの響きよりも、自然の地形や植生が形作った森のリヴァーブ(反響音)やエコー(残響音)の方が断然気持ちのよい音がします。
人工的か否かという違いなのかもしれません。
特徴としてはコンサートホールは濁りのないコントロールされた綺麗な響きで、森は地形の表情がダイレクトに見える(響きをコントロールされていない)感覚を覚えますね。
あー、こういう起伏のある地形にできた森だからこんなにエコーが生々しいのかーとか、地形にも感情があるような気がしてきます。笑
多くの異なる森に訪れると、そのような地形による響き方の違いがわかるようになってくるんですよね。
そして、身体が自然に順応してくると、キツツキがドラミングをし、その音が地形を介して大変心地よく反響し、その反響した音がしばらく余韻として滞留してる状態もくっきりと感じれるようになってくるんですよ!
そしてその状態こそが最も静けさを感じるシチュエーションなんです!!
本当に身体が喜びます!この状態をずぅっとキープしてくれと訴えてきます。
この体験こそが僕にとって生きてて良かったと心底思える体験であり、
ネイチャーサウンドの最大の魅力と僕は思っています。(ネイチャーサウンドを媒体にした禅体験?!)
このような特別な場所で、音の世界から現れる豊かで不思議な生態系の記録とともに何度聴いても飽きがこないスルメ的な音風景作品を制作することで多くの人たちに自然の美しさを伝え、美しい日本の原風景を守りたいと思ってもらえるような強度のある活動をしていきたいと考えています。