『魍魎の匣』
第2弾の書評は前回の『姑獲鳥の夏』に
続く『魍魎の匣』です。
本作は作者・京極夏彦の代表作で知っている方も
多いのではないでしょうか。
1.あらすじ
木場修太郎が乗る電車が居合わせた少女ホーム転落事件。相模湖で発見された手足を皮切りに世間を震撼させる武蔵野連続バラバラ殺人。完璧な密室の中で起こってしまった少女誘拐事件。
一見何の関係もない事象が、
どこでどのように交錯し、重なり合うのか。
注目の百鬼夜行シリーズ、第2弾。
2.感想-匣の外側-(核心には触れません!)
今回で本作を読むのは、3度目でしょうか。
そもそも、何故、百鬼夜行シリーズを読みはじめたのか。
昨年シリーズ最新作『鵼の碑』が前作から17年の時を経て刊行されました。6.7.8作目を読んでなかった中読もうと思った矢先!!!
宮部みゆきさんの談で『鵼の碑』は『百鬼夜行版アベンジャーズ』と称したのです。
そんなこと言われたら1作目から読むしかないではないですか。という訳です。笑
私が本作で気に入ってるのは、〝動機〟に関する問答です。殺人という非日常的な出来事に、動機を持ち出すことによって日常化している。社会を生きる人々にとって日常を守ることは、自己防衛に繋がっている。そんな感想を抱きました。
あなたはどう考えますか?私は百鬼夜行シリーズの中禅寺の話を聞くたびに私たちが生きる〝社会〟の危うさを感じずにはいられません。
3.感想-匣の内側-(ネタバレ注意⚠️)
※4.おわりにでは物語の核心については触れていませんので、スクロールして是非読んで下さい。
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箱、筐、筥。そして全てが入った匣。
ありとあらゆる〝ハコ〟が物語の随所に登場します。そこには何も入ってないものもあり、ぴったりと入ってるものがあり、物語の中で詰まっていくものがあります。
人を匣に例えるなら、雨宮も、頼子も、久保も加奈子の登場によって、匣の中身が埋まったのでしょう。その事によって様々なことが起こってしまいました。
そしてその加奈子は自分の匣の中身に耐えきれなくなっていた。
全ての匣を埋めた元凶こそが、魍魎でした。
まさにこの話は魍魎の匣でした。
前作が関口を語り手として主軸として見るならば、今作の軸となるのは紛れもなく木場であると私は思います。
最後の「悪党、御用じゃ」と言って笑う姿には心打たれました。憑き物が落ちたんだという象徴的なシーンであったように思います。
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4.おわりに
長々書きましたが、本当に面白かったです。
何度読んでも良いものは良いのです。
前回同様作中のセリフで締めたいと思います。
〝何だか酷く男が羨ましくなつてしまつた〟
読後全てを知った時、このセリフを声に出して読んでしまいました。
次回は3作目!といきたいのですが、
百鬼夜行シリーズを中座し、先日読み終えたある作品を紹介したいと思います。
あなたはとてつもないスランプに陥ったとき、どうしますか??また次回〜👋