
バイク教習日記③|涙の卒業検定
どうにか、こうにか、卒業検定日に辿り着くことができた。
一本橋、S字、坂道発進、急制動、スラローム、クランクなど様々な課題を披露する集大成である。
自信がある課題などない。一つもない。
故に、当たり前に緊張していた。
勝手に早くなる鼓動をどうにかしたくて、深呼吸をしたり、水を飲んだり、トイレに行ったり。
どうにも出来ぬままであったが、時間は進み、私の卒業検定が始まった。
***
検定員へのアピールのため、首を大袈裟に回して安全確認をしながら、覚えたコースを進んでいく。
クランクがやってきた。1番苦手なんだよね。
危なげながらゆっくりと狭路を進んでいく。クランクの出口は、左折して進んでいくコースだ。
左の合図を出し、左折しようとハンドルを切った際、アクセルを間違えて開いてしまった。
唸り進もうとするバイクを止めたくて前輪ブレーキを握り、転倒。一発アウト。
ここからは、ただただ涙を堪えるゲームの幕開けである。
教官が走って来てくれて、「大丈夫?怪我してない?」と優しく声がけをしてくれる。
涙が溢れてしまった。ゲームに負けるのが早すぎる。
なんでも無い所じゃないか。こんな転け方したことないのに。
一発合格してカッコつけたかった。応援してくれた家族や先輩ライダー達に合格報告がしたかったなぁ。
ンンンンン!悔しい!
1回目の卒業検定は不合格という結果で終わった。
***
補習をささっと受け、2回目の卒業検定日となる。
相変わらず緊張するのは止められないなと、笑ってしまった。
今日の検定にまた不合格になったとして、諦めはしない。
どうせまた3回目の検定を受けるのだろう。
どんな結果であれ、終わりではないのだ。また挑戦すればいい。
落ちてもしょうがない、と思えると少し落ち着ける。
「落ちたくない」ではなく、「受かりたいから頑張る」に考え方を舵取りすることで、少し前向きになれた。
***
2回目の卒業検定が始まった。
一つ一つ課題をクリアしていき、「よし…よし…」と小さく呟く。
クランクがやってきた。
「目線は遠く!ニーグリップ!」と心で叫ぶ。
危なげながらも転倒することなくクランクを抜けることができた。
コースを無事に走り切り、検定終了。
そして、…合格!
合格発表の際、同じ日に検定を受けたご婦人が隣にいた。初対面である。
お互い合格していたので、喜びを分かち合う。
「前回の検定は不合格だったんです。」
舞い上がっていた私は、聞かれてもいないのに、転倒して不合格になったこと、泣いたことなどをご婦人に伝えていた。
「私も2回目なの。私も、前回泣いちゃったわ。」とご婦人も教えてくれた。
お互いの頑張りを労い合い、無事に卒業することができたのである。
卒業検定に不合格となったのは、私やそのご婦人だけではない。
私の受けた卒業検定では、男性も女性も、5人に1人くらいは不合格となっていた。
5回、10回と検定を受けた猛者も居られるよう。
卒業検定に不合格となった方、落ちることは、それ程珍しいことではないようです。
補習代と検定代は、非常に痛いですが。
ご自分のペースで合格を目指してくださいね。
***
しかし、合格してからが本番。
公道に乗り出していくわけで、まだまだドキドキする場面ばかりとなりそう。
どのバイクに乗るかは、もう決めてある。
とゆうか、教習所入学前にもう買っている。
迎えに行きます!