ハバタクカミが最強な理由とは
ポケモンSVのランクマッチにおいて、常日頃暴れまくっているポケモンがいる。
それがハバタクカミである。解禁されてからいつも上位10位以上にいて、S14以降はシングル・ダブル共に使用率1位の2冠を守り続けている化け物だ。そんなハバタクカミが何故そこまで使われるのか、そして何故最強たる強さがあると呼ばれるかを語ろうと思う。
※筆者はランクマ経験者ではあるが、上位ランカーではない。あくまでポケモン対戦に疎い人が、少しでも強さを理解してくれれば良いな、という願いを込めたものである事をご了承頂きたい。
ハバタクカミとは
そもそもハバタクカミとはどのようなポケモンなのだろうか。基礎的なデータから紹介しよう。
プロフィール
全国図鑑No.987
パラドックスポケモン
ゴースト・フェアリータイプ
高さ1.4m 重さ4.0㎏
特性:こだいかっせい
パラドックスポケモンと聴いて「?」となる人がいるだろう。他で例えればフリーザーやマッシブ―ン、ラティオス等と同じ区分の『準伝説ポケモン』と呼ばれるポケモンである。ランクマッチではS3から解禁され、高い使用率を誇る。
種族値
H55 A55 B55 C135 D135 S135 計570
これはハバカミ(略称。以降こう呼ばせていただく)の種族値である。初心者向けに説明すると、種族値は、ポケモンの種類ごとに定められている基本的な数値の事である。ゲーム上では確認できず、実数値から有識者が計算して導かれた非公式の値である。種族値の高さはポケモンの強さに一部反映されており、ピカチュウやロコンなど戦闘向きでないポケモンの種族値は低めに設定されてたりする。一方でカイリューやミュウツーといった戦闘向きなポケモンは種族値が高くなっているのである。
種族値からはポケモンのおおよその特徴が把握でき、ハバカミの場合は「スピードの高い特殊アタッカー」という認識ができる。ほとんどのポケモンは種族値の値にばらつきがあるのだが、ハバカミは珍しくHABとCDSが同値になったアンバランス型である。この奇抜な数値設定が、こいつの強さに繋がっている。
圧倒的な速さと火力
C135、S135という値は、SVにいる全ポケモンの中でそれぞれ25位・14位という上位級の高さを誇る。ランクマにおいてはそれぞれ4位・6位となり、これだけでハバカミがどれくらい速さと火力に恵まれているかが分かるだろう。
バトルにおいてスピードは重要視され、先制で高火力の技を押し込んで相手の体力を削り切る事が勝利の方法となる。この原則を簡単に実現できるのがハバカミなのである。
タイプのゴースト・フェアリーというのは無効タイプ3つであり、ノーマル・格闘・ドラゴンタイプを透かせる。ランクマではしんそく、インファイト、スケイルショットといった技が流行しているため、これらの技を無効にして有利を取れるのである。使用技には一致火力技のシャドーボールやムーンフォースがあり、この2つの両方に半減以下で有利を取れるポケモンはカエンジシとタギングル系統しかいない。技範囲の広さを素のタイプだけで完結してしまっており、様々なポケモンに高火力を押し付ける事が可能なのだ。
特性による増強
こいつの強さは種族値だけではない。特性のこだいかっせいによる強化も見逃せないポイントになる。特性の効果は、「『ブーストエナジー』を所持している、または『ひざしが強い状態』で場に出した時、自分のステータスの中で最も実数値が高い能力を引き上げる。すばやさのみ1.5倍、それ以外は1.3倍。エナジーの際は場から離れるまで永続、天候の時は天候が切れるまで続く」というものである。この特性によって、ハバカミの強さである攻撃及び素早さの値を更に伸ばす事が可能となる。
よく見かけるのは、素早さを上げるように調整してブーストエナジーを持たせたハバカミであり、最速307(性格補正+努力値252ぶっぱ時)というイカれた速さで攻撃を仕掛けてくる。これを抜き去る手段は少なく、先制技もタイプで透かされる事が多いため、高火力技を一度は被弾する覚悟が必要となる。弱点として、交代させれば2度目の発動は無いため、いかに場から退けさせる対面にするかが対策となる。また、この手のハバカミは耐久が低い傾向にある(この言葉の意味は後述)ため、カウンターで地震やラスターカノンといった技を入れれば一撃で沈んだりする。それでも、ハバカミを出オチにさせるのは至難の業であり、ムンフォorシャドボだけで3ターンKOもあり得る程の強さがある。
努力値による役割対応力の底上げ
更にハバカミは、その種族値から努力値調整にばらつきが出るポケモンとなっている。種族値を思い出した際、「守りがペラペラなんだから攻撃すれば倒せるやろ」と考える人が多いだろう。確かにその通りなのだが、S135という値に努力値を252最大まで入れれば、実数値205という数値に上る。また、元々速い&ブーストエナジーでの補強などを考慮し、S努力値を捨てて耐久に回す型も多く存在する。後述する技範囲も相まって、種族値以上に場持ちが良くなるハバカミを創る事も可能である。耐久低いペラペラポケモンという認識で戦ったトレーナーの戦意を削いできた数は計り知れない。単純なCS252ぶっぱという調整でも強いし、耐久に回しても仕事ができる。無限に努力値の調整案があるポケモンは強い!のである。
多すぎる技のレパートリー
これが大問題といえる部分であり、先程の素早さと関わってくる。
ハバカミが使う技は多岐に渡っており、ムンフォ、シャドボの2大タイプ一致攻撃技を筆頭に、マジカルフレイム・パワージェム・祟り目・電磁波・身代わり・サイコショック・ちょうはつ・痛み分け・瞑想・甘える・滅びの歌・10万ボルトなどをランクマのハバカミは使ってくる。
多すぎ!!というツッコみはごもっともであり、攻撃からサポートまで何でもありの技範囲だ。この技の選択肢の多さ=カスタマイズ性の高さがハバカミを使用率上位まで押し上げた原因にして最大の強みである。
技範囲の強さは持ち物の多様さにも直結し、高速アタッカーだけでない役割遂行も普通に可能となる。以下は、筆者が見てきた・使ってきたハバカミの技構成と持ち物を挙げる。
①シンプルなアタッカー
ムンフォ、シャドボ、@2 ブーストエナジーorこだわりメガネ CS252ぶっぱ
2つの技を中心にアタッカーとして制圧していく型。メジャーな使い方であり、誰が使っても強いと感じるだろう。残り2つは倒せるポケモンの範囲を広げるためにジェムや10万ボルト、搦手を兼ねた身代わりや挑発などを入れたりする。持ち物は攻撃性能を限界まで高めた眼鏡か、動きやすさを重視したエナジー型が主流。最近は行動保証のために襷を持たせたものまでいるとか。
②搦手重視の麻痺撒き型
電磁波、祟り目、@2 ブーストエナジーなど HB寄り
電磁波と祟り目を活かした妨害型。この2つは技の使用上セットであり、後の2つが自由にできる利点がある。エナジー型は上から電磁波を入れるタイプもおり、最初の演出でアタッカーと誤認させられる強さがある。弱点である耐久に努力値を振り、火力は祟り目の効果でカバーする。Sに割くかは人それぞれであり、HBにどのくらい割くかで数値が変わってくる。電磁波を外すと出オチしかねない弱点があり、役割が安定しない点は注意。また、アカツキガチグマに弱すぎるのも問題点。
③甘える瞑想の積み型
ムンフォ、シャドボ、あまえる、めいそう ブーストエナジー HB中心Cに少々
スピードをエナジーで補いつつ上から甘えると瞑想で物理アタッカーを起点にする。カイリューやディンルーが蔓延っていた環境では猛威を奮い、アンコールや挑発などが無ければ詰まされていた。当時はガチグマ実装前な事もあり、このハバカミが暴れていた。本来の弱点とされる物理相手をカモにできるという、弱点とは何なのかと疑いたくなるレベルのスペックを誇る。筆者もS8でこの型を使い、1700以上を残した。上から敵を無力化できる事による対応相手の多さがウリだったと思っている。初動から起点にされて攻撃されるのは厄介極まりない。現在はガチグマやオーガポンなどインフレが進み、この型は通用しづらくなった。それでも甘える型が消えた訳ではなく、調整を変えて今日も暴れているとか。
これらはごく一部であり、構築記事を漁ればその型の数は無限になる。ブーストエナジーを筆頭に、メガネ、襷、ジャポの実など持ち物も色々だ。
テラスタルじゃんけん
更に、今作のシステムである「テラスタル」も悪さをしている。ハバカミの場合は攻撃寄りの性能であるため、タイプに合わせたテラスタルが多い。
攻撃力を底上げできるフェアリー、ゴーストタイプを残すためのステラ、鋼打点を潰す炎や水などがある。テラスタルはじゃんけんに近いシステムであり、切るか切らないかの心理戦が繰り広げられる。ハバカミにテラスを使えば、数値受けの崩壊や耐性変化をして相手に負担を与える事が可能となる。テラスタルによるタイプ変化の可能性まで考慮に入れなければならないため、ここまで来ると最早運ゲーの類である。
まとめ
以上の点が、ハバタクカミが最強である理由である。まとめれば、
・攻撃と素早さの種族値が高く攻撃性能が充分
・持ち物との相性が良い
・技範囲が広くカスタマイズしやすい
・努力値が技・持ち物に応じて変化する
・テラスタルによるシステムの恩恵
になる。
この幅広い型を持つハバカミへの対策だが、とにかくバトルして有名な型を頭に叩き込むに尽きる。経験は座学以上に人に影響を与えるものであり、対策を考えて実現させる一番の近道になる。何事も勝負して勝ち負けを積み重ねるしかない。興味を持ったそこのあなた、今日からSVランクマッチに行ってみよ~~!!
まあ、ハバカミだけがこのゲームの理不尽ではないんだけどね。