ゾイド考:無敵!ゴジュラスギガ大進撃!
ゾイドの世界観、設定についてアレコレ考察する。
受け継がれるゴジュラスの魂
ゾイドというシリーズ全体の象徴──それがゾイドゴジュラスである。
第一期の頃はゾイドといえばゴジュラスであり、児童誌の表紙、玩具広告、おもちゃ屋のチラシに至るまでゾイドに関するモノなら、とりあえずゴジュラスが掲載されていた。
正に「トリアエズゴジュラス」といったところか。
筆者はぶっちゃけコミックボンボン派であり、第一期当時は小学館=コロコロや学年誌が主な宣伝媒体だったゾイドには触れる機会が少なかった。
そんな筆者ですらゴジュラスは知っていた。
日本のみならず80年代の海外展開でもゴジュラスはシリーズの看板的存在であった。
つまり、最も認知度が高い機種といえる。
トミー側もそれを考慮して、第二期では「RZ-01」としてシリーズの一番手を担い、小売店向けの資料でも新型ゴジュラスの開発は早々に告知されていた。(後に電撃ホビーマガジンで公開されるゴジュラス新型案の一つがシルエットで掲載されていた)
そして満を持して、ゾイド公式ファンブック3でゴジュラスギガのデザインが公開。
バトルストーリーで窮地に陥った共和国軍の救世主として爆誕する。
ギガ、その真の力
大きな期待をかけられ、華々しいデビューを飾ったゴジュラスギガだったが──その後のバトルストーリーでの活躍は芳しくない。
整備不良でグランチャーに遅れを取り、気が付いたらゼネバス砲に撃ち抜かれ、コロコロ誌面では格闘戦でさえセイスモサウルスに敗北し、妄想戦記ではモルガに翻弄されて崖に転落する。
非道い。
非道すぎる。
なんたる仕打ち……!
ライターは人の心とかないんか? と思わず恨み言を吐きたくなるが、これは大人の事情があるのだ。
当時のゾイドはブロックスと通常ラインが混在する混乱状態かつ、バトストからフューザーズへの展開移行のスケジュールが確定しており、販促にかける時間がなかった。
故に、ゴジュラスギガの真の性能をここに考察する。
まず防御面。
古代チタニウム装甲はあらゆる実弾を跳ね返し、ハイパーEシールドはデスザウラーの荷電粒子砲の直撃にすら耐える。
パワーもコロコロ誌上では過剰な販促力によってノーマルのセイスモに負ける描写があったが、実際のスペックでは負ける要素がない。
そして機動性。
追撃モードでは時速180kmで戦場を疾走する
これは数値上はセイバータイガーにも満たない速度に見えるが、「追撃」であることを念頭に入れてほしい。
全ての攻撃が通じない重量200トンの巨大ゾイドが戦場を引き裂いて高速で迫ってくるのだから、敵部隊は玉砕か退却しかない。
背中を見せて全力で逃げなければギガに追いつかれて踏み潰されてしまう。
実戦は敵を全滅させる必要はない。
陣地から追い払い、制圧すれば戦術目標は達成される。
死守命令を受けた敵部隊は果敢にギガに挑むだろうが、バーサークフューラーですら全く勝ち目がない。
荷電粒子砲はEシールドに弾かれ、バスタークローはヘシ折られ、そのままギガに踏み潰されて終わりだ。
戦力比較では、ゴジュラスギガはエナジーライガーすら問題にしない。
時速660kmで繰り出されるエナジーライガーのウイングスラッシュをも受け止め、そのまま噛み砕いてしまう。
デススティンガーの装甲を強化したステルススティンガーを一瞬で破壊し、巨大なドラグーンネストをも易々と解体する(ゾイドアートスタチューVol.3参照)超格闘能力に抗える敵ゾイドはいない。
デスザウラーの荷電粒子砲なら、長時間照射することでEシールドを撃ち抜くことが可能だが、ギガが万全の状態なら一ヶ所に留まることはない。
軽快な機動性と反応速度で粒子砲を受け流し、デスザウラーを格闘戦で叩き潰す。
最終兵器のゾイド核砲は、かつてデスザウラーのコアを分子崩壊させたエネルギー放出と同様の現象を兵器転用したものだと思われる。
一部ゲームでは上空にエネルギー弾を打ち上げ、隕石のように落とす描写だが、それではイマイチ迫力と威力に欠ける。
恐らくは──オリンポス山の山頂を焼き尽くすほどの熱量を収束し、背ビレから全方位に照射する。
ギガ自体の姿勢を変えることで射線は自在に変わり、戦場を32条の光の束が地上も空も無差別に広範囲に渡って薙ぎ払う。
少なくとも半径数kmが焦土になるほどの殲滅兵器なのだろう。
正に、ネオゼネバスが保有する通常戦力では太刀打ちできない怪物なのだ。
それ故に、アウトレンジ砲撃に特化したセイスモサウルスを新規開発するしかなかったというわけだ。
余談:対ゴジュラスギガ戦術
ネオゼネバスは対ギガ用にセイスモサウルスを開発するが、そこに至るまで司令部は様々な対抗策を発案したと考えられる。
かつての旧ゼネバス帝国が、涙ぐましい努力でゴジュラスに立ち向かったように。
どんな戦術や改造ゾイドが生まれたのか、少し想像してみよう。
デスザウラー改造計画:かつての改造プランを参考にした機体でとりあえずの対応をする
航空爆撃:ホエールキングを用いた高高度からの爆撃。ザバットやフライシザースも大量特攻させる
荷電粒子砲収束作戦:ありったけのジェノザウラーを動員し、粒子砲を一点に集中してギガのEシールドを破る
などなど……
セイスモ登場までの知られざるバトルストーリーがあったのかも知れない。