03_はじまりは不定期なLINEから
届いていたLINEは、私の地元の美味しいお店のリンクを送っておいてほしいというものだった。彼が住んでいるのは、私の地元なので、その話題で盛り上がっていたのだった。
お店のリンクとともに、昨夜は全部ごちそういただいていたので、
「ごちそうさまでした!出張、気を付けてお帰りください!」
と当たり障りのないメッセージを送った。
彼からの返信はスタンプだけだったし、まあこれっきりだろうと思っていた。
そこから数日後。
彼からの写真付きのメッセージが届いた。
「おいしいビールと!」
というメッセージには、サッカー場を背景に、ビールの写真が送られてきた。
(俺日記?笑)
と、少し笑ってしまい、思わず返信をし、少しだけやりとりをした。
そしてまた、数日後。
今度も、写真付きのメッセージが届いた。
「これ、おかしくない!?」
というメッセージには、観光地の景色の中にツッコミたくなる看板の写真。
またしても出張のようだ。彼はどうやら出張が多いらしい。
この日は、今日食べた美味しいものの写真や、接待の進捗、など夜までLINEをして、翌日には、出張終了の報告まで届いていた。
また、数日後、たわいもないLINEが届いたときに、私も出張圏に担当エリアがあることを話した。
「俺も行くときあるよ!そこで出張デートや!」
と実現するのかしないのか、冗談なのか否かもわからないようなメッセージに、「おいしいお店おしえてください~」と適当な返事をしていた。
そこから、特に予定を合わせるわけでもなく、不定期にお互いの近況報告というか出張報告をしあったり、仕事がんばりましょう~といった労いのLINEを不定期にやりとりしていた。
もう、連絡は来ないだろう、と思うくらい連絡を取らない期間が続いた。
しかし、年が明けた日、
「明けましておめでとう!」
と変わった動画付きで年始の挨拶が送られてきた。
また少し、笑かされてしまった。
またしばらく、不定期な日常LINEのやりとりをして、季節は春になった。
「来週、出張!」
「え、私もです。」
偶然にも、出張先と日程が被ったことで、彼念願(?)のデートの実現だった。今まではひとりでの出張だったので、行きたかったお店がいくつかたまっていた。その候補たちを彼に送り、彼からもおすすめのお店が送られてきた。
「どこもええな~!いけるだけいこう!」
出張当日。
お互い新幹線に乗り込んだ報告と夜を楽しみに仕事をがんばろうとLINE。
私の方が少し早く仕事が終わり、なんだかちょっとソワソワしてしまった。
彼も無事に仕事を終了し、合流。
お互い選んだお店はどこも当たりで、おいしいご飯においしいお酒。そこに楽しい会話まで続いていれば、1軒、2軒、3軒、4軒…ずーっと笑って、ずーっと楽しかった。
「手、つなぎたい。つないでいい?」
彼は、聞きながらもう繋いでた。今回は、ドキドキしてた。
もうこの時には、私は落ちてしまってたんだなって、今なら思う。