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05_ドラマみたいなキス
前回の未遂デートから、彼からの連絡はさらに増えた。
出張先や飲み会で見つけた美味しいものを共有してくれたり、
綺麗な景色も面白い景色を写真で送ってくれたり、
「薫ちゃんもすきやから絶対食べてほしい!」
「薫ちゃんに見せたいな~」
どんだけ。笑
そんなやりとりをしていたら、
「次はいつ出張にいくの?」
と彼が調整にかかってきた。私の出張予定はだいたい1ヵ月先くらいまでは見通して立てるので、それを伝えたところ、スケジュールを合わせてきた。出張デートの決定である。
前回の未遂デートから約1か月、3回目のデート。
前の出張のときにいけなかったお店に行くと決め、仕事終わりに合流した。
相変わらず、仕事の話やふざけた話は止まらなくて、でも特に仕事の話が楽しくて、一生懸命仕事してる人と話すのって楽しいし、私はとても好き。
ごはんもお酒も進んで、お互いいい感じに酔って、次の店に行こうと階段を前に進む彼が立ち止まって振り返った。
ふわっと手が伸びてきて、頭を寄せてキスされた。
びっくりした私とちょっと照れた彼。照れるのはこちらである。なんだそのドラマみたいなキスの仕方!
「ちょっと調子のっちゃった。」
って言いながら、今回も手を繋いできた。
2軒目では、コの字型のカウンターが故、他のお客さんの観察で盛り上がった。
「あそこは、絶対このあとお店やな」
「あの2人、パパ活ですよ」
「あの3人は男女2:1なのに距離近すぎやな」
野次馬とはこのことだろうと思いながら、私たち2人も大概アヤシイ2人だとのちに思った。
2軒目をでたあと、てっぺんは超えそうな時間に、彼ははっきり言った。
「今日はまだ一緒にいたい。」
お酒で結構ふわふわの頭だったけれど、YESともNOともいわず、私は彼についていった。
適当なホテルにはいり、抱きしめられてキスをした。キスはどんどん深くなって、脱がされて、脱がせて、触られて、触って。
「きれい」
「やばい、すき」
「エッチすぎる」
「締めすぎ…」
彼の言葉やリアクションが余計に私も気持ちよくなった。
彼はお酒も入ってるし、年齢もあって途中で心配してたけど、しっかり最後まで果ててた。そしてそのまま、2人とも眠りについてしまった。
結局、朝を迎えてしまって、お互い仕事なので、元の宿泊ホテルに戻る準備をし、部屋をでようとしたとき、
「ちょっと待って。」
振りむいた私の顔を、抱きかかえるようにキスをしてきた。
だから!なんなん!!そのドラマみたいなキス!!!
自分からしときながら、また照れるところがズルいと私は思う。
それぞれ会社員に戻ったあと、私は、仕事を終えて帰路につきながら、もう彼とは会わないんだろうなと思っていた。だって、彼をヤリモクだと思っていたから。前回、未遂で終わったからこそ、絶対にヤる!と燃えさせてしまい、その目的は達成されてしまったのだ。
だから、連絡はしないでおこう、と思っていたら、
「今日はありがとう!また会えるの楽しみにしてます!気を付けて帰ってね。」
とLINEが届いた。
(アフターフォローまでするんかい…)
と思いながら、御礼のLINEを返して、ほんの少しの罪悪感を抱えながら帰宅した。