前回の未遂デートから、彼からの連絡はさらに増えた。 出張先や飲み会で見つけた美味しいものを共有してくれたり、 綺麗な景色も面白い景色を写真で送ってくれたり、 「薫ちゃんもすきやから絶対食べてほしい!」 「薫ちゃんに見せたいな~」 どんだけ。笑 そんなやりとりをしていたら、 「次はいつ出張にいくの?」 と彼が調整にかかってきた。私の出張予定はだいたい1ヵ月先くらいまでは見通して立てるので、それを伝えたところ、スケジュールを合わせてきた。出張デートの決定である。 前回
「めっちゃ楽しかったわ~!」 出張デートのあの日、深夜にまで及んだハシゴ酒を経て、各々自分のホテルに戻り、朧気な記憶のまま眠りについた。 翌朝に届いたLINEには、お互い仕事がんばろうとまた会いたいのメッセ―ジだった。 たしかに、仕事の深い話やふざけた話、美味しいものを共感しあう時間、私もめっちゃ楽しかった。 けど、今回はたまたま出張が被っただけ。向こうのお世辞文句に合わせるように、 「そうですね!また行きましょう~!」 と返した。そこからまた不定期なLINEは続いて
届いていたLINEは、私の地元の美味しいお店のリンクを送っておいてほしいというものだった。彼が住んでいるのは、私の地元なので、その話題で盛り上がっていたのだった。 お店のリンクとともに、昨夜は全部ごちそういただいていたので、 「ごちそうさまでした!出張、気を付けてお帰りください!」 と当たり障りのないメッセージを送った。 彼からの返信はスタンプだけだったし、まあこれっきりだろうと思っていた。 そこから数日後。 彼からの写真付きのメッセージが届いた。 「おいしいビール
すこしずつ酔いが醒めてきた私は、 ”なぜこの人とタクシーに乗っている…?” と思いながら、自宅に向かっていることが理解できたので、 運転手さんに、道案内。 「あ、この大通りをそのままで、あと3つ先の信号付近で止めてください」 乗り降り側には、関西弁のサラリーマン。 彼が降りなければ、私も降りられない。 手を引かれてタクシーを降りたところで、グッと引き寄せられた。 ぎゅーっっと抱きしめられて一言。 「家、寄ってっていい?」 「……? だめですね。」 話していなか
「一緒に飲みませんか?」 そう声をかけてきたのは、背の小さなスーツ姿の男性だった。 今日は珍しく、同部署女子だけの飲み会だった。 既婚A子(子持ち)、既婚B子(新婚)、未婚(私)、のアラサー女子(?)3人で。同世代の私たちは、ランチもほとんど一緒にしているのでよく話しているが、飲みの場となればそれはまた別腹というものである。 1件目が済んだ後、A子のことを考えると解散かなと思っていた矢先、 「今日はとことんいくよ!」 と声を上げたのは、他ならぬA子だった。 どうやら