『僕という第一章』
最初は皿洗い
と言ってもシンクは家庭用より
小さめで、ザッとお皿についた、ソースや
お米の粒を柔らかくなるように、つけておいたのを
スポンジでとる
業務用食洗機に、並べ、フタをしめたら
自動的に洗い始める
なので、手洗い用の洗剤は三分の二は水で
薄められている
お客さんが座れるテーブル席には番号がある
カウンター席から、数えるから
9席程しかない
メニューは
ハンバーグ、カレーライス、焼きそば、ピラフ
コーヒー、クリームソーダ、パフェ…
例えばコーヒーなら、その中にも種類がある
ハンバーグも、セットなのか…とか
中でも時間をかけるメニューは
お子様ランチだ
りんごをうさぎさんにする
かなり、練習した
コーヒーは、サイフォン
同時進行で、業務用鉄板に水をおとし
温度を見る
お客さんに、出す時も順番、向き、言葉遣いなど
覚える事は沢山あり
下処理、買い出し、レジ打ち、掃除…
なかなか、ハードだ
店長と、二人で回していく
店長は、いい人だ
若くて美人
ただ、性格は真逆で、僕の手つきを、ジッと見ては
「まだまだね」
と、口に出すタイプ
夏場は、どでかいかき氷機を稼働させる
器も、どでかい
僕は何度も、辞めたいな
そう、思いながら
続けた
その間に、最初は自転車だったのが、バイクになった
ボサボサ頭も、身なりに気を使い始めた
僕は、コーヒーが飲めないので、香りと色で判断
店長が、何回か飲んでくれて、okが出たら
お客さんに、提供出来る
実は僕が働いてる喫茶店は、商業施設の中にあり
休憩中に、本屋さんで立ち読みしたり
新しい洋服を見たりしていた
洋服を見ていたら
「僕?ちょっと来て」
(?)
「孫にね、買うんだけど…(ペラペラ)」
と、言いながら柔らかなお婆ちゃんが話し出す
(ほとんど聞いていない僕)
背中に服をあてながら
「手を伸ばして」
と、リアルマネキン扱いだ
気が済んだ様で、僕も休憩中だったから
時計を気にしていた
僕は
女の子だ
髪は肩まであり、茶色い色素に上乗せした
少し黄色い髪染めをした、ストレートヘア
僕自身は、まだ答えは無い中にいた
外から見たら
ボーイッシュな女の子
父と母が別れ
高校は行かずに、早く働きたい気持ちが勝った
誰かを好きになる時は、対象は男の子
もしくは、年上の男性
3年目の喫茶店で、僕は自分を呼ぶ名詞は
「自分は…」のままで
「私って、使わないの?」
と、店長に聞かれた
「何だか、私と言うのは、恥ずかしいんですよね」
と、笑って返した
店長からしたら、独特な子
だったのだろう
僕は、「僕」とは言わない
18歳になり、車の免許と車をキャッシュで支払い
僕は
他県へ働きに行く事になる。