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「アヤカと空」

あの頃私達は、雑誌の表紙を飾るモデルに夢中だった


クラスには、大体グループが出来る
おしゃれ女子
進学組
スポーツ万能
中心になる一人を囲む…

表現したら、こんな感じだろうか

私は、どこにも属さずにいたのかもしれない
まんべんなく

クラスは8クラスのマンモス校

名前を知らないままの子もいた

黒板、机、椅子

廊下、渡り廊下、窓


アヤカは、休みがちだった

確か、2年生の途中に転入してきたはず
クラスが多いと、転入生も多く
珍しい事じゃ無かった


とある日
1時間目が始まりかけていた

ガラッ
と、同時に大半が教室後の方を見る

みんな最初分からなかった…
2秒間は、みんな、止まったまま

アヤカだ


私の知っているアヤカは
髪が少し天然パーマみたいな毛先
メガネと、少しうつむき気味
明るくて、周りをよく見ていて、勉強も出来る

アヤカのノートは、見やすかった

教室後から、机に向かうアヤカは
スカートの丈が短くなり
元々華奢な足が、長く見えた

髪はストレートになり
元々、薄茶系の色素が余計に際立っていた


授業が終わり
中心核のサオリが話しかけていた

私は、眺めていた
アヤカではなく
窓から見える空

中身はアヤカだし
何があったかは、聞かない方が良い
むしろ、私に話したいと思えば話してもらえたら
そして、あまりにも抱えすぎていたら

体から溢れる空気が涙になっていたら

無理して笑うアヤカに、くだらない話しを聞いてもらおうと思っていた

何日か過ぎて、アヤカは休みがちだけど
よく、来る様になった


窓際でいつも通り
カーテンに隠れながら、空を見ていたら
アヤカが
「何見てるの?」
と、カーテンの中に入ってきたので
とっさに、私はカーテンを手で押さえアヤカが入るのを待ち、そっと手を戻す

「んー?空かな」
私が答えた後は、互いに何も話さなかった

二人で空を見ながら、休み時間が過ぎるのを
何となく体感していた


アヤカは雑誌の表紙に出ても大丈夫な程
華奢で、美人だ

飾らない態度や、明るさがある
その中に、もう一つドアがある
そういう風に、私は見えていた

その後、私とアヤカが凄く仲良くなった訳じゃない

何となく
互いに、何かと葛藤している

何かを抱えながら
教室にいる

笑い癖がある
ただ、それだけだった

私達は、まだ先の事など考える余裕を持たずに
教室にいた。


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