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2025年は「偽装フリーランス」と「社保」に注目!

あけましておめでとうございます!
昨年はフリーランス法の施行など、フリーランスに関わるビッグニュースが続き、フリーランスという働き方への注目がより一層高まった1年でもありました。
2025年はどんな1年になるのでしょう?  フリーランス協会・代表理事の平田麻莉が、今年注目するトピックを解説します!


ビッグニュースがテンコ盛りの2024年を振り返る!

昨年は、フリーランスにとって大きなニュースが2つありました。
ひとつは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)、通称・フリーランス法の施行。もうひとつは、フリーランスの労災保険加入です。

フリーランス法の施行でどう変わる?

フリーランス法によって、発注者からの取引条件明示が義務化されました。また、報酬支払いについても、業務完了後60日以内の支払い義務が課せられるなど、フリーランスにとって透明性のある取引の徹底が法的にも明文化されました。
加えて、発注者側には、就業環境の整備が求められています。出産・育児・介護の両立配慮や、ハラスメントに関する相談窓口の設置など、フリーランスがより健全に安心して仕事にあたれるように努めることが義務化されたのです。
 
しかし、法律が施行されたとはいえ、現場ではまだ課題が山積しています。
フリーランス協会が実施した「フリーランス白書2025」のアンケート調査では、約7割のフリーランスが「フリーランス法について、取引先と話したことがない」と回答しています。

3月に発表予定の『フリーランス白書2025』にご注目ください。

もともと条件明示や環境整備が当たり前に行われていた企業では、特段話題にする必要がなかった、ということもあるでしょう。しかし、7割という数字の中には、多くの企業が法律そのものを十分に認知していない現状が含まれていることも否定できません。
 
このギャップを埋めるためには、2025年も引き続き発注者側への法律周知を広く進めていく必要があります。
同時に、私たちフリーランスもこの法律を「盾」として活用するために、改めて内容を把握し、必要に応じて取引先に伝える行動が求められます。法律を活用するのは私たち自身である、という意識を忘れずにいたいですね。

すべてのフリーランスに労災保険加入の扉が開かれた!

2024年のもうひとつの大きなトピックが、あらゆる職種のフリーランスが労災保険に加入できるようになったことです。
フリーランス協会でも「フリーランス労災保険組合」を新設。11月1日の受付開始から予想をはるかに上回る申し込みがあり、そのニーズの高さを改めて実感しました。労災保険に加入すると、仕事中や仕事のための移動中に発生したケガ、病気などが「労災」と認定された場合に、治療費や休業補償などのサポートを受けることができます
ただ、まだ始まったばかりの制度で、現時点ではその認知が十分に広がっているとは言えません。2025年も引き続き、フリーランスが安心して働ける環境を整えるため、セーフティネットとなる労災保険についても広く情報発信をしていきたいと考えています。
 
▼詳しくはこちらをチェック!

 2025年注目TOPIC① 偽装フリーランス問題に斬り込む!

フリーランスを取り巻く環境が変わりつつあるなか、いまだに根深い課題として残っているのが「偽装フリーランス」の問題です。
偽装フリーランスとは、フリーランスとして業務委託契約を結んでいるにも関わらず、雇用されている人と同じような指揮監督下で働かされている状態を指します。社員であれば本来受けられる社会保障や残業代支払いの対象外に置かれるなど、労働者としての権利が十分に守られない状況が生じることは、大きな問題です。
2025年は、この偽装フリーランス問題への議論が深まり、解決への道筋が作られていく年になりそうです。
 
フリーランス協会では2020年に「偽装フリーランス」という言葉を提唱。問題提起を続けてきました。
 
地道な啓蒙活動の結果、フリーランス法の附帯決議のなかにも「偽装フリーランスの取り締まり」が盛り込まれるなど、着実に議論が進んできています。
さらに、2025年は、厚生労働省の研究会で、労働者性の定義について議論を深めていくことが方針づけられています。現状の労働関連法では、一般的に判断しづらい「労働者なのか、事業者なのか」という点が、よりわかりやすく整理されていくことに期待したいです。
フリーランス協会でも、この議論がしっかり実態に沿ったものとなるよう、既に実査済みの「フリーランス白書2025」「フードデリバリー配達員実態調査」「軽貨物ドライバー実態調査」のデータ等に基づき、当事者の声を届け、協力していきたいと思います。

「もしかして偽装フリーランス扱いされてしまっているかも?」と気になったら、こちらをチェック!
『偽装フリーランス防止のための手引き』

2025年注目TOPIC② フリーランスの社会保障

「もし病気やケガで働けなくなってしまったら……」
「妊娠・出産で休業すると、収入がなくなる」
フリーランスと会社員では、受けられる社会保障に大きな格差があります。国民健康保険では傷病手当金や出産手当金の給付はされませんし、育児休業給付金や介護休業給付金を賄う雇用保険にも加入できないため、フリーランスはこれらのリスクに自ら備えなければなりません。

しかし、「フリーランスという働き方を自分で選んだのだから、すべてのリスクに自己責任で備えよ」というのは、個人への負担があまりに大きいもの。働き方が多様化している今、雇用によらない働き方をする人たちのことも考慮した、働き方に中立な社会保障を適用させていくべきだ、という議論が進められています(参考:第2回働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議事録資料)。
 
ただ、フリーランスへの社会保障適用については、国の審議会に参加する専門家のなかでも実にさまざまな意見があります。
なかには、「フリーランスを全員法人成りさせれば、社会保険に入れるじゃないか」「個人事業所にも被用者保険制度を適用拡大すればよい」という声もありますが、これはフリーランス当事者からするとかなり乱暴。労使折半がないフリーランスは、社会保険料が会社員の倍額になる点が考慮されていないからです。

フリーランス協会が2021年に調査したデータでは、「社会保険の必要性」を感じているフリーランスは、95.7%にものぼりました。しかし、「法人化して健保と厚生年金に加入したい」と答えた人は5割を切っています。

出典:フリーランス白書2021, n=715(単一回答)

「労使折半を前提とした仕組みのままで、労使双方分の社会保険料を払うのは、経済的に厳しい」という声も多く寄せられています。
働き方の多様化を踏まえ、会社員と事業者とで不公平が生じないように、労使折半を前提とした仕組みの根本から見直すことも必要なのではないでしょうか。
 
社会保障の理想形は、年代や職種、ライフスタイル、家族構成などによっても違うでしょう。だからこそ、しっかりとフリーランス当事者の多様な声を集め、議論を深めることが重要です。

制度ができてからでは遅い――。
フリーランス協会設立前に法案が可決成立していたインボイス制度の導入を通じて、私たちはこの大原則を痛感しました。
社会保障に関しては、今ならまだ私たちの声を届けることができる段階です。「フリーランス白書」を始め、フリーランス協会が実施するアンケート調査で、ぜひ皆さんの声を聞かせてください。声を上げることこそが、よりよい制度を実現する第一歩です。

2025年注目TOPIC③ フリーランスの活躍の場を増やす

日本では労働者不足が叫ばれる一方で、フリーランスや副業の仕事は「最後の買い手市場」と言われる状態が続いています。活動を広げられずに悩む人や、会社員に戻るという選択をする人も少なくありません。
 
もちろん、ライフステージに合わせて、フリーランスと会社員を行ったり来たりできる社会は健全で、私たちが目指している姿。一方で、「フリーランスで働きたい」と思っている人材に活躍の場が広がっていくことも大切なことです。
 
フリーランス協会では「ジョブ創出プロジェクト」として、政府や自治体と連携し、フリーランス活用促進を進めています。さらに、フリーランスを活用したい企業のための求人相談窓口「求人ステーション」 では、2024年も多くの成功事例が生まれました。
また、セカンドキャリア支援も、昨年から引き続き注力しているテーマです。大人気の「50歳から考えるセカンドキャリア」講座に加え、企業向けの研修なども積極的に行なっていきます。
 
フリーランスの活躍の場を広げていくには、「フリーランス人材が企業のなかでどんな役割を担い、どんな成果を出しているのか」といった事例を知ってもらうことも効果的です。

フリーランス協会では、今年もフリーランスパートナーシップアワードを開催し、優れたフリーランスのプロジェクトに光を当てていきます。企業とフリーランスの協業が生む成果を広く共有する機会として、多くの注目を集めています。エントリー開始は7月頃の見込み。ふるってご応募ください!

昨年のフリーランスパートナーシップアワードの模様はこちらをチェック!
https://blog.freelance-jp.org/20241106-22542/

2025年注目TOPIC④ リアルな交流の場が広がる!

フリーランスを取り巻く社会的なトピックに続いて、4つめはフリーランス協会が主催するイベント「スナック曲がり角」に注目(笑)。
 
「人生の紆余曲折を肴に」のキャッチフレーズでお馴染みの「スナック曲がり角」。2023年に全国各地での出張開催をスタートし、昨年は、仙台、札幌、福岡、鹿児島、長野、高知、名古屋、静岡、東京、那覇、北九州、大阪の12ヵ所を巡りました!
毎回参加者の方からは「この地にこんなにフリーランスがいるなんて!」という驚きと喜びが入り混じった声をいただき、そしてありがたいことに「次はいつ開催ですか?」と必ず聞いていただける交流会です。
9割以上のかたが一人参加ですが、「みなさん、本当に初対面ですか?」とびっくりするくらいおしゃべりが弾みまくるのもすてきなんです。
 
2025年も力の限り、全国各地に出張します。人生の紆余曲折を肴に、交流を深めましょう!
 
さらに、昨年末からフリーランス協会といっしょにフリーランスを応援する「サポートコミュニティ」、通称「サポコミも始動! さまざまな地域・職種のコミュニティと連携したイベントや交流の機会も増やしていく予定です。ご期待ください!
 
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2025年は、フリーランスがさらに安心して活躍できる場を広げるための新たな挑戦が始まる年です。フリーランス協会では、皆さんの活動を全力で応援していきます。
フリパラ読者の皆さんが、よく働き、よく笑って、しっかり休みながら、自分らしく輝く1年となりますように。今年もどうぞよろしくお願いいたします!

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