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今年は何を学び、モノにする? 収入アップにつながる「学びデザイン」〜ワンランク上のフリーランスになる!〜

「コンサルティング会社で学んだ考え方やビジネススキルは、独立後の自分の事業にも役立つことが多い」と語る、外資系コンサルティング会社出身の清水久三子さん。清水さんは、今まで仕事が途切れたことがなく、各方面で引っ張りだこだそう!

そんなプロフェッショナル・フリーランスの清水さんに、フリーランスとして一皮むけるための極意をご紹介いただく本連載。

今回のテーマは「収入アップにつながる『学びデザイン』術」です。先日、『リスキリング大全』を上梓したばかりの清水さんに、何を学び、どのようにモノにするのかを聞きました!

フリーランス、いったい何を学ぶのか問題

年の初めは、新しいことを学ぼうという気持ちも高まりますね。何を学ぶかをもう決めた方もいれば、学ぶ意欲はあるもののいったい何を学んだらよいのか決めかねている、という方もいるでしょう。

会社勤務の場合、求められるスキルが明文化されていたり、研修やOJTなど学ぶ機会が与えられることもありますが、フリーランスの場合は必要なスキルや学ぶことを自分で決める必要があります。「何を学ぶべきか?」のテーマを決める方法や学び続けるためのテクニックをご紹介します。

【学びテーマの決め方①】 自分=法人だと認識する

これは個人事業主か、法人成りするかという意味ではありません。法人企業が持っている機能を自分に当てはめて、「強化すべき領域」を考えてみよう!という提案です。

図1のように、法人には様々な戦略があります。この図の左側の領域(オレンジ色の部分)を参考に、自分が強化したほうがよいのはどこかを考えてみるのです。

一般的にスキルアップというと、すでに自分が「商品やサービス」として提供しているスキルを高めることを考えがちです。ただし、それ以外にもフリーランスとしての活動に必要なスキルは多岐に渡るため、法人機能に当てはめて全体感を持ち、必要なスキルを洗い出すのはオススメです。

私の例をお話しすると、営業力を強化する必要があると考えて、昨年秋から営業力を強化する講座に通い始めたところ、実際に売上アップにつながりました。またオペレーション戦略としては、Chat GPTセミナーに参加し、自分の業務への活用方法を学びました。

たとえば、自分が取材したインタビューメモを読み込ませて、「30代女性の口語調で3,000字以内で出力して」などコマンドを入れるとあっと言う間に整えることができ、生産性を劇的にアップするテクニックを数多く仕入れることができました。テクノロジーは生産性向上に直結するものが多いので、1年に一つは新しいテクノロジーについて学ぶと決めるのもよいでしょう。

【学びテーマの決め方②】  市場ニーズから考える

市場ニーズから求められるスキルを把握するには、仕事のマッチングサイトがオススメです。「ココナラ」や「クラウドワークス」「ランサーズ」などのスキルシェアサービスと呼ばれる、スキルのマッチングサイトで、クライアントが募集している仕事や人材の要件などを見ると、どういうことが市場から求められているのかを把握することができます。

そこには求められるアウトプット、スキル、価格、クライアントが抱えている課題など様々な要件があります。つまり、自分が今後どういったスキルを身につけたら市場性を高めることができるのかが見えてくるのです。

私は研修会社経由で企業研修講師の仕事を受けたりしていますので、研修会社の担当者の人に、「最近ではどういったテーマの研修ニーズが増えてきていますか?」「講師として最近売れている方はどういった人ですか?」などを定期的に聞いています。

こういったマーケティング活動により、自分が強化したり、差別化したりしたほうがよいことが見えてきます。
クライアントから直接聞けるのであればそれが一番ですが、聞ける相手が少ない場合には、マッチングサイトなどで市場全体のニーズを把握するとよいでしょう。

【学びテーマの決め方③】  他のフリーランスに聞いてみる

自分が関われる仕事は自分のキャパシティ以上に増やすことはできないため、自分一人でどんなにアンテナを高くしていても、そのアンテナにかかる情報量はそれほど多くなることは残念ながらありません。そういった場合にはフリーランス仲間に聞いてみるのが一番です。

・どんな仕事が増えてきているのか
・どんなことを学んでいるのか
・クライアントニーズの変化はどんなものがあるのか

こう言ったことを必ず会う人に聞くと決めておくのです。私の知人のライターさんは「会った人に必ずおすすめの本を聞く」ということを実践していて、学びの上でも市場ニーズを知る上でもとても役立つと言っていました。

私の場合は、同業者の仕事ぶりを見せてもらったりすることもあります。許可を得てオンライン講義や講演を見せてもらったり、可能であればコラボ講座などを企画したりすると、講義内容そのもの以外にも、ファシリテーションスキルや受講生・クライアント担当者への接し方など多くのことを学べます。

”取れ高”が爆上がりする「学び方」

このようにして、学びたいことが決まったら、次はどうやって学ぶのかが重要です。忙しくて挫折してしまったり、学んだけど仕事や成果にはつながらなかったり・・・となるともったいないので、効率よく、効果的な学び方を考えてみましょう。

【学び方①】  学び方マップを作る

学ぶというと、机に座って問題を解くような受験勉強をイメージされる方が多いのですが、ビジネスパーソンの学びは必ずしもそのスタイルではありません。学び方の選択肢も広がっていますし、求める成果につながる学び方でなければ時間の無駄になってしまいます。

下図(図2)は学び方を4つに分けたものです。

闇雲にとりあえず何かに手を出す前に、まずはどんなものがあるのか調べて、下図(図3)のように具体的に洗い出してみましょう。

コスト的には①のコンテンツ型が安くて取り組みやすいですが、プログラミングなどは実践レベルに到達しないと意味がないので、③の実践参加型での短期間で実践レベルまで鍛え上げるブートキャンプスタイルの講座などがよいでしょう。

また、視座を広げたり、マインドセットを変えたりするという意味では④の越境学習や、今の専門性とは違う仕事を実際にやってみる複業なども候補となるでしょう。

【学び方②】  学びを日常に仕込む

学び方①で学び方を洗い出したら、いつ学ぶのかをスケジューリングします。まとまった時間がとれれば一気に学ぶのもありですが、まとまった時間が取れない人も多いでしょう。そういった場合には日常の中に、小さい学び時間を仕込んでいきます。

昨今はテクノロジーの進化により学び方の選択肢が格段に増えました。特にコロナ禍では学びのオンライン化と短時間化が加速度的に進みました。私の研修コンテンツもほとんどがオンライン化されましたし、隙間時間でも学べるようにと、講義を短いスロットに分けて受講しやすくしているところがほとんどです。短いと5分くらいに分割されているコンテンツもありますし、YouTubeなども短時間で分かりやすいコンテンツがたくさん提供されています。

こういった学びコンテンツを、日常の中に仕込んでいきます。たとえば、入浴中にiPadを持ち込んでアーカイブ講義を視聴する、移動や家事の時間にPodcastやオーディオブックを聴く、電車に乗ったらSNSではなく、Kindleを最初に開くなど、細切れでいいので色々なところに仕掛けてみましょう。

また、お昼休憩の時間帯には最新テーマなどの1時間程度の無料オンラインセミナーがたくさんありますので、昼食をとりながら視聴してみてもよいでしょう。

無理して長い時間をとろうとすると、却って挫折することもありますので、「短い時間でOK」「ながら視聴でもOK」と自分に許可を出しましょう。たった数分と思っていても、気がつけば10分、30分と学んでいることもありますし、塵も積もれば山となる、継続は力なり、です。

【学び方③】 コミュニティで学ぶ

学びを継続させたり、深めたりする上で欠かせないのが仲間の存在です。他の人がどんなことを学んでいるかを聞くのも参考になりますが、相互学習は学びの速度を格段に上げてくれます。同じ領域や近い領域で、同じ志を持っている人たちのコミュニティに入る、もしくはコミュニティを作ることがおすすめです。

必ずしも自分よりスキルのある人を探す必要はありません。あまりにも自分より先を行っている人の例を見ても「自分とは違う」「自分には無理だ」と言い訳にしがちだからです。

自分と近いレベルの人が、スキルを習得して成果を上げているのを間近で見ると、「自分にもできそうだ!」とメンタルブロックが外れ、レベルアップが加速されます。これは独力で学ぶ場合とは比べ物になりません。自分が学んでいることを知られるのが恥ずかしいからと、誰にも言わずにひっそりと「闇練」するのは学びの取れ高がとても低くなってしまいます。

コミュニティでの相互学習でお互い刺激し合うのはよいのですが、気をつけたいことがあります。それは「知ったかぶり」と「マウンティング」です。知ったかぶりは、せっかく知識や情報を得られる機会を自ら棒にふってしまいます。

コミュニティメンバーからよく話しを聞くのは、自分より若い人達と新しいことを学ぶときにマウンティングしてしまう方の存在です。上から目線で求められていないアドバイスをしたり、「自分はこういうことができる」「自分はこういう人と知り合いだ」など自分が上であることを示そうとする言動をしてしまったりするのだそう。

そもそも学ぶテーマは多岐に渡りますし、変化の激しい時代は次々と新しいことが出てきます。自分が知らないことのほうが圧倒的に多いのですから、不要なプライドは捨てて、学びの取れ高だけに集中してみましょう。

失敗の数や新しく学んだことを、KPIにする

学びの取れ高に集中するためには、失敗の数や学んだことをカウントしてみるとよいでしょう。プライドが高い人は、「失敗してはいけない」「知らないことは恥ずかしい」「人より劣っていてはいけない」という思いが強いので、それを逆に捉えて、失敗の数や、人から新しいことを学んだ数をKPI(重要指標)としてカウントするのです。

もしその数がゼロ状態で続くのであれば、学びの取れ高が少ないということです。
「今日はXXに失敗したが、〇〇という教訓が得られた」
「今日は〇〇さんから△△を教えてもらった」

このようなことを毎日書き留めてみましょう。それが自分の学びの取れ高です。

学びの取れ高が高くなれば、自分が提供する商品やサービスの市場性や生産性=フリーランス力が高まります。
学ぶのに遅すぎるということはありませんし、学びにはこれで十分という飽和点もありません。自分に向いている学びのスタイルを追求してみましょう。

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清水久三子
大手アパレル企業を経て、外資系コンサルティング会社にて企業変革戦略チームや人材育成部門のリーダーを歴任し、2013年に独立。ビジネス書の執筆やメディアへの寄稿、講演、研修講師などの活動を行う。国内では20冊、海外翻訳で10冊の著書を出版し、年間登壇は140日を超える。(2022年現在) 
著書は、『プロの資料作成力』『一流の学び方』『リスキリング大全』(東洋経済新報社)、『1時間の仕事を15分で終わらせる』『一生食えるプロのPDCA』(かんき出版)『働くママの成功する中学受験』(世界文化社)他多数。Official HP:https://andcreate-official.com 

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