#9 お菓子がある風景は、幸せだ。
最終審査のイベントまでに、通販でどれだけ売り上げを伸ばせるのか。
上原くんが限界まで頑張って作ってくれたお菓子はお友達やフレンチモンスターのお客様が興味を持って買ってくれたあと、少しずつ口コミで広がりを見せて、知らないお名前からのご注文が入るようになっていった。
(手渡しで買っていただける距離のみなさんにもすみませんって事情を話しして、通販を通じて買っていただくよう協力してもらってカウントを伸ばしたっけ・・・思い出しても弱小すぎる)
上原くんが作ってくれたお菓子を、私が、一つひとつ梱包する。
お菓子を包む帯は自宅プリンターでプリントアウトした。「優勝しないと事業化しない」と言ってた夫が「これあったほうがいいだろう」と買ってくれた裁断機でカットして。
事務局から、通販売り上げの途中経過がメールで報告された。確か、上位だけ事業者名は伏せて金額だけの報告だった。「うちが一番だ! しかもぶっちぎり!」
そして、2018年3月25日、最終決戦の広島のイベント。
夫がこれまた専門学校時代の友達さえちゃんに声をかけてくれてブースで2人で揃いの赤ベレーをかぶって案内をした。
レストランのこと、鳴門金時の喜瀬さんのこと、もちろんお菓子のことも。
こうしてお客様にご案内できるって楽しいな。
2日目は上原くんと、夫と息子も駆けつけて案内をした。最終決戦用に必死で作った・・・つもりだったけれど、2日間ともあっという間に完売した。
9箇所のブースを試食して吟味したお客様が選んで買っていただいたという喜びがある一方、「完売してしまったんです。申し訳ありません」とお伝えしながら、「欲しい人に欲しいだけ渡せないって、こんなにも申し訳なくて悔しいことなんだ」と思い知ったし、PRの場をご用意くださった事務局の皆様にも申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そして、結果発表。
通販の売り上げも功を奏し、「最優秀賞」を受賞することができました。
ステージ上で。
「これに優勝したら、お菓子を事業化するって約束で頑張りました。時間はかかるかもしれないけれど、徳島にお菓子工房を作って、徳島の魅力をお伝えしていきたいです。しっかり徳島銘菓を作ります」ってスピーチしたら、やっと、やっと、スタートラインにたてたんだと嬉しくて・・・
もうだめだと何度も思ったっけ。
あと何個作れるか、いつまでに作れるかって、上原くんとよく揉めたっけ。
なんとか機会をものにして、新しいこの先を見たい!と切望したっけ。
ほんの数ヶ月だったけど、意外と厳しい日々だったなって思い出して・・・
ちょっと涙が出た。
会場の広島市民球場跡地から、広島ドームは歩いてすぐの場所にある。
「あれが美味しい。こっちも好きだな」
そんなふうにしてお菓子を楽しめるなんて。なんて贅沢で幸せな風景なんだろう。
お菓子って本当に幸せだなって、この仕事の意味をかみしめた。
・・・さあ。
ここまでは、単なる、準備運動。
この最優秀賞をどう活かしていくの?
チーム・月へ鳴門へ
いよいよ、冒険に向かって出発したのでありました。
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