パリ、ノエル(クリスマス)後のもみの木の行方
お正月がないフランスでは、年明けてからもしばらくはノエル(フランス語でクリスマスの意)のデコレーションが街を飾り続ける。ということで、1月初めはまだまだその華やかな余韻が十分楽しめる。
そしてその後、パリの街の所々で目に入るようになるのが、ごろごろとゴミに出されたクリスマスツリーのもみの木で、胸が痛む光景である。が、表紙の写真をよく見ると、これはゴミ捨て場ではなく、パリ市が市内170ヶ所以上に設けているもみの木再利用のための回収場所だ。
もみの木のリサイクル
何年も前から始まったプロジェクトで、ここで回収したもみの木は、パリ市が管理する公園などの緑地に運ばれ、現場で粉砕されたのち、マルチング材として利用される。
公園で植物のマルチングに利用
もみの木は酸性が強いので、堆肥をつくるコンポスト材としては向かないが、発芽防止効果があるので、環境に優しく雑草の繁殖を抑えるには最適の、天然の除草剤のような機能があるという。2022年のパリでは、12万4千本以上のもみの木が2500m3のマルチングとなってリサイクル利用された。
ヤギももみの木が好き
粉砕して植物のマルチング材利用するほかにも、燃料としての再利用もあるが、意外なところでは、ヤギの餌にするという利用方法もある。もみの木の樹皮の含まれるタンニンはヤギの胃に良く、また様々なビタミンと微量元素が含まれるもみの木は、ヤギの大好物だそうだ。ということで、ヤギの餌になった後に、残った幹や枝を粉砕してマルチング材や乾燥トイレの屑としての利用に回す自治体もある。
さて、一瞬びっくりする枯れかけたモミの木が山積みになった回収所の光景ではあるが、様々な方法でのサスティナブルなリサイクル努力が進んでいると知ると、少しは心安らかな気持ちになれるだろうか。