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【SUWA-淫祠の贄(仮)】_02
*文中の神社、祭祀は実際の名前を使用していますが
内容は全てフィクションとなります。
実験的にアップしている作品のため、内容についてはご容赦願います。
(続き)
「秘密…?」
汐里は、息を呑んだ。心臓が、早鐘のように鳴っている。
男の言葉の真意を探ろうと、汐里はさらに言葉を続けた。
「詳しく話してください。翔太さんに、何があったんですか?」
男はゆっくりと立ち上がり、汐里に近づいてきた。
その体格は、年齢を感じさせないほど逞しく、威圧感があった。
「彼は… 御頭祭の真実に近づきすぎた」
男の声は、まるで地面の底から響いてくるかのように低い。
「真実…?」
「そうだ。表向きは豊穣を祈る祭り。しかし、その裏では…」
男はそこで言葉を切り、小屋の奥に目を向けた。
そこには、古びた木箱が置かれている。
「あの箱の中に、全てが記されている」 男は、木箱を指差した。
「この土地に伝わる、もう一つの神話… 建御名方神と八坂刀売神の、
禁断の物語… そして、御頭祭の真の姿が…」
汐里は、男の言葉に導かれるように、木箱に近づいた。埃をかぶった、
古びた木箱。しかし、その中には、この土地の、そして翔太の失踪の真実が隠されているのだ。
手を伸ばし、木箱の蓋を開けようとしたその時、男が低い声で言った。
「やめておけ、お嬢さん。真実を知ることは、必ずしも幸せとは限らない」
しかし、汐里は手を止めなかった。真実を知りたい。翔太が何を追い求めていたのか、その答えを見つけたい。その想いが、彼女を突き動かしていた。
木箱の蓋が開かれる。中には、一冊の古びた書物が収められていた。
「これは…!」 汐里は、書物の表紙を見て、息を呑んだ。そこには、
建御名方神と八坂刀売神が絡み合う姿が描かれていた。
それは神職から聞いた、禁断の神話を象徴する紋様だった。
「翔太さんも、これを見たのね…」
汐里は、震える手で書物のページをめくった。
そこには、古い文字で、御頭祭の秘密の儀式について記されていた。
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