アドベンチャーバイクと歩んだ6か月 ~V-Strom 250 SX オーナーズレビュー~
昨年の晩夏にV-Strom 250 SXを手に入れてから、ぼくのバイクライフは大きく変わった。毎日の通勤から週末のツーリング、時にはちょっとしたダートまで。この相棒が、俺の行動範囲と楽しみ方を着実に広げてくれている。
まずは普段使いでの印象だ。164kgという車重と835mmのシート高のおかげで、街中での取り回しは実に快適。スリムな車体デザインにも一役買っているコンパクトな250cc油冷単気筒エンジンは、街乗りから高速道路までバランスよく使える。実燃費は高速と一般道を半々で走って36~38km/L程度。カタログ値よりは少し低いが、十分な経済性だと思う。
ところで、乗り出して最初に気づいたのが、リアサスの固さだった。どうやらSXの生まれ故郷であるインドの利用シーンに合わせてだろうか、二人乗りや、あるいはリアボックスに荷物を積んだ状態を基準にセッティングされているようで、一人乗りだとやや固い印象。試しにプリロードを一段緩めてみたら、ぐっと乗りやすくなった。
ミッション操作にも少し慣れが必要だった。1速から3速にかけて、予期せずニュートラルに入ってしまう(なぜかインジケーターも表示されない)ことがあり、ギアに当たりが出るまで最初は少し神経を使った。クラッチレバーの重さも気になった。ただここはデイトナのクラッチレリーズアームを入れることでかなり扱いやすくなった。
地味に困ったのが、ヘルメットホルダーだ。確かにリアシート裏にあごひもを挟むフックは付いているのだが、プラスチック製で強度は心もとないし、そもそも使いづらい。結局、アフターパーツでデイトナのヘルメットホルダーを付け足すことにした。これは日常使いには必須かもしれない。
また、夜の走行で気になるのが、LEDヘッドライトの特性だ。正面の明るさは十分だけど、ハロゲンと違って光の広がり方が狭い。そのせいだろうか、特に夜間は隣を走る車からバイクの存在が認識しづらいらしく、たびたび突然の進路変更や割り込みを食らうことがある。過去に乗っていたハロゲンヘッドライトのバイクではこのような経験はないので、LEDヘッドライトならではのディメリットと言えるだろう。
色々考えた末、アドベンチャーバイクらしい存在感と安全性を考えて補助ランプの追加を検討中だ。
高速道路での使い勝手は決して悪くない。エンジンは軽く回り、4速より上なら時速80km/hでの巡航も可能。より上の延びもある。最高速は東名の120km/h区間でも充分流れに乗っていける。
ただし、ウインドシールドの風防効果がやや物足りない。市販の調整ステーで数センチ高くしたら、だいぶマシになった。
このステーは風防効果を高めるだけでなく、スマホナビの取り付け場所も確保できるので一石二鳥だ。長距離を走る機会が多い人には、最初に考えるカスタマイズポイントになると思う。
休日のアドベンチャーライドも楽しんでいる。緩やかなダート路面なら、このままでも問題なく走れる。
ただ、本格的な林道に入るなら、オン寄りのタイヤとすぐに底付きするサスペンションが次第に不満になる。ここは見直した方がいいだろう。ただ、デフォルト装着のタイヤがなかなか長持ちなので、ぼくの場合交換は少し先になりそうだ。
耐久性や品質については、気をつけたい点もある。駐車時の立ちゴケでナックルガードの付け根があっさり折れてしまったことがあり、外装パーツの強度には不安が残る。
また、走行2000キロあたりでフロントブレーキの効きがガクガクと変化するジャダー現象が発生し、最終的にホイール一式を交換することになった。幸い保証期間内で無償対応してもらえたが、この問題はいまだリコールにはなっていない。
保証期間が過ぎると自己負担になる可能性があるので、できるだけ保証期間内に、ある程度の距離をしっかり走り込んでシェイクダウンしておくことをお勧めしたい。
装備面では、ABSやLEDライト類など、現代的な機能が充実している。特にデジタルメーターは見やすく、ツーリング中も重宝している。
V-Strom 250 SXは、アドベンチャーバイクの醍醐味を気軽に味わえる、バランスのいい一台だ。確かに、パーツの強度や細かな不具合など、改善してほしい点はある。だが、街乗りからツーリング、軽いオフロードまでこなせる実用性は、250ccクラスとしては十分すぎるほどだ。
初めてのアドベンチャーバイクとして、あるいは大型バイクの前の一台として、間違いなくいい選択になるはずだ。ただ、思いがけない問題に直面する可能性もあるため、カスタマイズやメンテナンスの計画は前もって考えておいた方がいい。でも、それも愛車との関係を深める楽しみの一つだと俺は思っている。