自由で健全なオトナの夜の過ごし方
こんばんは。
静かな夜だ。
今夜のおれは自由の身だ!!
静かな部屋、
好きな音楽、
何にも脳内を掻き乱されない
ゆるゆると流れていく時間。
自由というのはこんなにも
心に静寂を与えるものだったかしら。
静かすぎる家は
少し寂しい気もするが
今はこの圧倒的自由に浸りたいよな。
わたしは存分に自由を謳歌した。
理性と飲みに行って
本能と帰ってきた。
理性先輩は15時から飲んでいたようで
ベロベロだった為
23時前には解散したから
つまり、理性と解散したら
あっという間に解き放たれるおれの本能!
酔ってなし崩し的ではなく
確信犯であったように思う。
仲の良いボーイフレンドに
半年ぶりくらいに連絡を入れると
二つ返事で返ってきた。
タイミングが良かった。
彼はいつもタイミングが良いのだ。
何にも縛られなかった学生の頃のように
私たちは駅で落ちあう。
タバコの吸える居酒屋で小一時間
お互いの近況や恋愛の話なんかをして
静かにニヤリと笑う彼が
わたしはそれなりに好きだ。
ボーイフレンドは良いよな。
私たちには何の約束も決まりもない。
コミットしていないから
別れだってない。
もしかしたらあと五十年もしたら
茶飲み友達になっているかもしれない。
公園の小さな日向に腰掛けて
5年ぶりねぇなんて言いながら
互いの病気の話なんかをするんだろうか。
なんてことない笑い話をしながら
流れるように入ったホテルで
愛憎も執着もない
“ただ”のセックスをしたあと
ぼんやりと思った。
明け方、身支度をする物音で目が覚めて
そういえば
彼は朝から用事があると言っていたな、と
思い出し身体を起こしたが
何の用事だったかはさっぱり忘れてしまっている。
ボヤボヤと簡単に身なりを整えて
目の下に落ちかけてきた
メイクだけ少し直して
朝の空気の中
私たちは明日また教室で会う同級生みたいに
じゃ、と軽い挨拶をして別れた。
自宅に戻り一服しながら
あぁ、こういう日が続けば良いのにな
と思った。
ただ会いたいから会う、
セックスしたいからする、
喋りたいから喋る、
単純明快でどろどろしたものは何もなくて
こういうのが健全だと
そう思うのだ。
愛憎や執着に塗れたセックスなんて
気持ち悪いばかり。
健全と不健全の合間でまどろむばかり。