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独学で日商簿記1級合格は可能か

 日商簿記検定1級試験に独学で合格することは可能か?
 はい、可能です。なんなら2回合格できます。
 
 これは私の経験に基づきますから自信を持って言えます。しかし、誰でも独学で合格できるとまでは言えません。
 今回は、独学での簿記学習について、経験に基づく私の考えを書いていきます。

「簿記」はトレーニング

 自分自身の学習経験を踏まえて、「簿記」は最も独学に向いている分野なのではないかと思っています。
 まず、「簿記」を勉強だと思わない方がいいです。「簿記」はトレーニングです。
取引内容を見れば、次の瞬間には脊椎反射の如く頭の中で仕訳ができている。この状態を目指すのが「簿記」学習のキモだと思っています。そのためには、インプット質・量よりもアウトプットの量です。
 そのために必要なことは、合格実績のあるスクールに入ることではありません。自分に合う市販教材と問題集、そして、時間です。
 繰り返し問題を解くことで、「簿記」を自らの血肉としていく。これを継続する覚悟さえすれば、簿記1級は誰でも独学で合格できます。

合格を目的にしてはいけない

 「簿記」を学びたい、もしくは学んでいる方は、経理職に就きたいといった目標をお持ちの方も多いのではないかと思います。つまり、実務で使うことを目的として学習している。そのような素晴らしい目的を持っているにも関わらず、実際は試験合格のためだけの学習をするというのはあまりにも勿体ない。
 「簿記」を身に付けて、実務でも通用するスキルを身に付けたい。そうお考えの方は、特に3級・2級についてはじっくりと時間を掛けてトレーニングしていただきたいと思います。じっくりと時間を掛けて習得した3級・2級の範囲というのは1級に効いてきます。

1級教材の圧倒的物量

 私は、2級合格までに1年間掛けました。その頃は、意図があってそうした訳ではなく、単純に試験日の都合です(当時はネット受験が無かったので)。その結果、2級合格時点では世の中の物事を全て仕訳で考えるほど「簿記」を血肉化していました。
 そんな状態で始めた1級の学習では、教材の読み込みにほとんど時間を割くことなく、早い段階で問題集・過去問に取り掛かりました。当時の1級初出論点である連結会計や税効果会計、退職給付債務等々もサッと教材を参照する程度でした。
 1級になると教材だけでも2級の3倍程度の分量になります。これを1から読んでいく心理的な負担は相当なものです。これをやらなくて済むだけでも、1級断念の危険を遠ざけることができます。
 
 ちなみに、2回目の合格時は、1回目合格から3年以上経過していたにも関わらず、3カ月ほど過去問をやった状態で受験しました。短期間で合格レベルまで勘を戻せたのは、「簿記」が血肉化していたおかげです。

独学で日商簿記1級合格するには

 日商簿記検定1級試験は、非常に難易度の高い試験だと思います。約1万人が受験して、1,000人程度しか合格しない試験です。そのうえ、合格者の半分は公認会計士・税理士受験者とも言われています。
 そんな試験、誰でもどこかで気持ちが折れて断念します。しかも、就職という実利を最も享受できるのは2級です。続けるモチベーションを外から得にくい試験、それが日商簿記検定1級なのです。
 
 結局、1級に合格するためには「諦めない」ことが1番大切です。(当たり前のことで、ごめんなさい。)そして、「諦めない」ために試行錯誤してください。1日のなかで1つでもいいので「できた」「分かった」を得ることを目指してください。それが、「諦めない」モチベーションになります。
 あと、「連結会計」と「工業簿記・原価計算」に苦手意識を持っているとすれば克服してください。「連結会計」は、必ず出題されると思っておいた方が身の為です。ここが苦手なままだとギリギリの戦いになる可能性大です。そして、「工業簿記・原価計算」で点を稼いでください。
 
 1級合格を目指す方々の努力が報われることを願っております。


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