ヨシタケシンスケさんの絵本は介護職に読んでほしい本NO.1
こんにちは。
よく介護職におすすめの本は何ですか?と聞かれることがあります。
認知症の本や、ユマニチュードの本、ケアプランの書き方等、様々な種類の介護に関係した本が出版されています。
ですが私がお勧めしたいのは、ヨシタケシンスケの『このあとどうしちゃお』と言う本を進めています。
『えっ子供が読む本じゃないの?』
『絵本と介護って関係あるの?』
なんて思う方も入るかと思います。。
何故なのかその理由も併せて書いていきたいと思います。
知らない人の為に少し説明を。
まずこのタイトルの『このあとどうしちゃお』を聞いて、表紙の絵を見るとなんだか子供とおじいちゃんが楽しそうにしている楽しそうな絵本に思えますが実は・・・・
シリアスなテーマを扱っている作品なのです。
それは「身近な人の死」というもの。
主人公の少年の(ぼく)おじいちゃんが死んでしまったところから、物語がはじまります。
亡くなってしまったおじいちゃんが書いた一冊のノートから、おじいちゃんが生前どんなことを考えていたのか、ぼくが知るという内容です。
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少しだけ要約して内容を書いていきたいと思います。
亡くなってしまったおじいちゃんのノートの中身は、いったいどんなものだったのでしょうか。
ネタバレを含みますので、読んだことがない方は注意してくださいね。
・主人公の少年(ぼく)
・おじいちゃん
・おとうさん
死んでしまったおじいちゃん。お別れの悲しみもそこそこに、おじいちゃんの荷物の整理が始まります。
おじいちゃんのベッドの下から出てきたノート、その名も
『このあと どうしちゃおう』。
そこには、おじいちゃんの絵と文字で
『じぶんがしょうらいしんだらどうしてほしいか』
がいっぱい書いてありました。
死んだ後の予定、遠足に行くかのような準備リスト等が書かれています。
次のページには生まれ変わったらなりたいものが書いてあり、「コアラ」や「くらげ」「かめ」のような動物から、「トートバッグ」「コーヒーミル」になりたいなどの少し変わった物も書いてありました。
その後には
・こんな神様にいてほしいや
・てんごくってこんなところ
・いじわるなアイツはきっとこんなじごくにいく
・こんなおはかをつくってほしい
・みんなをみまもっていくほうほう
・みんなにつくってほしいきねんひん
等など沢山夢や、想像が書いてあります。
それを最後まで読んだぼくは
「おじいちゃんはしぬのが楽しみだったのかも?」
と思いました。
だけど本当は怖くて寂しかったのかもしれないとも思いました。
それをお父さんに話すと
「だれかとはなしあったり、のーとにかいてみるときっといいことだよね」と答えてくれました。
そしてぼくも自分でノートを買って書いてみました。
ぼくは
「しんじゃったあとのことをかんがえようとするといまいきてるうちにやりたいことがいっぱいあることにきがつきます」
そして最後はブランコにのって空を飛ぶ練習をしておわります。
これが大まかストーリーです。
ではなぜ介護職が読んだ方がいいのか。
それは日ごろの利用者さんとの接し方を見直すきっかけになるのかなと思いました。
私自身の妄想でおじいちゃんはもしかしたらデイサービスとかにいたのかなって。
あくまでも妄想だと思ってください。
どうしてそんな風に思ったのか。
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1こんな神様にいてほしい
このページには色々な神様にいてほしいと書いてあります。
もしかしたらこれは介護職員や利用者さんの事を言っているのかなと思いました。
特に
・今までの思い出話を面白がってくれる
・誰にも言えなかったことを聞いてくれる
・歌がうまい
・趣味があう
・ほっといてくれる
施設なのかデイサービスみたいな所なのかそれも想像できます。
自分の施設にいる利用者さんも話を聞いてほしい人やほっといてほしい人等様々です。
歌が上手い職員さん、利用者さんなんかは少し人気があったりしますよね。
もしかしたらおじいちゃんがいたのかなと思ってしまいました。
そんなことを想像しながら読んでみると利用者さんって意外とこんな事考えてるのかなって想像しました。
2いじわるなあいつはきっとこんな地獄にいく
ここに書かれていることはおじいちゃん自身が体験したことなのかなと、想像してみました。
誰が悪いとかではないので深く考えないでください。
・トイレが一個しかない
これはトイレに行きたいのに自分の手が空かずに「ちょっと待ってて」と言った時の印象がおじいちゃんに残っているのかなって。
・なにをしても怒られる
これなんて一番ありそうですよね。歩こうとしたら怒られる。立とうとしたら怒られる。なにをしても怒られる。悲しいですよね。
安全のためかもしれないですけどこんな言葉も印象に残ってしまっているのかなって。
・じごくの制服
ここに書かれている特徴は、
凄いチクチクする。
濡れてて冷たい。
すごいきつい(靴下か靴)。
いつも小石が入っている。
なんか水がこぼれて濡れてしまった服をそのままにしたりしてませんか?
お風呂にはいるからいいやって思ってませんか?
そんな風な事があったのかなって想像しました。
・じごくのいちにち
地獄で一日の作業のスケジュールが書かれています。
混ざった砂を分けたり、絡まった糸をほどいたり、シールを綺麗にはがしたり
あれこれってもしかしてレクレーションとかでやっていることに近くない?なんて思いました。
やりたくないけどやらされる。
プログラムだから、暇だと思って。
なんてありそうですよね。
いじわるなアイツはきっとこんな地獄に行くはもしかしたらおじいちゃんがリアルに体験した事なのかもしれないなんて妄想を膨らませてました。
私も、もしかしてやってしまっていないかなと自分を見直すきっかけになりました。
3コミュニケーションが大切
この絵本を介護職に読んでほしいと言ってきましたが一番伝えたいことは、生きている今を大切にするということ。
おじいちゃんは死後の世界のほかにも、死んだらどうして欲しいかというのをノートにまとめていました。
これはとても重要なこと。
「何をお供えしたら喜んでくれるんだろう」
「どうやってお別れすればいいんだろう」
など、ご利用者さんの家族が考えるべきことはたくさんあります。
でも亡くなる前はどうなのか、家族よりも介護職が側にいることが多いと思います。
生前に希望を聞いておけば、もっと話しておけばよかったと後悔することも。
死んでしまうと、その人とはずっと会話ができません。希望を聞くことも、悪かったと思って謝ることも、感謝を伝えることもできなくなります。
そんなふうに後悔する前に、いま目の前にいる大切な人たちと、しっかり会話をしましょう。
最後の瞬間に立ち会うことが多い職種としてその気持ちは忘れない様にしたいものです。
3つ書かせてもらいましたが、介護職は特に死に近い職種です。
ですが死生観や死についての勉強等をほとんどしません。
利用者さんが死んだ後の事はほとんど考える人も少ないと思います。
だからこそこのおじいちゃんの様に死んだ後はどうなるのか、地獄みたいになってないかなんて考えるのも大事かなと思います。
確かに仕事としては介護は大変な仕事だと思います。
でも今を一生懸命生きている人が目の前には少なからずいます。
意識がほとんどない方、話せない方、体が動かない方。
でも心臓が止まる最後の瞬間までその人は『生きてます』。
死ぬ前の事、死んだ後のことを介護職として考えるのにはこの本はとても最適ではないかなと思います。
最後に
利用者さんだけではなく、家族、友人等との時間を大切にしてください。
「死んだら、もうその人と話ができない」というのは当たり前のこと。
しかし、日常生活の中では、隣にいる人が明日にでも死んでしまうかもだなんて考えません。
だから、ついひどい言葉をかけてしまうこともあるでしょう。
でも、この絵本を読んで、いつお別れが来るかわからないということを心に留めておけば、優しい対応ができるようになると思います。
だからこそ介護職に読んでほしいと思います。
死というのを必要以上に怖がらせず、優しい気持ちにさせる、絶妙な作品です。
もし興味がある方は読んでみてください。
次は『りんごかもしれない』について書いてみたいと思います。
お楽しみに。
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