幸福日和 #077「感謝を集める」
昔から人生ゲームが好きでした。
好きとといっても。
たった数時間の出来事の中で、結婚しマイホームを建てて、子供を育て、老後生活を送るという、数時間で決まってしまう人生など、なんてつまらないものか。とは思っていました。
そんな、メーカー側が勝手に考えたあっけないルールには抵抗があったけれど、、、。
それでもどうして「好き」だったかといえば、
一緒にやっている友人の生き方や、人生の選択を
ゲームを通じて垣間見ることができるからなんですね。
どちらかといえば、ゲームに参加するというよりは、
その光景を眺めることの方が好きだったのかもしれません。
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「人生ゲーム」という遊びで積極的に練習してこなかったせいか、
僕はある意味ではゲームではない「リアル人生」の中で
数々の失敗もしてきましたし、
多くの欲望に翻弄されてもきました。
僕はこの「note」の中で、
若い頃に何度か失敗をしたという話をしていますが、
その中でもとても恥ずかしい話を一つ曝け出すと、
若い時は「マネーゲーム」なるものに夢中になっていたんです。
金融や経済のことをろくに勉強もせずに、
株や為替の取引に夢中になっていました。
特に身近な経験としては、インターネットバブル。
あの時は「インターネット」という名の付くビジネスやサービスをしているだけで、そうした企業の株価はどんどん値上がりしていたんですね。
企業の未来を見据えた、応援のための「投資」というよりは
自分の資産を増やすことに血眼になっていた
ただの「投機」に狂っていました。
そうしたバブルの恩恵をうけていた人はたくさんいましたし、
僕も、一個人投資家として利益を得ていたんです。
ある意味では誰でも稼げてしまう、
そんな時代だったんですね。
そんな中で、
目の前であっけなくITバブルが崩壊。
有頂天になっていた人の人生が大きく狂っていくのを
間近で垣間見てきました。
中には、会社引退後の老後資金を全て株に突っ込んでしまい老後資金を失った人もいましたし、亡き夫の遺産を紙くず同然にしてしまった人も知っています。当時始まったばかりの、個人のFX取引で歯止めがかからなくなり、資産がゼロどころか借金を背負うことになった人もいます。
若い世代の子は信じられないかもしれないけれど、
今では日本の代表的なインターネット企業の創業者が、
当時は多くの投資家から「詐欺師」とまで言われていたほどです。
いつの時代も人々は色々なバブルの中で、
そうしたマネーゲームに夢中になり、
その歴史を繰り返してきたんですね。
当時の僕も欲望に取り憑かれて
完全にお金によって日常を狂わされていました。
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当時は若かった、、、。
もうマネーゲームはこりごり、、、
そう思いながらも、
しばらくは節約生活で苦しい日々を過ごしていました。
行き詰まったときには、
なぜだか、決まって甘いものが欲しくなるものです。
そんな時には、近所にある商店街の和菓子屋さんに行ってたんですね。
そこで和菓子を買ってきては、家で抹茶を点てて自服でいただきながら
自分の気持ちを落ち着かせてもいました。
そんなある時、和菓子屋さんのおばあさんが僕の表情を見るなり、
何かに気がついたのか、こう言うんですね。
「人生はね、感謝を集めるゲームなの」
何かを見透かされているようでもあり、
いつもにこやかな、おばあさんの笑顔の理由を
垣間見た気がした一言でした。
マネーゲームに取り憑かれていた
当時の僕にとっては思いもよらない言葉でした。
その一言を、おばあさんから受け取って以来、
何か大切なことに気がつけた気がするんです。
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それ以来、
僕は荒んだ日常を「いかに楽しむか」ということを
考えてゆくようになりました。
誰かに用意されたゲームは、もう懲り懲りです。
人生ゲームも、マネーゲームも要らない。
遊ぶために、何か別のところでゲームをするのではなくて、
この日常そのものを遊び同然にしてしまえばいい。
そうして僕は日常の中で、
いかに遊びにして楽しんでゆくかということを
必死で考えるようになりました。
例えば仕事。
クライアントさんから多くの受注をいただけるように、
どうしたら相手の期待に応えられるだろうかと
考えるのもワクワクします。
どうしたら「期待で相手を驚かせるか」
「予想外の価値」を企画し提供できるか。
ゼロから信用を積み上げていくことや
昨日できなかった仕事をできるようにするということ。
知らなかった分野の知識を知るということも、
自分にスキルを加えていくゲームです。
そうした一つ一つが、
僕にとっての楽しみになりました。
ゲームという言いかたに、
軽くて浮ついた印象があるかもしれないけれど、
まっさらな自分の器に、時間をかけながら少しづつ
大切なことを加えていく。
そんなイメージでしょうか。
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今の世の中には、
ゲーム会社やアプリ会社がつくった沢山のゲームで溢れています。
ギャンブルと言われる、自制が効かなければ危険な遊びもあります。
自分の外側で楽しむ遊びもいいけれど、
そんなゲームばかりに目を向けていては、
一日24時間ではとても足りません。
それよりも、
できればこの日常をゲームのように楽しんでゆきたい。
「感謝を集めるゲーム」
あのおばあさんは、きっと色々な経験を重ねた末に、
この言葉を見つけたに違いない。
そんなことを考えていたら、
和菓子が食べたくなってきましたよ。笑
あのおばあさんのお店、
今どうなってるんだろう。
苦い時代を思い出しながらも、
不思議と気持ちは温まるのでした。