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幸福日和 #071「切っても切れない縁」

たくさんの繋がりがあることは喜ばしいことだけれど、
それ以上に「絆」と呼べる強いつながりで結ばれていたら
それは、どれだほど心強いことか。

たくさんの繋がりに支えられてはいるけれど、
そのつながりを「絆」という言葉に置き換えるとどうだろう。

そうした切っても切れない縁が、自分にはどれだけあるのだろうか。

人にはやはり、もっとも大事なつながりというものが
自分でも気がつかないところにあるのだと思うんです。
そうしたものは、いつまでも大切にしていきたい。

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常連のバーのマスターと
そんな「人との繋がり」についての話になったんです。

長年、多くのお客さんを眺めてきた彼が言うには、
「絆」と「繋がり」というのは
やはり根本の部分に大きな違いがあるのだという。

「切っても切れない縁」という言葉があるけれど
時に喧嘩や争いをして距離を置くことがあっても、
自然とそのまま繋がっていられるような存在。

お客さんの中にも、そうした強い絆で結ばれている人たちは
お互いが輝いて見えるのだという。

どれだけ喧嘩で言い争いをしても、
次の週にはまた仲良く二人でお店を訪れるカップルや夫婦。

また、お互いの考えを激しくぶつけ合いながら大喧嘩になり、
しばらく、あの二人お店に来ないなと思っていたら、
次に来る時には、にこやかに新しいビジネスの話で盛り上がっている。

そのお店に来るお客さんは、そうした強い「絆」で
強く繋がっている人々がよく来るのだそう。

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そういえば、僕にとってそんな
不思議な縁で繋がっている人っていただろうかと考えてみたんです。

僕が社会人時代。
もう何年も昔になりますが、
当時勤めていた会社に、癖が強くて苦手な先輩がいたんですね。
誰に対しても厳しい人で、時に罵声を浴びせながら仕事のことを細かく指摘してくるような先輩でした。人にだけでなく自分にも厳しく、常に結果を残し続ける人。

その先輩と顔を合わせるのも憂鬱で、実際にその人から逃れるように会社を辞めた人も数多くいたんです。
そこに勤めて数年、僕も自分のキャリアのことを考え、その会社を辞めることになったんですが、そんないつも厳しかったはずの先輩が食事に誘ってくれたんですね。それまでは、二人だけで食事なんか行ったことすらありませんでした。

先輩にとって、会社を去ろうとする僕に話などしても、なんのメリットもないはずでしたが、彼は最後に僕に何かを伝えたいのだろうと思ったんです。

彼とは食事をしながらはじめて腹を割って話をしたかもしれません。
自分の持つ人生のビジョンや、深いところで仕事というものを考えていることや、それゆえに生じる周囲との価値観のギャップ。
自分が若い頃に仕事を甘くみていて、それが原因で大失敗をし苦労をしてきたことも打ち明けてもくれました。
先輩なりに日々悩みながら、厳しい態度で後輩に接していたのだということが、その会社をやめる直前になんとなく分かった。

僕はその先輩に対しては言いたいことも言っていたし、時には激しい言い合いになったこともあるけれど、その時にはじめて今まで見えなかった部分に触れたと感じました。

会社を辞める前はあれだけ苦手だった人なのに、会社を辞めてから深く付き合うようになり、数年経った今でも交流は続いているんですね。
今でも環境は違えど、仕事の上では先輩でもあり、ある意味ではライバル関係、戦友のような存在でもあるんです。

当時、その会社を辞めた時のことを振り返ってみると、会社でうまく付き合えていたと思う人ほど、辞める時にはあっさりとしたもので、結局は細いつながりでしかなかったのだということも実感したものでしたが、
なぜか、その先輩とは切っても切れない縁があるような気がするし、
今後も互いに必要とする存在なのだろうと思うんです。

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なぜだかわからないけれど、
縁が切れることなく今だに繋がっている人。
そういう人、いませんか?

年に一度会うか会わないかの存在なのに、
なぜだか年賀状だけは毎年やりとりしている人。
友人の集まりや飲み会にいくと、
必ずそのメンバーの中にいて共に時間を過ごす人。
喧嘩ばかりするのに、いつも近くにいる人。

そうした「切っても切れない縁」の中にはやはり繋がり以上の

「何か」があるのだと思うんです。

人脈をたくさん作ることもいいけれど、
もしかしたら、そうした関係こそ大切にしていくべきで、
深めていくべきなのかなと思うんです。

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Ryota【孤島物語】毎日更新
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