My Lifetime Important Albums #4 Sly & The Family Stone / There's A Riot Goin' ON 『暴動』 (1971)
Facebookでかつてのバンドメンバーより「自分の人生に影響を与えたアルバムを10枚あげる」というバトンの指名をもらい書いてみたのだが、なかなか面白かったのでnoteに残しておこうと決めました。
音楽を語るのって楽しい。
音楽評論家でもないので、アルバムに関する基本情報や詳細は記載しません。あくまでもファンとして自分はこうして出会った、こういう風に聴いてきた、ここが好き、という目線で書いています。
では始めていきたいと思います。
Sly & The Family Stone / There's A Riot Goin' ON 暴動 (1971)
ストーンズやビートルズ、ジミヘン、クリームにZEP。
60年代や70年代のロックから、ブルースやリズム&ブルースを好きになり、やがて出会ったのがファンクミュージックだった。
一番最初はジェームズ・ブラウン(JB)だった。
ひたすら同じ歌詞を繰り返す呪術的な歌、畳み掛けるようにカッコいい管楽器やギターのカッティング、延々と繰り返すようなリズム。
全てが衝撃だった。
ファンクミュージックについて調べていくと、JBと並んで先駆者だったのがスライ&ザ・ファミリーストーンだと知り、1970年にリリースされたベスト盤「Greatest Hits」を聴き、これまた一発でとりこになった。
名曲「Thank You (Falettine Be Mice Elg Agin)」は史上初と言われるチョッパーベース(当時はスラップと言わずこう呼んでた)だし、
「I Want To Take Higher」や「Stand!」のかっこよさに打ちのめされ、すぐに大ファンとなってしまった。
スライのアルバムで先に聴いたのは「Stand!」だった。男女・黒人白人混合のバンドですごく一体感のあるサウンドを作り、
ポジティブなメッセージ性、洗練された曲のアレンジ。全てが斬新に感じたものだ。
自分はちょうど東京に大学進学で出てきて、リズム&ブルースやファンクの要素を持ったバンドをやりたいと模索していた時だったと思う。
そしてスライをもっと聴かねばと思い、買って衝撃を受けたのがこの「There's A Riot Goin' On」「暴動」だった。
このアルバムには「Stand!」の時のようなポジティブさや高揚感は無い。
むしろ一気通貫して流れているのは、倦怠感や脱力感のようだ。ポジティブなメッセージを含めた歌詞もあるが、どこか痛々しい。
アルバムの冒頭を飾るのは「Luv N' Haight」つまりLove & Hateで「愛と憎しみ」だ。
むせび泣くようなワウ・ギターとが印象的なダウナーなファンク。
スライは繰り返し歌う。
気持ちいい
自分の中じゃ
だから動きたくない
こんな”踊れない”歌詞のファンクはまずないだろう。
アルバムはダビングの繰り返しで録音テープがボロボロになり、音質も悪い。全体にモコモコした感じだし、敢えてそうした面もあるような気がする。
とりわけいつも聴いてすごいと思うのは「Space Cowboy」で、明らかに何かのノイズが乗っかっている。
おれは一回以上言える
だって二倍の速さで考えてるから
何を言っているのでしょうか(笑)。わからない。
そう、このアルバムは何十回、何百回聴いても謎に満ちている。
歌詞は色々な暗喩に満ちているようで、もしかしたら大した意味はないのかもしれない。
演奏も大半をスライが一人でやったり、バンドのメンバーの断片的な演奏だったり、ボビー・ウォーマックやビリー・プレストンの演奏で、
およそバンドの録音物とは言えなくて、何を演奏してるのかよくわからないものもある。
特に好きな曲で夢中で真似をしたのはレコードA面最後を飾る「Africa Talks To You "The Asphalt Jungle"」だった。
邦題は「アフリカは君に語りかける」だった。
リズムボックスを中心に、ギターやキーボードやコーラスが組合い、ヨレながら曲は進んでいく。
いつまでも身を寄せていたい、不思議なグルーヴだ。
この曲に触発されて「京王線は語りかける」(もともとは中央線は語りかける、としていた)という曲を作り、のちにFREEFUNKの最初のCDで録音、収録した。
よくある「無人島に持っていくならどのレコード」という質問があったら、迷わずこのアルバムを選ぶ。
ベスト10どころではなく、人生の最重要なアルバムと断言してもいいくらい。
それぐらいこのアルバムは謎に満ちているし、何度聴いても刺激を受ける。
時々、どの音楽聴いても面白く感じない、という時がくるのだけど、その時は「暴動」を聴くことにしている。
そうすると、少し自分の耳や脳が補正され、また音楽が好きに戻れる。
発表されてそろそろ50年、自分が初めて聴いてそろそろ30年だが、間違いなく自分の中でNo.1アルバムだ。
このアルバムをリリースしたタイミングはスライやバンドにとって色々と試練の時だったように思う。バンド名でリリースはされたが、実質スライを中心としたソロ作品のようでもあるから。
映像が残されているのはこのあと1973年以降が多い。こちらは暴動直前の「Thank You」のTVライブ映像。スライはすでにどこか醒めた感じに見える。
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